時給六千円の仕事

第1章 はじまり

2.体験入店

体験入店は即日行うことにした。
女の子たちの誘いと、何より早くお金が欲しかった。

説明された接客内容は、かなり簡素な内容だった。
制服に着替え、接客の流れ、アメニティの説明を受ける。
イチャつきながら男性のヌくお手伝いをしてあげたらいいのだ、
いわゆる"B"までするのが仕事。

世間一般にいわゆる"B"がどこから
どこまでを言うのか果たして皆が共通認識しているのであろうか。
私は正直わからぬまま、"B"まで、をすることになるのだが。

すぐにお客様が入り、源氏名を放送され、ブースに入る。

相手は若い20歳前後の男性だった。
習ったように男性の横に、向かい合うようにお姉さん座りをする。
最初は話をしていたが、次第に唇が近づく。



『彼氏が私がこんな仕事をしていると知ったら、ショックを受けるんだろうな』


一瞬頭を過ぎったが、
お金のため。お金のため。と特に抵抗せず唇が触れ合う。

制服の上から胸を触られ、男性は自分のモノを自分で触り出す。

「そのまま抱きついていて」

と、言われるままキスをしながら強く抱きつく。


早く終われ、早く終われ。


男性は果て、35分の1コースがあっけなく終了する。


お別れの際に名刺を手書きし渡す。

お話をし、キスをし、多少触られるがヌくのは男性が自分でやっていた。
風俗の仕事って、多少我慢すれば出来るかも。


どうだった？と面接をしてくれたスタッフに聞かれ、私はこう答えた。


「これなら出来そうです」



あっけなく終わった内容に、私は風俗の本当の仕事内容を知らぬまま入店を決めたのである。