カーネイジ・レコード

あばらい蘭世

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第1章 全ての始まりの記録

abyss:56 本拠地(コフィン)脱出

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ディストピアのいた岩の塊に光の柱が天井から床下まで貫通して降り注いだ。
ローグがぶっ放したレールガンより威力は数倍でかく天井から床下まで大穴が空いた。地上から撃ち込まれたようで夜空が見えている。

レグルスめ、まだこんな兵器を隠し持っていたのか!?
しかしこの攻撃、なぜあんな場所に撃ち込んだんだ?

しかしレグルスが驚いているようだった。
「一体どこから撃った!?」
レグルスが攻撃したわけではなさそうだ。

攻撃した犯人は誰かすぐにわかった。
「ワシがここに来たことで正確な座標がわかったからな! 衛星軌道上からレールガンをぶち込んでやったわい!!! 
この一発だけで十数億ドルじゃぞ!クソッタレ!!!」
最後のセリフ、生々しすぎる!

本拠地コフィンの施設がレールガンによって電気系統が破壊されレグルスの動きがぎこちなくなっている。
「これで逃げる時間稼ぎは出来た。最後にティナちゃんとキスしておかなくていいのかえ」
とローグは悪い顔でニヤニヤしている。
ちょっと期待しながらティナを見ると、顔を赤らめて逸らした。
「無事に帰ってきたら─── してあげてもいいかな」
ティナ、かわいい。
「ヨッシャ―! 孫ーーー!!!」
と父さんが喜びで叫んだ。
おいおい、気が早いってば!
『もういいか?』
ディストピアが呆れたように口をはさんできた。
「3人は任せておけ。レグルスを倒したらこれをすぐ飲むのじゃ」
ローグから液体が入った小瓶を渡される。
「何これ?」
「栄養ドリンクみたいなものじゃ。飲まんと疲労で動けなくなるぞ」
「わ、わかった。ありがとう」
ディストピアを使うことで体力消耗が激しいことを理解した。
「ハルキ、武運を祈る。ここまで切り抜けたんじゃ、絶対に生き延びるんじゃぞ」
ローグに対して俺の胸にしこりがあったので解消しておきたいことがあった。
「ローグ、さっきは酷いことを言ってごめん」
「お主のおかげで2人は助けられたじゃ、そんなこともう忘れてしまえ」
ローグはニヤリと笑うが、強面なため悪い笑顔にしかならなかった。
ローグは父さん、母さんを担ぎ、ティナを背中におんぶさせると怖ろしいほどの身体能力で天井に空いた穴まで跳躍し地上に向けて昇っていった。
それを見て俺は思ったことがある。

「あんたが最初から闘っていたら早かったんじゃない?」
と。


◆◆◆


本来の宇宙人の体に戻ったローグは超人的身体能力で地上まで貫通した大穴を交互に飛び移りながら昇っていく。
人間3人を担いでやってのけている姿を目の当たりにすると彼もまた地球外生命体であることに納得してしまう。
「ティナ! 振り落とされるな! しっかり首を絞めているんじゃ!!」
ローグの指示通り、ティナはローグの首を絞め殺す勢いでホールドしていた。
そうしないとティナだけは振り落とされてしまうからだ。
だから何が何でも必死に首を絞めてしがみついていた。

これだけの力がありながらローグが前線で闘えないのには理由があった。
「ねぇローグ! あなたが最初から闘った方が早かったんじゃないの?!」
ごもっともな意見をティナが投げかける。
「そうしたいのは山々なんじゃが、歳のせいでこのパワーを維持できるのは10分ちょっとが限界なのじゃ!」
「たしか300歳だっけ。おじいちゃんだもんね」
「地球に来る前があるからプラス100歳ってところじゃ」
数百メートルを駆け上がり地上まであっという間だった。
最後の跳躍で大穴から勢いよく飛び出す。

ローグの背中からティナが見た地上に広がる光景は、工場地帯を中心に暗闇の中に浮かぶ赤い炎と黒煙がいくつも立ち昇っている。
同時に都市全体に緊急非難誘導のアナウンスがあちこちから聞こえてくる。
3人抱えた状態でありながらローグの巨躯は地面に優しく着地した。
「ティナ、もう降りて大丈夫じゃ」
地面に降りたティナたちを上空から強烈なライトが照射する。
上空で待機していた見たことがないドローン型ヘリ4機だ。サーチライトを周囲に照らしながら着陸。
ヘリから数名のローグの部下たちが駆け足で降りてきてストレッチャーに夜春と将暉を乗せる。
「大学に運んだら緊急手術じゃ!」
ヘリの中で応急処置と輸血をしながら飛び立っていく。

ティナは自分で歩けたのでそのまま別のヘリに乗り込んだ。
ローグは体が老人の姿に戻りながら部下にあれこれ指示をだしティナと同じヘリに乗り込む。
4機のヘリがすぐに離陸し上空に飛び立つ。


上空から世界都市を眺めると先ほど一瞬だけ見えた以上の被害の実態がわかってきた。
工場地帯のあちこちから火の手が回っていて一部区画では停電が起きていた。
「地上はこんなに被害が出ていたなんて…………」
とティナが驚いていた。

ティナの顔をローグが覗き込み、やたらキメ顔をしてくる。
「街の破壊やったのわしらじゃ。被害が大きくなる前に無人の工場区でそこそこの爆発を起こして人を非難させておる」
「街全体って……… あいつらがいるのって地下施設だけでしょ? そこまでしなくてもよかったんじゃ?」

「レグルスという宇宙人が13年前の大規模爆発をまた起こすかもしれないからのぅ。さっきまで敵が誰かわからなかったし最悪の事態を想定してのことじゃ。
前以上に都市が発展、人口密度が増えておるから被害は1度目より甚大じゃ。
敵の本拠地が無人の工場区の真下じゃったから先手でレールガンを撃てたものの居住区だったら撃つのは不可能でここにいる全員誰も助けられなかったかもしれん。
初期の都市設計から居住区を最小限にして都市全体に広げなかったのが幸いと言ったところじゃ」

「そんな大爆発が起きたら大学に行っても危ないじゃない!」
「大学はカモフラージュ施設じゃ。我々の本部は爆発の影響を受けないほど地下深くにある。防衛においては別次元の技術じゃ」
話の途中でティナが工場地帯を指さす。
「あれを見て!!!」


ズズン! ズドドドドドドドドドドドド!!!!

工場地帯一体が振動し本拠地コフィンのあった場所に合わせて正方形の形で粉塵があがる。
爆発と爆炎が上がった大地は赤く染まった黒煙と土煙を巻き上げながら陥没した。

レグルスの本拠地コフィンが大地に沈んだ。
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