究極生命体のダンジョン作り!

雷川木蓮

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THE.死徒

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死神、母さんは見た事があると言ったが、俺は見た事は無い。

でも、死ぬまで縁が無い死神に生きてる内に会えるとはどうなんだろうか?まあ、別にいいけどさ。

で、ステータスを見てみようかねぇ?


名前・無し(レベル0)
種族・死神
体力・0
魔力・0
攻撃力・0
守備力・0
素早さ・0
運・0
スキル・魂狩り、分体生成


……………………種族は死にがなのにステータスが全部ゼロに加えてスキルが二つしか無い?これは一体全体どういうことだ?

「主人、ドウカシタカ?」

「んー、質問がいっぱいあるんだが」

「自分が答エラレル範囲内ナラ」

どうして自分が答えられる範囲内なのかも気になるが、ハピみたいな知能が高い魔物がどうしてガチャから出てくるのと聞くレベルで聞いちゃいけない事なんだろうな。

「人の事を言えないけどお前のステータスがおかしいんだが、これはどういう事だ?」

「全テぜろナノハコ『魂狩リ』ノすきるノセイダ」

「お前のスキルか。魂狩りって殺した相手の魂を奪うってか?」

「ソノトオリ」

それが何の関係が?と俺に言わせたいのかこの骨は。若干だがワクワクしてるような雰囲気を醸し出している。

これは俺の経験からして、母さんも何か隠してる事を自慢気にバラそうとした時と一緒だ。

で、『魂狩り』が何なのか、俺でも分かるぞ。

「狩った相手の魂を自分に取り込む事でステータスを上げたりスキルを手に入れたりするって事か」

「……………………ソノトオリ」

おい、めっちゃ不服そうな声を出したぞこいつ。

「分体生成は自分の分身を出すスキルだろ?」

「……………………ソノトオリ」

何が不服なのか分からない。見ればわかるってくらいわかりやすいスキルなのに…………

待てよ、この分体生成は…………

「分体生成の説明を詳しく」

「自分ヨリヤヤ弱クテ小サナ分身ヲ作リ出ス」

「数は?」

「無限大!」

こいつの顔面に肉がついてあったら間違いなく『キリッ、ドヤァ』の効果音が似合うドヤ顔を見せてたんだろうな。どうしてだろう、この骨を骨粉にして作物を育てるのに使いたい。

でも、この分体生成はギミックとして使えるな。ダンジョン内で弱い分体を徘徊させてお邪魔みたいな感じでやったら面白そうだ。

流石にスライムとウルフとゴーレムだけだと辛いと思うんだよな。これなら別の雑魚敵としてのギミックも増えるからありがたい。

一瞬、メジェドさんを徘徊させるかと思ったが、守護者を徘徊させたら間違いなく相手を全滅させられるのですぐさまその考えを振り払う。

「まあ、お前の役目は決まったな」

「我ハ何ヲスレバイイ?」

「まずは強くなってからの話だが、分体をこのダンジョンに徘徊させろ。でも、敵と出会っても殺さないようにしておけ」

「確カニ、強クナルノヲ前提ニシナケレバ話ニナラヌナ。ダガ、何故殺サズト?」

「リピーターが来なかったらダンジョンポイントが入らねぇじゃねえか」

「ナルホド。マズハココニ漂ウ魂を狩ルトスルカ」

ここに魂が漂ってるのか?あ、あの時の盗賊か。確か文明の名前をした奴らだったな。ランクがどうか知らんがチームで普通のタイタンを倒せるくらいってランク3はあるくらいか?

まあ、狩らせてからどんなスキルがあるか見てみよう。

「と、まずは名前だが希望はあるか?」

「死神ダケニ死ヲ感ジサセル名前ヲ望ム」

「はい、デスでいいや」

「何故ニソンナ適当感ヲ出スノダ!?」

なんか驚いてる骨は無視して、魂狩りを終えたデスのステータスを端末から調べてみる。


名前・デス(レベル45)
種族・死神
体力・23405
魔力・6350
攻撃力・19980
守備力・34500
素早さ・9530
運・0.2
スキル・魂狩り、分体生成、炎魔法(レベル2)、水魔法(レベル4)、風魔法(レベル3)、土魔法(レベル3)、影魔法(レベル4)、回復魔法(レベル2)、剣技(レベル3)、精霊術(レベル2)、アサシン(レベル3)、盗み(レベル3)、脅し(レベル2)、カリスマ(レベル3)、変装(レベル4)、料理(レベル2)


ステータスはハピより高くアルより低いな。まあ、ハピは体が小さいから仕方ないし、アルはあのステータスで納得できる強さがある分、スキルが少ないからなぁ。

そう言ったらこいつはオールラウンダーだな。スキルも多いしメジェドさんよりよ偵察に向いてるキャラだ。

一般人のステータスを知らないけど、普通に強いんじゃないか?『魂狩り』のスキルでこれからもさらに強くなれるしな。

しかし、あの盗賊にアサシンとか精霊術とかのスキルってあったんだな。知らなかったとはいえ、5人の魂を狩ってこのステータスになるのは、あの盗賊達もそれなりの腕を持つ奴らだったんだろう。

「それじゃ、『分体生成』をやってみてくれ」

「了解シタ」

そう言ったデスは両手を合わせて唸り声を上げる。そして、その手に闇が纏わりついて何かを形成しようとしていた。あれが分体を作り出すためのやつか。

闇が固まってデスの手からこぼれ落ちた。地面に落ちた闇は小さな人の形を成して…………

「ばぶー」

「…………………………………………」

「…………………………………………」

「シュ…………コー…………」

「ちょっ、もうちょっと頑張ってよ!くたばるにはまだ早いですよー!」

後ろで命をかけた茶番みたいなやりとりをしてる二人は無視して、デスから出来た分体を俺とデスはじっと見ていた。

どうしても言いたい。何故幼女が出てきた?しかも第一声がばぶーって産まれたばかりだから頭の中が赤ちゃんなの!?てか、骨だけのデスの分体なのにちゃんと肉を持ってるし美幼女だし!一応、ボロボロのローブを着てるからよかったけど、もしかしたらこの下って裸…………な訳ないよな。事案発生しちゃうから考えないようにしとこう。

そしてデス、お前も唖然とするなよ!生みの親はお前なんだからさ!

これ、どうしようみたいな感じでオロオロしているデスはチラチラこっちを見てくる。こっち見んな。

「ばぶー」

ごっごっごっごっ

手に持ってる稲刈り用の鎌で俺の足元をごっごっと小突いてる。痛くないけど、これを量産してダンジョンに徘徊させるのはちょっと…………

「コラ!主人ニ攻撃スルナ!」

「ばぶ?」

「クッ、ドウシテコウナッタ…………」

「こりゃダメだな」

主人に言われても首をかしげるだけで俺の足元を攻めることはやめなかった。これは本当に悔しそうに呟いている。

「ウッ、諦メテタマルモノカ!」

そう言ってまた手に闇を集めて分体を創り出そうとする。

やめろ!大体のオチは見えたからそれはダメだーっ!

そんな事を俺は何回か言ったのにデスは諦めずに分体生成をやり始めて10分経った。その結果…………

「ばぶー」

「あー」

「うえええん!」

「うあー」

「アアアアアアアアアアアアッ!」

計4人の美幼女と発狂した白骨一体が出来上がった。

美幼女の方は全員頭の中が赤ちゃんなので役に立つかどうか全く分からない。ただ、その手にしている稲刈り用の鎌は危ないと思う。そして発狂してる白骨、お前うるさい。

この骨はどうしたらいいんだろう?やっぱり砕いて農作物に蒔いたらいいのかな?

と、冗談はこれくらいにしておいて…………

「本当にどうすんのこれ」

「シュコー…………シュコー…………」

あ、復活したんだ。よかったよかった。

最悪、魔王に預けるっていう案もあるが渡し辛いなぁ。あの魔王に渡したらどんな事を覚えて帰ってくるか分からない。

仕方ない、この骨は戦線に立たないでもらおう。

「お前、クビね」

「出会ッテ1時間足ラズデ最モ聞タクナイ宣言ガ飛ンデキタァァァァァァ!ドウカオ許シヲ!」

「まあ、こいつらの教育係としての閑職は確定だがな」

「ソ、ソンナァ…………」

完全に落ち込んでしまった。こいつも戦いたかったのか?まあ、成長するならば戦わなければならないからな。

でも、こいつらを生み出した以上は責任を取ってもらう。少なくともこの子達はマスコット的存在として育てよう。

デス自身は外に出そうかなと思う。一応、見た目は骨だけだからスケルトン的なものとして扱ったらなんとかなるっしょ。

だが、まだ外には出さないがな。

「うえええん!」

「ああ、よしよし泣き止んで」

癇癪起こして泣き出した母さんのように泣いてる子を抱き上げてあやす。すぐには泣き止まなかったが、徐々に泣き止んでくれた。

でもな、その鎌だけは離そうな?痛くはないけど地味に刺さる。天夜叉の着物は傷つかないし汚れないけどね。

「あうー」

「ばぶばー」

「うー」

残り3人は俺の足元で鎌をごっごっごっごっぶつけてる。やめないという事はそれは癖なのかな?

「ま、頑張れや」

「…………………………………………」

未だにうなだれている死神の返事は無く、それを無視してっと。

「ハピ、宿に戻るぞ」

「はーい!」

あたりをふよふよと飛んでいたハピに声をかけると肩に乗った。これからテレポートするので乗ったんだろう。

それじゃ、端末からテレポートをタップ!

いつもの視界が一瞬ブレる。そして、少し前までいた宿に着いていた。

「やれやれ、面倒なのが増えたな」

「あの子達は可愛いですけどね~」

それは同意できるぞ。あの子達は可愛いからうちのダンジョンのマスコット的存在にするからな。

さて、明日はアレだ、俺のダンジョンを見ず知らずの奴らと攻略…………ああっ!

「ダンジョンの新しい階層作ってない…………」

今気づいた事に俺もデスのように落ち込む羽目となった。なぜ気づかなかったんだ俺!

「私は知ってましたよ?」

「せめて教えてくれよ!」
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