究極生命体のダンジョン作り!

雷川木蓮

文字の大きさ
22 / 49

原因は骨じゃなく魔王

しおりを挟む
「……………………」

「いやー、結構楽しいなこれ!」

「シュ、主人、申シ訳ナイ…………」

今、宿に戻ってからダンジョンのボス部屋に転移したらデスが即座に俺に向かって土下座した。

さて、なぁんで魔王ウェーンがいるんですかねぇ…………?

来るなって言ってたはずなのに端末を嬉々として弄りまくってる。どうしよう、つっこむべきか否か。

いや、俺のダンジョンを荒らしてるみたいな感じだから一つ言うべきだろう。

「お前、何してんの?」

「おお、やっと戻ってきたか!妾は暇だったから来たぞ!」

「いや、来んなつっただろ!」

「そんな面白い事をさせない約束を妾が守るわけなかろう!」

堂々と言い放ちやがったぞこの魔王!てか、いつから居たんだこいつは!

「…………実ハ昨日カラズット居座ッテイテ、出テイッテホシイトイウ我々ハ言ッタノデスガ…………」

「一応聞くけど、スライムやウルフの件はお前がやったんだよな?」

「…………………………………………ハイ」

「待て、お前嘘つくの下手すぎないか?」

「…………………………………………」

こいつ目を逸らしやがった。間違いなく魔王がやった事を全部なすりつけられて嫌々やってるみたいな感じだ。

とりあえず、嬉々として端末を弄ってるアホに拳骨をぶちかまさないとな。

ごっちんっ!

「あだぁっ!?妾に何をする!?これでも一国の主だぞぅ!」

「他人の家に勝手に上がりこんで勝手に改造するのが一国の主のすることかお前は!?」

「そーだそーだ!」

「ぐぬっ、何するんだこのピクシーは!」

ハピが小さな足で魔王の?茲を何度も蹴る。俺も恐れ知らずに魔王を罵ってるけど、ハピも相当なもんだよな。

メジェドさんなんて俺以外不可視ながら目からビーム打とうとしてるし、侵入者扱いでほっぽり出せばいいんじゃないのか?

とりあえず、こいつから端末は没取だ。

「はい、没取」

「ちょっ、何をするのだ!まだ設定は終わってないぞ!」

「設定って何だ、おい。何俺の知らない機能使ってるんだ、あぁ?お前んとこ行って喧嘩売るぞコラ」

「パガンがケンゴに玉砕する未来しか見えん。一応、あやつは戦闘狂だが重要な家臣だからやめてくれ」

あー、あの武者みたいな奴か。初めて会ってすぐに特攻してぶっ飛ばした思い出があるな。

まあ、全員ブチ殺すなんてことはするつもりないし。せいぜい魔王を俺のとこに来るなと脅すくらいしかしないぜ。

まあ、どうせアルとの手合わせ(という名のイジメとアルは伝えてきたが)ポイントは溜まるけどウザいし人間界の人らに魔王がいるという事で目をつけられたら厄介だからなぁ。

とりあえず帰ってほしいんだが。

「帰れ、お前には帰りを待つ家臣がいるだろ、な?」

「帰ったところでつまらん!色々めんどくさいから妾を暫くここにおけ!」

「家出女かお前は!」

我儘ばかりの魔王サマだな!ちっくしょう、厄介な…………

あれ?今気づいたけどアルはどうした?さっきから全く見当たらない。ボス部屋に居るはずのアルがいないのはどうして?

「シュ…………コ…………」

「待て待て待て待て!ハピ、アルに回復を!」

「了解です!」

部屋の隅っこでなんとか息をしてる状態で見えた。気づかないほど気配が弱くなってると思ったら瀕死じゃないかよ!

「おー、ポーション使うのすっかり忘れとったわ」

「やっぱりあんたの仕業か!」

ダメじゃん!アルの言う通りこれ修行じゃなくてイジメだと俺は思います!アルは巨体だけどまだまだ低レベルだし、ボッコボコにして瀕死に追い込むあんたが怖いよ!

ハピが何かを唱えるとアルの身体がうっすらと光に包まれて呼吸も整ってきている。回復魔法ってすごいな。瀕死から普通の状態に一日もかからずに正常になるんだから。

実は向こうの世界でもあったりするのかなぁ?いや、改造人間とかいたけど魔法は無いよな、うん。

「ほほう、ヌシの回復魔法も見ものだな。妾のところにこんか?」

「私はご主人様一筋です!」

は、ハッキリ言わないでくれ。結構照れるじゃないか…………

「むぅ、やはりケンゴを引き込まなければならぬな」

「帰れ」

「短い言葉で拒否してきたのぅ!」

はぁ、本当に帰ってほしい。どうしたら帰ってくれるんだろうか?

とりあえず、何か賄賂を渡せば帰ってくれるか?一回武器ガチャを引いて、それなりのが当たったら魔王に渡すか。

5000ポイントを消費して、武器&アクセサリーガチャ一回っと。

ガチャガチャ、テレレレー!

おっ、金色という事はスーパーレアか。俺のガチャ運はそれなりにいいんだよなぁ。ソシャゲでもそれなりのレア物を手に入れてたりするし。

でも、スーパーレアを賄賂として渡すのは……諦めるしかないか。


『ガチャリザルト』
・SRー王のマント


ピッタリなの出ちゃったよ!マジで王のマントとか言ってんの?効果はどうなってるんだ…………?

「ケンゴよ、何をやってるのだ?」

「ちょっと黙ってて」


『王者のマント』
説明・文字どおり王が着けるべきマント。それは控え目な豪華さであり王者の風格を見せつける。
効果・全ダメージ10%カット。全異常状態耐性上昇


強っ!全ダメージ10%カットに加えて全異常状態耐性上昇って最高の防具じゃないか!てか、~%カットって言葉はガチャから出たので初めて見たな。天夜叉の着物は大幅に軽減だったのに数字がハッキリ見えてるのは、なんか安心感があるな。

言っちゃ悪いけど、天夜叉の着物の下位互換のアイテムだな。まあ、マントか着物かで言ったら俺は着物の方を取る。マントなんか恥ずかしくて着けられん!

「ほれ、これやるから帰れ」

王者のマントを出して魔王に押し付けた。

「むっ、な、何だこれは!?明らかに一級品ではないか!」

「それ持って帰れ。じゃなきゃそのマントあげんぞ?」

「……………………」

マントを掲げて見入っていた。市場に出したら、というか間違いなく国宝級のマントだからな。俺には不必要なものだが、魔王にとってはどんな風に見えるのだろう?

「…………本当にいいのか?」

「おう、持ってけ持ってけ」

「…………ヌシは馬鹿と言われんか?これを売れば一生遊んで暮らせる金が手に入るというのに」

「俺はそんなの興味ない」

その時のポカンとした魔王の表情は見ものだった。ついでにその顔の写真も端末で撮った。

「…………はっはっはっ!こんなのぽいっと渡されちゃあ帰らざるをえないな」

「それ、手切れ金な」

「馬鹿を言え、また来るわ!では、その時までさらば!」

そう言って、魔王は消えた。これはアレか?ダンジョン探索の時にあの五人が使ってたダンジョン脱出アイテムを使ったのか?

まあ、また来るだろうな。機嫌を損ねない程度に相手してやろう。

「ア、アノ主人?」

「ん?どうしたんだ?」

「…………イエ、ナンデモナイデス」

「どうせ、あのアホが何か仕込んで帰ったんだろ?もうそこら辺は諦めたから」

「…………ソウデスカ」

どうせ、ここにショートカットする為に魔法陣をこっそり仕込んでたりするんだろうな。

よし、俺らも宿に戻って明日のことを考え、あ、まずはあのアホに荒らされたダンジョンを調整するか。ゴーレムとかウルフとかどうにかしないとな。

この作業に、俺とアルとハピにデスが徹夜してやっと終わるなんて知る由もなかった。
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

巨乳すぎる新入社員が社内で〇〇されちゃった件

ナッツアーモンド
恋愛
中高生の時から巨乳すぎることがコンプレックスで悩んでいる、相模S子。新入社員として入った会社でS子を待ち受ける運命とは....。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。 木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。 しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。 そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。 【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

処理中です...