究極生命体のダンジョン作り!

雷川木蓮

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そして事態は終息する

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俺が無能をとっ捕まえて数時間もないうちに決着がついた。

何しろ指令官でもある隊長が『ハルピュイア』のギルマスに倒されて指揮系統を失った上にユーリーチン氏が既に逃げたということで抵抗しても何もない、ということだ。

案外あっさり終わったと思うが反乱の張本人であるユーリーチン氏を逃したのは痛い。

とりあえず無能は騎士団に渡して放置してきた。いや、ぶっちゃけて言うと押し付けてそのまま帰った。

俺は一刻も帰りたい気分なんだよ。あの妙にノリが軽い魔王かこっそり俺の泊まってる宿に押しかけてくることも否定できない。

何が起こるか分からないためまだ戻れない旨を居残り組にメールを送って1日もせずにうちのギルマスに呼び出された。

ギルドに行くとすぐさまギルド長室だっけ?そこでギルマスが用意したお茶とギルマスが自腹で買った小さな菓子を楽しみつつ二人だけの話を始める。

「喧嘩屋、ユーリーチン邸に地下が見つかった」

「あいつが言ってた通りトンネルを掘ってやがったか」

「トンネル?」

「あ、いや、横穴の事だ」

トンネルという単語はこの世界にないんだという事を今知った。それはさておき考察と入ろう。

俺が捕まえた無能ではなく『ハルピュイア』のギルマスが戦い生け捕りにした隊長が自白したとのこと。

隊長は無能とは違って割と乗り気ではなかったらしく、勝ち目もない戦いにやる気も出なかったという。

隊長は大義も何もないことに腹を立てていたらしくすぐに情報を吐き出した。しかもその証言が俺が無能から聞いた&捕まった後にアッサリ自白した内容と一致したのだ。

無能はともかく隊長格にも嘘をついてたなら終わりだが実際に穴は北へ続いていた。

「土竜の事が一番気になるのは俺だけか?」

「それは、次の議題に持ち越された、現状は不明」

次の議題ってギルマスが集まって会議でもしていたのか?していたんだろうなぁ。

この世界の竜および龍はファンタジーらしくかなりの強さを誇っている、らしい。

竜と龍は読み方は違うが種類は大きく違い、この世界基準でいうと『竜=ドラゴン』で『龍=日本神話に出てきそうな龍』みたいな感じだとか。

基本的にはどこかの聖域に隠居してるとかいうがごくごく稀にダンジョンに出現するとか。それでも100年に一度あるかないかの頻度だ。レジェンドレアに位置してるだろう。

欲しい…………とは言わない。うちには戦力はアルとデスで回せそうなくらいだからな。流石に階層も増やさないと。

たまに端末から『○○を撃退しました』というメッセージが届いてくるから居残り組はちゃんと仕事はしている。帰ったらご褒美あげないといけないな。

撃退した相手の半数が勇者ボルトのパーティーなのは気にしちゃいけない。

話が逸れたな。

「ユーリーチン氏が向かった場所の目処はついてるのか?」

「北は帝国、差別と迫害が激しい、無駄に歴史ある」

「説明ありがとう、というか何で無駄に歴史があるなんて俺に言った?」

「ここの北をずっと行った先、絶対に帝国に着く、知らないと思ったから」

「…………なるほど」

要するに俺が無知だって言いたい訳だ。すみませんね生憎異世界から来たもんですから。

地形の把握どころかこの国の名前すら覚えてないから王国とか帝国で区別したらいいだろ。

「ん?喧嘩屋、私のお菓子取った?」

「いや、取ってないぞ?多分どこぞの精霊が盗んだんじゃないか?」

わずか一瞬だったがうちのハイピクシーがギルマスの菓子を盗って逃げたのが見えた。

ギリギリ俺の目で追える範囲だったが、かなりのスピードだぞ。時速何キロ出てるか気になる。

「…………?」

首を傾げて確かめるも証拠はなく何とも言えない表情になるギルマス。孫がいるほどの年齢になっているはずなのに童顔だから威厳がない。

小説とかだとよくある話だが意外と侮れないんだよな。

『フェニックス』という不死鳥の名を持つギルドの長だし相当なもんだろうなぁ。

「じゃあ俺はそろそろお暇させていただく。資金もまあまあ貰ったから少しゆっくりさせてもらう」

「たまには、孫の相手もしてあげて、ね?」

「うちの奴の気分次第だな」

そう言って席を立つ。そのまま部屋を出てハピ達を回収しに行く。

「あ、ご主人様!」

「でちー」

最後にぷるるんと震えるのが金時である。俺が戻ってくるまでギルマスの孫と遊んでいた。主に金時がどう形状変化できるかというのを試すような形だった。

「3人共、そろそろ帰るぞ」

「はーい」

「えー、かえっちゃうの?」

「大丈夫!また来るから!」

ハピがギルマスの孫の周りを笑顔で飛んで俺の肩に着く。

とはいえ今から消息を断つ形で消えるつもりだからしばらく会えないけど…………

そろそろ一度ダンジョンに引きこもって調整もしたい。あれは俺の家でもあるからな、それに定期的に戻らないと誰かが何かをしでかすか分からん。

特に妙にドジな死神とかフットワークの軽い魔王とか。

俺が不在の間に魔王も何回か来てるようだし何か弄られてる可能性が高いから早急に帰らねば。

こうして街の中でとっていた宿を引き払い自分のに帰るとだけメモを残してダンジョンに戻った。今は誰も俺がダンジョンマスターだというのは街の中にいる人は知らない。

さて、本格的に俺が居なくてもダンジョンを動かす準備に入るとするか。



~●~●~●~●~


この時は全く気づかなかったがダンジョンに戻ってから端末端末を開くとアプリが自動追加されていた。

そのアプリのマークはただ真っ黒なものに中心部分に数字が書いてあるだけのもの。

開いてもすぐにアプリが落ちて何のアプリすら分からない。

ただ、書かれている数字は『666』のみ。

この数字が何を示しているのか、今は分からない。
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