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待ち合わせ
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時刻は10時。待ち人は未だ現れない。
何度踏切の音を聞いただろうか?行き交う人と電車にも目もくれず、ベンチに座って暗い中でもよく見えるスマホの画面をひたすら見つめて居た。待ち人の連絡を今か今かと待ちわびる。
「楽しみすぎて早く来すぎたか。さすがに8時は早かったよな……」
なぜ、僕がこんな駅前で待ちぼうけを食らっているかと言うと朝、姉さんから突然のドタキャンを食らったからである。しかも、姉さんからは、帽子と父さんのレイダンのサングラスをつけたままでいろと命令されたのである。
当然、僕は反発したが「もし、外したら今回渡したお金はお小遣いから天引きするから。私の後輩が一緒に行くんだから外したりしたらすぐわかるんだから、私の居ないところで外さないでよね」と言われ黙らされてしまった。
まあ、でもこんな事は大事の前の小事である。服を買うお金をもらったのだから、この程度の事は飲むのも許容できる。僕は何としてもクラスカーストを上げると決めたんだ。
それにしても、そろそろ来ても良いのになあ。
すると、不意にスマホがピコンとなった。画面を見ると新着のメッセージがありますと表示されている。あれほど待ち望んで居たのにいざ、連絡が来ると緊張する。僕は震える手でスマホを操作しアプリを開け、サッキーと言う名前の可愛い猫のアイコンをタップした。
『着いたよ~ヒキトさん、どこいます?』
僕のSNS名がメッセージに書いてあるし、間違いではなさそうだ。
僕はすぐそこに居るのかもしれないと焦り、あたりをキョロキョロしてから返信する。
『南口の前のベンチで座っています』
ピコン。すぐに返信が返って来た。
『了解!じゃ、今から行くんで』
どうやら、来てくれるようだが、心の準備をするにも自分から向かう方が良かったかも。
それにしてもどんな人だろうか?
メッセージを見る限り、なんだか軽そうな人だなぁ。僕の苦手なタイプっぽい。姉さんからは、同い年の女の子としか聞いてなかったけれど、それだけでも女の子とロクに話したことのない僕には難易度高いのに苦手なタイプとなるとさらに難易度上がるとやっていける気がしない。はあ。気が重くなって来た。
「あの、ヒキトさんですか?」
どこか聞き覚えのある声の方をスマホから目を離して見ると黒髪に赤いメガネをかけた美人の女性がいた。
僕は、想像していた外見とは全然違い、どこか大人しそうで大人っぽい包容力があり、透けるような肌をした文化系の雰囲気を受ける。しかし、それでいて表情は明るく活発な印象を受けた。
僕は自分が見とれていたことに気づき、慌てて返事する。
「は、はい!僕がヒキトです!」
「そんな焦んなし、サングラスかけてる相手に焦られるとこっちのが焦るから」
そう言ってサッキーさんは、ケラケラと笑った。
そして、僕の方をじっと見つめる。
「あ、あの何か?」
「うーん、義姉さんが服見てやってくれって言う理由がわかったからさ」
そんなに僕の服のセンスがダメなのだろうか?
今日は、中学の時に自分で買った水色の星柄のシャツと濃い茶色のズボンで裾はボーダーになったズボンを履いている。自分なりに一番オシャレな服を選んだつもりだったが自信をなくしてくる。
「やっぱ、ダサいですか?」
「ああ!ごめんごめん!ヒキトって、私とタメだよね?なら、そんなもんじゃない?別に私は、誰がどんな服着てようが見る目変わんないからさ!それに敬語やめない?聞いてる私が疲れて来るんですけど」
サッキーさんは再びケラケラと笑った。
見た目と中身は伴わなくて想像通りの人だけど、良い人だな。今日はなんとか上手くやれそうな気がしてきた。
「えと、サッキーさんが高高二年生ならですけど」
「じゃあタメじゃん!」
「そ、そうですけど」
「ちょ、敬語やめなって!」
「う、うんわかったよ!」
「よし!合格!それじゃ服買い行こっか!」
サッキーさんが歩き始めたのをみて、僕は慌ててベンチから腰を上げて、軽く走って隣に並ぶと歩幅を合わせて歩く。隣からは爽やかで甘い柑橘系の香りがした。
それにしても何話せば良いのだろう。もともと人見知りで仲良くなれた人しか上手く話すことができない。その上、今まで女の子とは事務的な用事や2,3分話したことしかない。そんな時でも話せた日にはガッツポーズをしたものだ。そんな僕に男慣れしてそうなさっきーさんを楽しませられるような話ができるのだろうか……
「なーに暗い顔してんのよ」
僕が落ち込んでいたのを悟ったのかさっきーさんが上目遣いで伺うように覗き込んで来る。
「いや、自分あんまり女の子と喋ったことが無いし、人見知りで何話して良いかわからなくて……」
僕はあって間もないのにサッキーさんの距離の詰め方が上手いのかつい恥ずかしことを話してしまった。
うう、引かれただろうな。なんで、喋っちゃったんだろ。喋るにしても今じゃ無いよなぁ。今日一日気まずい一日を送らなければならない。
しかし、そんな心配をよそにサッキーさんはケラケラと笑った。
「なーにそんな事気にしてんのよ!別に話す事がなかったら話さなくても良いの!そんな事よりサングラスしてて周りに変な目で見られないかでも気にしてなさい」
「そ、そう?」
僕が、心配げに尋ねるとサッキーさんは口の端を広げ、ニッと笑顔で答えた。
「そう!それにヒキトが話さないんなら私が勝手に喋るだけだしね!それにいつかは、喋れるようになるって。なに喋っても気にしないから私で練習しなさいよ」
僕はサッキーさんの優しさに触れ、絶対に上手く話せるようになろうと思った。そして、会って間もないのにサッキーさんとは気兼ね無く話せる気がした。
何度踏切の音を聞いただろうか?行き交う人と電車にも目もくれず、ベンチに座って暗い中でもよく見えるスマホの画面をひたすら見つめて居た。待ち人の連絡を今か今かと待ちわびる。
「楽しみすぎて早く来すぎたか。さすがに8時は早かったよな……」
なぜ、僕がこんな駅前で待ちぼうけを食らっているかと言うと朝、姉さんから突然のドタキャンを食らったからである。しかも、姉さんからは、帽子と父さんのレイダンのサングラスをつけたままでいろと命令されたのである。
当然、僕は反発したが「もし、外したら今回渡したお金はお小遣いから天引きするから。私の後輩が一緒に行くんだから外したりしたらすぐわかるんだから、私の居ないところで外さないでよね」と言われ黙らされてしまった。
まあ、でもこんな事は大事の前の小事である。服を買うお金をもらったのだから、この程度の事は飲むのも許容できる。僕は何としてもクラスカーストを上げると決めたんだ。
それにしても、そろそろ来ても良いのになあ。
すると、不意にスマホがピコンとなった。画面を見ると新着のメッセージがありますと表示されている。あれほど待ち望んで居たのにいざ、連絡が来ると緊張する。僕は震える手でスマホを操作しアプリを開け、サッキーと言う名前の可愛い猫のアイコンをタップした。
『着いたよ~ヒキトさん、どこいます?』
僕のSNS名がメッセージに書いてあるし、間違いではなさそうだ。
僕はすぐそこに居るのかもしれないと焦り、あたりをキョロキョロしてから返信する。
『南口の前のベンチで座っています』
ピコン。すぐに返信が返って来た。
『了解!じゃ、今から行くんで』
どうやら、来てくれるようだが、心の準備をするにも自分から向かう方が良かったかも。
それにしてもどんな人だろうか?
メッセージを見る限り、なんだか軽そうな人だなぁ。僕の苦手なタイプっぽい。姉さんからは、同い年の女の子としか聞いてなかったけれど、それだけでも女の子とロクに話したことのない僕には難易度高いのに苦手なタイプとなるとさらに難易度上がるとやっていける気がしない。はあ。気が重くなって来た。
「あの、ヒキトさんですか?」
どこか聞き覚えのある声の方をスマホから目を離して見ると黒髪に赤いメガネをかけた美人の女性がいた。
僕は、想像していた外見とは全然違い、どこか大人しそうで大人っぽい包容力があり、透けるような肌をした文化系の雰囲気を受ける。しかし、それでいて表情は明るく活発な印象を受けた。
僕は自分が見とれていたことに気づき、慌てて返事する。
「は、はい!僕がヒキトです!」
「そんな焦んなし、サングラスかけてる相手に焦られるとこっちのが焦るから」
そう言ってサッキーさんは、ケラケラと笑った。
そして、僕の方をじっと見つめる。
「あ、あの何か?」
「うーん、義姉さんが服見てやってくれって言う理由がわかったからさ」
そんなに僕の服のセンスがダメなのだろうか?
今日は、中学の時に自分で買った水色の星柄のシャツと濃い茶色のズボンで裾はボーダーになったズボンを履いている。自分なりに一番オシャレな服を選んだつもりだったが自信をなくしてくる。
「やっぱ、ダサいですか?」
「ああ!ごめんごめん!ヒキトって、私とタメだよね?なら、そんなもんじゃない?別に私は、誰がどんな服着てようが見る目変わんないからさ!それに敬語やめない?聞いてる私が疲れて来るんですけど」
サッキーさんは再びケラケラと笑った。
見た目と中身は伴わなくて想像通りの人だけど、良い人だな。今日はなんとか上手くやれそうな気がしてきた。
「えと、サッキーさんが高高二年生ならですけど」
「じゃあタメじゃん!」
「そ、そうですけど」
「ちょ、敬語やめなって!」
「う、うんわかったよ!」
「よし!合格!それじゃ服買い行こっか!」
サッキーさんが歩き始めたのをみて、僕は慌ててベンチから腰を上げて、軽く走って隣に並ぶと歩幅を合わせて歩く。隣からは爽やかで甘い柑橘系の香りがした。
それにしても何話せば良いのだろう。もともと人見知りで仲良くなれた人しか上手く話すことができない。その上、今まで女の子とは事務的な用事や2,3分話したことしかない。そんな時でも話せた日にはガッツポーズをしたものだ。そんな僕に男慣れしてそうなさっきーさんを楽しませられるような話ができるのだろうか……
「なーに暗い顔してんのよ」
僕が落ち込んでいたのを悟ったのかさっきーさんが上目遣いで伺うように覗き込んで来る。
「いや、自分あんまり女の子と喋ったことが無いし、人見知りで何話して良いかわからなくて……」
僕はあって間もないのにサッキーさんの距離の詰め方が上手いのかつい恥ずかしことを話してしまった。
うう、引かれただろうな。なんで、喋っちゃったんだろ。喋るにしても今じゃ無いよなぁ。今日一日気まずい一日を送らなければならない。
しかし、そんな心配をよそにサッキーさんはケラケラと笑った。
「なーにそんな事気にしてんのよ!別に話す事がなかったら話さなくても良いの!そんな事よりサングラスしてて周りに変な目で見られないかでも気にしてなさい」
「そ、そう?」
僕が、心配げに尋ねるとサッキーさんは口の端を広げ、ニッと笑顔で答えた。
「そう!それにヒキトが話さないんなら私が勝手に喋るだけだしね!それにいつかは、喋れるようになるって。なに喋っても気にしないから私で練習しなさいよ」
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