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2話
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私はふぅっと息を吐き、おじいちゃん犬になったダンに少し挨拶しに行ってから馬車で屋敷へ帰った。
「シア!おかえり。第2王子の頼みは受けたのかい」
「お父様知ってたのね。もう。先に言っておいてくれたら返事に悩まなくて済んだのにい」
「どっちにしても結局は側近になることに決めただろう?」
「まあ!それでも心の準備が出来てるのと出来てないのは全然違いますわっ。」
「ははは。年頃の結婚前の娘を側近にしたいと第2王子から謝罪があったんだよ。」
「エレンったらお父様にそんなこと言ってたのね。」
「はは。陛下もシアに期待していたよ」
「陛下も!?」
そりゃそうだ……。王妃を決める一大事に陛下が何も知らないわけが無い。
でもいざ周りの反応を耳にすると頭が痛い。
んー手王妃候補か……。
今まで寄ってきた子は少なからずエレンやセオドアの話題にはなったし、一切興味を持たなかったのは親友のマリーくらいしか居ないけどマリーには愛しい婚約者様がもう既にいるし結婚を控えてる。
王子に興味無い人なんていない。
だけど私には分からないけど王妃になるって女性の夢でもあるし興味があるのは悪いことじゃあないものね……。
それにしても何人の候補が発表されるのかしら…。
付近の王女はもちろん首都には8人は年頃の公爵令嬢がいる。そのうち3人は婚約済だ。
残りの5人も候補に入ってるだろうな…。
そのうちの2人…アリス令嬢とフレシア令嬢はどちらかと言うと私に敵意を持っていた令嬢だった。
私が側近になると知ればどんな態度になるのかしら。
ふぅ……今考えても仕方ないわ……。
何としてもエレンが好み、国のためになるような令嬢を見極めないと。
______________________
そんなことを考えながらもあっという間に日は過ぎ舞踏会当日になった。
そして私は普通の観客として舞踏会へ入る。
私が入ると当たりは一瞬にして静かになり
周りの令嬢達が「やっぱり令嬢も王妃の座を狙ってたのかしら」「いやでも前にお聞きした時は王妃の座に興味が無いと仰ってたわ」なんて言葉や「令嬢が候補に入るなら私たちは出る幕無いんじゃ……」「王妃候補を決めると言いながら本当はトレシア令嬢だと決まってるんじゃないかしら……」
「でもコサージュが付いてませんわ」
なんて聞こえてくる。
1人、青バラのコサージュを付けた女性が私を睨んでいるのが見えた。
発表される予定の令嬢にはドレスにバラのコサージュが着いているとエレンから前もって手紙を貰っていた。
この子は直ぐに顔に出るのね。と私は思いながらも
この中で動じず黙っている令嬢は誰だろう。と周りを見渡した。
コツ……コツコツコツ……
「トリシア・サイラス令嬢、心からお待ちしておりました。第2王子もあちらに居りますよ。さあ、行きましょう」
「…第1王子!」
私はサッとお辞儀をし、返事しながらセオドアの後ろを歩いた。
(セオドア、今セオドアが私に話しかけたらもっと目立つじゃない。)
(そんなの元からだろう?僕が話しかけたらってだけで一変するような事を犯した訳じゃないよ。それにエフレインの側近だってことも発表してないのにあそこで周りを見渡してる方がトレシアの敵は誰だだって確認してるように見えるよ。クスクス)
(……確かにセオドアの言う通りだったわ。だけどわざわざセオドアが私を呼ばなくても……)
(うーん。でもあの状況なら俺が行った方が良かっただろ?きっと今頃みんなの心の中はエフレインの婚約候補なのか、俺の婚約候補なのかどっちだ!?って感じだろうし。)
(もう!それも問題なのよ。2人とも分かってないんだから!どっちにしても令嬢達からどんな目で見られてきたかも知ってるでしょ?)
(令嬢達の俺らを見る目がおかしいんだよっ。)
(そうは言ってもあなたたち一応王子なんだし。)
(またそんなこと言う。王子も人間なんだぞ。王子だろうが公爵だろうが誰でも話す相手は選ぶんだよ。)
(はあ……。それでも2人とも周りの子達を敵視しすぎなの。)
(ははっでも現にシアも敵視されてるじゃないか。そんな奴らと俺は仲良くなれない。ただそれだけだよ)
私はセオドアの言葉にため息を吐きながらもエレンの元へ着き、お辞儀した。
「シア!みんなシアに注目しすぎて心配したよ」
エレンが頼んだくせにこんなこと言うなんてズルいわ。なんて思いながらもエレンやセオドアが令嬢達を信用出来ない気持ちも分かるために微笑みながら大丈夫よ。と言うしか無かった。
私から見ても2人を見る令嬢たちは狼にしか見えないから…。
少し3人で話してると皇帝陛下が話し出した。
「全ての貴族達、いつも国のために働いてくれて感謝する。そして今日、王子の為の舞踏会にたくさんの人間が参加してくれた。
私はこれほどに嬉しい日は無いと思う。
選ばれなかった令嬢達よ。もし候補にならなかったとしても令嬢達に欠点がある訳では無い。それだけはわかっていて欲しい。
さっそくだが第2王子、エフレインの王妃候補を発表する。」
王妃候補の発表が始まった。
「第1候補、アリス・シュテリア公爵令嬢。」
アリス令嬢は陛下の前に出てお辞儀し挨拶をする。
「アリス・シュテリアでございます。陛下、王妃候補に選んで下さり感謝致します。エフレイン様、これからどんな苦難も一緒に乗り越えられるような王妃を目指して頑張りますわ。よろしくお願いします。」
周りに拍手が起こる。
そして次々発表されていく。
「第2候補、イザベラ・ダリテル王女
第3候補、エミリー・ウォーカー王女
第4候補、フレシア・スチュアート公爵令嬢
………………
第9候補、これで最後になる。
トレシア・サイラス」
なっなんですって!?王妃候補!?
側近として発表される訳じゃないの!?
私はパッとエレンとセオドアの方を見るも2人も少し動揺しているようだったため陛下の方を見上げた。
陛下は早く挨拶においでと言わんばかりにニコニコ微笑んでいる。
皇后の秘書であるケリーがわたしに青いバラをそっと渡しにきた。
「シア!おかえり。第2王子の頼みは受けたのかい」
「お父様知ってたのね。もう。先に言っておいてくれたら返事に悩まなくて済んだのにい」
「どっちにしても結局は側近になることに決めただろう?」
「まあ!それでも心の準備が出来てるのと出来てないのは全然違いますわっ。」
「ははは。年頃の結婚前の娘を側近にしたいと第2王子から謝罪があったんだよ。」
「エレンったらお父様にそんなこと言ってたのね。」
「はは。陛下もシアに期待していたよ」
「陛下も!?」
そりゃそうだ……。王妃を決める一大事に陛下が何も知らないわけが無い。
でもいざ周りの反応を耳にすると頭が痛い。
んー手王妃候補か……。
今まで寄ってきた子は少なからずエレンやセオドアの話題にはなったし、一切興味を持たなかったのは親友のマリーくらいしか居ないけどマリーには愛しい婚約者様がもう既にいるし結婚を控えてる。
王子に興味無い人なんていない。
だけど私には分からないけど王妃になるって女性の夢でもあるし興味があるのは悪いことじゃあないものね……。
それにしても何人の候補が発表されるのかしら…。
付近の王女はもちろん首都には8人は年頃の公爵令嬢がいる。そのうち3人は婚約済だ。
残りの5人も候補に入ってるだろうな…。
そのうちの2人…アリス令嬢とフレシア令嬢はどちらかと言うと私に敵意を持っていた令嬢だった。
私が側近になると知ればどんな態度になるのかしら。
ふぅ……今考えても仕方ないわ……。
何としてもエレンが好み、国のためになるような令嬢を見極めないと。
______________________
そんなことを考えながらもあっという間に日は過ぎ舞踏会当日になった。
そして私は普通の観客として舞踏会へ入る。
私が入ると当たりは一瞬にして静かになり
周りの令嬢達が「やっぱり令嬢も王妃の座を狙ってたのかしら」「いやでも前にお聞きした時は王妃の座に興味が無いと仰ってたわ」なんて言葉や「令嬢が候補に入るなら私たちは出る幕無いんじゃ……」「王妃候補を決めると言いながら本当はトレシア令嬢だと決まってるんじゃないかしら……」
「でもコサージュが付いてませんわ」
なんて聞こえてくる。
1人、青バラのコサージュを付けた女性が私を睨んでいるのが見えた。
発表される予定の令嬢にはドレスにバラのコサージュが着いているとエレンから前もって手紙を貰っていた。
この子は直ぐに顔に出るのね。と私は思いながらも
この中で動じず黙っている令嬢は誰だろう。と周りを見渡した。
コツ……コツコツコツ……
「トリシア・サイラス令嬢、心からお待ちしておりました。第2王子もあちらに居りますよ。さあ、行きましょう」
「…第1王子!」
私はサッとお辞儀をし、返事しながらセオドアの後ろを歩いた。
(セオドア、今セオドアが私に話しかけたらもっと目立つじゃない。)
(そんなの元からだろう?僕が話しかけたらってだけで一変するような事を犯した訳じゃないよ。それにエフレインの側近だってことも発表してないのにあそこで周りを見渡してる方がトレシアの敵は誰だだって確認してるように見えるよ。クスクス)
(……確かにセオドアの言う通りだったわ。だけどわざわざセオドアが私を呼ばなくても……)
(うーん。でもあの状況なら俺が行った方が良かっただろ?きっと今頃みんなの心の中はエフレインの婚約候補なのか、俺の婚約候補なのかどっちだ!?って感じだろうし。)
(もう!それも問題なのよ。2人とも分かってないんだから!どっちにしても令嬢達からどんな目で見られてきたかも知ってるでしょ?)
(令嬢達の俺らを見る目がおかしいんだよっ。)
(そうは言ってもあなたたち一応王子なんだし。)
(またそんなこと言う。王子も人間なんだぞ。王子だろうが公爵だろうが誰でも話す相手は選ぶんだよ。)
(はあ……。それでも2人とも周りの子達を敵視しすぎなの。)
(ははっでも現にシアも敵視されてるじゃないか。そんな奴らと俺は仲良くなれない。ただそれだけだよ)
私はセオドアの言葉にため息を吐きながらもエレンの元へ着き、お辞儀した。
「シア!みんなシアに注目しすぎて心配したよ」
エレンが頼んだくせにこんなこと言うなんてズルいわ。なんて思いながらもエレンやセオドアが令嬢達を信用出来ない気持ちも分かるために微笑みながら大丈夫よ。と言うしか無かった。
私から見ても2人を見る令嬢たちは狼にしか見えないから…。
少し3人で話してると皇帝陛下が話し出した。
「全ての貴族達、いつも国のために働いてくれて感謝する。そして今日、王子の為の舞踏会にたくさんの人間が参加してくれた。
私はこれほどに嬉しい日は無いと思う。
選ばれなかった令嬢達よ。もし候補にならなかったとしても令嬢達に欠点がある訳では無い。それだけはわかっていて欲しい。
さっそくだが第2王子、エフレインの王妃候補を発表する。」
王妃候補の発表が始まった。
「第1候補、アリス・シュテリア公爵令嬢。」
アリス令嬢は陛下の前に出てお辞儀し挨拶をする。
「アリス・シュテリアでございます。陛下、王妃候補に選んで下さり感謝致します。エフレイン様、これからどんな苦難も一緒に乗り越えられるような王妃を目指して頑張りますわ。よろしくお願いします。」
周りに拍手が起こる。
そして次々発表されていく。
「第2候補、イザベラ・ダリテル王女
第3候補、エミリー・ウォーカー王女
第4候補、フレシア・スチュアート公爵令嬢
………………
第9候補、これで最後になる。
トレシア・サイラス」
なっなんですって!?王妃候補!?
側近として発表される訳じゃないの!?
私はパッとエレンとセオドアの方を見るも2人も少し動揺しているようだったため陛下の方を見上げた。
陛下は早く挨拶においでと言わんばかりにニコニコ微笑んでいる。
皇后の秘書であるケリーがわたしに青いバラをそっと渡しにきた。
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