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14話
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「…………」
セオドアはため息を着きながら私を見つめニコっと笑った。
この笑顔は誤魔化す時の笑顔だ。何も聞かなかったフリをするには無理があるし……直接聞いたところでセオは言いたくないかもしれない。
「セオ…?悲劇って何?何かがあったからセオは王位継承にも興味が無くなったの?」
「シア……。」
セオは思っていた以上に知られたくなかったのかいつものようにため息をつき、あいつめ要らぬことを言い残して……なんてことすらも言わず困った顔で頭を抱えた。
「……いや。いいの。ごめんなさい。セオが話したくなってからまた話して?じゃ、私そろそろ部屋に戻るわ」
私はそっと後ろを向き歩こうとする。
「シア。聞いてくれるか?」
私は振り返りセオが話してもいいと思えるのならとそっと頷き宮庭のベンチに座り直す。
私はセオドアの子供の頃あった令嬢嫌いなった原因を静かに聞いた。
「俺が……王位継承に興味を持ってないようなこんな態度でもエレンや両親に気遣われて過ごしてきた理由がこんな小さい事でびっくりしただろ……。それでも子供だった俺にとってはちょっとした俺の行動があんなに大きく人を動かしてしまうことに恐怖を感じたんだ。」
それで……セオには笑顔が無くなってエレンには表向きの顔が……私は思わず立ち上がりセオを抱きしめた。
でもどうして私は何も知らなかったんだろう……。
確かにエレンやセオと出会ったのは遅かったけれど……小さい頃から私は皇宮に顔を出してるはずなのに……。
「シア……。」
顔を真っ赤にしながら私の名前を呼ぶセオドア。
はっ私思わずセオに抱きついて……そのまま考え事しちゃうなんて。
思わず自分の顔も熱くなっていくのが分かりパッと離した。
「トレシアが記憶にないのも仕方ないよ。シアのお母さまが生きていた頃だからな。母親としてはそんな噂耳に入れたくないだろ」
「え?お母さまが生きてた頃?私のお母さまって私がもっと小さい頃に亡くなったんじゃ……」
セオはやってしまったと言わん顔で顔を抑えた。
「……どういうこと?だから私お母様の記憶が無いと納得してたのに。……ウゥッ」
思い出そうとしてひどい頭痛に襲われる中、頭を抱えながらお母様と部屋で過ごして来た時間を少し思い出した。
「トレシアッ」
私はセオの心配する声を聞きながらもだんだん意識が薄れていった。
______________________
顔は見えないけれど皇庭のベンチに座ってるのはお母さまだ。
お母さまの元へ行きたいのになぜだか足に重りがついたように重く凄く遠く感じる。
「ッッ……」
あれ?声が出ない……っ
お母さまと話したいのに。お願いっお母さま。
「……お母さまッッ」
ふと目を開くといつの間にか部屋に運ばれていたみたいだった。
「トレシア!!目が覚めたか?」
「お父様…」
「痛いところはないかい急に倒れたと聞いてびっくりしたよ。」
「あ……そっか。私急に頭痛が酷くなったと思ったら目眩がして……」
「ああ。第1王子から君が倒れて直ぐに連絡を受けたんだよ。」
「そうだったのね。心配かけてごめんなさい。」
「はは。そんなこと考えなくていいよ。トレシアが倒れたときに第1王子が支えてくれたおかげで怪我も無かったようでよかったよ。」
「セオが……。あっ……お母さまが亡くなったのは私が赤ちゃんの頃じゃあなかったのね……」
私はふと支えてもらった時のことを思い出し恥ずかしくなると同時にお母さまが生きていた時、私がお母さまと部屋で一緒に過ごしていた時間を少し思い出したことを思い出した。
「……ああ。だが無理に思い出す必要はない。お母さまもシアの幸せだけを願っているはずだから。」
「私は何故お母さまのことを思い出せないのかしら…」
「それ程…トレシアはお母様が大好きだったからショックが大きかったんだよ。」
「だから……こうなることを分かってたからお父様はお母様のいい所ばかり教えてくれて思い出は何1つ教えられなかったのね……。」
お父様は困ったように私を見つめる。
「…お母様が亡くなった時、何度か話の流れで思い出話をしたことがあったんだ。だけどやっぱり今みたいに。それでお母様がどんな人だったかだけを話すことにしたんだよ」
「そうだったのね……。お父様……いつもありがとう。」
コンコンッ ガチャ
「……トレシア!!良かった……目が覚めたんだな」
「セオ。ごめんね。びっくりしちゃったわよね…。その……さっきは支えてくれてありがとう。」
「いや。父上やサイラス公爵から聞いてたから気をつけてたんだが……ごめん。」
「セオも知ってたのね…。今まで倒れないように気遣ってくれてありがとう…。」
セオやエレンも……みんな気遣ってくれてたんだ……。
私は今まで何も知らなかった自分に少し恥ずかしくなる。
「いや、分かってたはずなのにこんな事になってしまったのは僕のせいだ。」
「ううん。セオは悪くないわ。ショックだったとはいえお母さまのことを思い出せなくなるなんて……。確かに頭痛で倒れちゃったけど、ちょっとだけ子供の頃お母様と過ごしてきた時間を思い出すことが出来て嬉しいの。」
「……そうか。でも無理してまで思い出す必要はないからな。夫人もきっとそう願ってるだろうから」
「うん……。ありがとう」
「……僕は部屋に戻ります。公爵……本当に申し訳ありませんでした。」
「いや、娘の言う通り、王子は何も悪くない。それより娘が倒れた時支えてやってくれたおかげで怪我をせずに済んで助かりました。王子も少し疲れたでしょう。ゆっくり休んでください。今日はありがとう。」
「トレシア……ゆっくり休むんだよ。では失礼します」
そう言ってセオドアは少し申し訳なさそうに部屋を出ていった。
「セオに後できちんとお礼しなきゃね。」
「そうだね。私からもきちんとお礼しておこう。今日はゆっくり休みなさい。私もそろそろ帰るとするよ。何かあったら直ぐに言いなさい」
「ありがとうお父様。」
お父様が部屋を出ると共にエナとオリヴィアが入ってきて早々心配そうに口を開いてくれる。
「トレシア嬢、目が覚められて良かったです。体調はどうですか?」
「シア……倒れたって聞いてびっくりしました…。こんな事なら私達もやっぱり着いていくべきでした。それに侍女としてシアの体調が優れない事に気づけなかったなんて…。無理しないで私たちには……いや。私たちがもっと気にしないといけなかったんだわ!!」
エナ達は私が倒れた原因を知らないようでいつもの冷静さを取り乱しながらもオリヴィアと目を合わせて今後はこんなことが無いようにと気合いを入れる素振りを見せる。
お父様が次女にも倒れた原因は伏せてるということはやっぱり私も話さない方がいいのよね。
「ふふふ。エナ、オリヴィア、心配してくれてありがとう。でも朝は本当に調子が良かったのよ。ずっとバラ園にいたから少し暑くなってクラっとしてしまっただけなの。だから2人が気づいてない訳じゃないわ。」
「確かにここ最近気温が少し上がってますものね。トレシア嬢、暑いのが苦手でしたら社交界の後の王妃候補者にそれぞれ与えられる領地視察や経営は北のアストレアを選ばれてはどうでしょう」
エナとオリヴィアが今朝の朝食の時に言ってたのを忘れてたわ。
領地視察や経営が出来るか見極めるために選んだ土地に出向いて3ヶ月程そこで仕事するんだっけ……。
「でもアストレアと言えばここ半年程前に領主が税金を使い込んでいるのが発覚して赤字な上に治安も少し悪くなって陛下が引き取った土地だとかって聞いた気が……」
「え、そうでしたの?私が行った時は綺麗な湖で街の方達も活気溢れて素晴らしかったのに……。でしたらやっぱり安定してる西のバスクレストかしら。」
「バスクレスト!!これからの時期過ごしやすそうですわね。」
「ふふふ。私だけじゃないからまだ誰がどこを選択するか分からないじゃない。でもアストレア…少し気になるわ。でも視察はともかく経営をまかされるのはもう少し王妃候補者が絞られた後でしょうし、どうなるか分からないから今から考えてもどうしようもないわね」
それまでにエレンがいいと思える相手が見つかる可能性もあるし、私が残るという保証も無いもの。
「トレシア嬢なら王妃に向いてると思いますし第2王子様も…「オリヴィアっ」
「あっ…いえ、どうなるか分からないですものね」
「??」
「トレシア嬢、気にしないでください。私達は個人的にトレシア嬢が王妃になればと願ってるだけですから」
「ふふふ。ありがとう」
セオドアはため息を着きながら私を見つめニコっと笑った。
この笑顔は誤魔化す時の笑顔だ。何も聞かなかったフリをするには無理があるし……直接聞いたところでセオは言いたくないかもしれない。
「セオ…?悲劇って何?何かがあったからセオは王位継承にも興味が無くなったの?」
「シア……。」
セオは思っていた以上に知られたくなかったのかいつものようにため息をつき、あいつめ要らぬことを言い残して……なんてことすらも言わず困った顔で頭を抱えた。
「……いや。いいの。ごめんなさい。セオが話したくなってからまた話して?じゃ、私そろそろ部屋に戻るわ」
私はそっと後ろを向き歩こうとする。
「シア。聞いてくれるか?」
私は振り返りセオが話してもいいと思えるのならとそっと頷き宮庭のベンチに座り直す。
私はセオドアの子供の頃あった令嬢嫌いなった原因を静かに聞いた。
「俺が……王位継承に興味を持ってないようなこんな態度でもエレンや両親に気遣われて過ごしてきた理由がこんな小さい事でびっくりしただろ……。それでも子供だった俺にとってはちょっとした俺の行動があんなに大きく人を動かしてしまうことに恐怖を感じたんだ。」
それで……セオには笑顔が無くなってエレンには表向きの顔が……私は思わず立ち上がりセオを抱きしめた。
でもどうして私は何も知らなかったんだろう……。
確かにエレンやセオと出会ったのは遅かったけれど……小さい頃から私は皇宮に顔を出してるはずなのに……。
「シア……。」
顔を真っ赤にしながら私の名前を呼ぶセオドア。
はっ私思わずセオに抱きついて……そのまま考え事しちゃうなんて。
思わず自分の顔も熱くなっていくのが分かりパッと離した。
「トレシアが記憶にないのも仕方ないよ。シアのお母さまが生きていた頃だからな。母親としてはそんな噂耳に入れたくないだろ」
「え?お母さまが生きてた頃?私のお母さまって私がもっと小さい頃に亡くなったんじゃ……」
セオはやってしまったと言わん顔で顔を抑えた。
「……どういうこと?だから私お母様の記憶が無いと納得してたのに。……ウゥッ」
思い出そうとしてひどい頭痛に襲われる中、頭を抱えながらお母様と部屋で過ごして来た時間を少し思い出した。
「トレシアッ」
私はセオの心配する声を聞きながらもだんだん意識が薄れていった。
______________________
顔は見えないけれど皇庭のベンチに座ってるのはお母さまだ。
お母さまの元へ行きたいのになぜだか足に重りがついたように重く凄く遠く感じる。
「ッッ……」
あれ?声が出ない……っ
お母さまと話したいのに。お願いっお母さま。
「……お母さまッッ」
ふと目を開くといつの間にか部屋に運ばれていたみたいだった。
「トレシア!!目が覚めたか?」
「お父様…」
「痛いところはないかい急に倒れたと聞いてびっくりしたよ。」
「あ……そっか。私急に頭痛が酷くなったと思ったら目眩がして……」
「ああ。第1王子から君が倒れて直ぐに連絡を受けたんだよ。」
「そうだったのね。心配かけてごめんなさい。」
「はは。そんなこと考えなくていいよ。トレシアが倒れたときに第1王子が支えてくれたおかげで怪我も無かったようでよかったよ。」
「セオが……。あっ……お母さまが亡くなったのは私が赤ちゃんの頃じゃあなかったのね……」
私はふと支えてもらった時のことを思い出し恥ずかしくなると同時にお母さまが生きていた時、私がお母さまと部屋で一緒に過ごしていた時間を少し思い出したことを思い出した。
「……ああ。だが無理に思い出す必要はない。お母さまもシアの幸せだけを願っているはずだから。」
「私は何故お母さまのことを思い出せないのかしら…」
「それ程…トレシアはお母様が大好きだったからショックが大きかったんだよ。」
「だから……こうなることを分かってたからお父様はお母様のいい所ばかり教えてくれて思い出は何1つ教えられなかったのね……。」
お父様は困ったように私を見つめる。
「…お母様が亡くなった時、何度か話の流れで思い出話をしたことがあったんだ。だけどやっぱり今みたいに。それでお母様がどんな人だったかだけを話すことにしたんだよ」
「そうだったのね……。お父様……いつもありがとう。」
コンコンッ ガチャ
「……トレシア!!良かった……目が覚めたんだな」
「セオ。ごめんね。びっくりしちゃったわよね…。その……さっきは支えてくれてありがとう。」
「いや。父上やサイラス公爵から聞いてたから気をつけてたんだが……ごめん。」
「セオも知ってたのね…。今まで倒れないように気遣ってくれてありがとう…。」
セオやエレンも……みんな気遣ってくれてたんだ……。
私は今まで何も知らなかった自分に少し恥ずかしくなる。
「いや、分かってたはずなのにこんな事になってしまったのは僕のせいだ。」
「ううん。セオは悪くないわ。ショックだったとはいえお母さまのことを思い出せなくなるなんて……。確かに頭痛で倒れちゃったけど、ちょっとだけ子供の頃お母様と過ごしてきた時間を思い出すことが出来て嬉しいの。」
「……そうか。でも無理してまで思い出す必要はないからな。夫人もきっとそう願ってるだろうから」
「うん……。ありがとう」
「……僕は部屋に戻ります。公爵……本当に申し訳ありませんでした。」
「いや、娘の言う通り、王子は何も悪くない。それより娘が倒れた時支えてやってくれたおかげで怪我をせずに済んで助かりました。王子も少し疲れたでしょう。ゆっくり休んでください。今日はありがとう。」
「トレシア……ゆっくり休むんだよ。では失礼します」
そう言ってセオドアは少し申し訳なさそうに部屋を出ていった。
「セオに後できちんとお礼しなきゃね。」
「そうだね。私からもきちんとお礼しておこう。今日はゆっくり休みなさい。私もそろそろ帰るとするよ。何かあったら直ぐに言いなさい」
「ありがとうお父様。」
お父様が部屋を出ると共にエナとオリヴィアが入ってきて早々心配そうに口を開いてくれる。
「トレシア嬢、目が覚められて良かったです。体調はどうですか?」
「シア……倒れたって聞いてびっくりしました…。こんな事なら私達もやっぱり着いていくべきでした。それに侍女としてシアの体調が優れない事に気づけなかったなんて…。無理しないで私たちには……いや。私たちがもっと気にしないといけなかったんだわ!!」
エナ達は私が倒れた原因を知らないようでいつもの冷静さを取り乱しながらもオリヴィアと目を合わせて今後はこんなことが無いようにと気合いを入れる素振りを見せる。
お父様が次女にも倒れた原因は伏せてるということはやっぱり私も話さない方がいいのよね。
「ふふふ。エナ、オリヴィア、心配してくれてありがとう。でも朝は本当に調子が良かったのよ。ずっとバラ園にいたから少し暑くなってクラっとしてしまっただけなの。だから2人が気づいてない訳じゃないわ。」
「確かにここ最近気温が少し上がってますものね。トレシア嬢、暑いのが苦手でしたら社交界の後の王妃候補者にそれぞれ与えられる領地視察や経営は北のアストレアを選ばれてはどうでしょう」
エナとオリヴィアが今朝の朝食の時に言ってたのを忘れてたわ。
領地視察や経営が出来るか見極めるために選んだ土地に出向いて3ヶ月程そこで仕事するんだっけ……。
「でもアストレアと言えばここ半年程前に領主が税金を使い込んでいるのが発覚して赤字な上に治安も少し悪くなって陛下が引き取った土地だとかって聞いた気が……」
「え、そうでしたの?私が行った時は綺麗な湖で街の方達も活気溢れて素晴らしかったのに……。でしたらやっぱり安定してる西のバスクレストかしら。」
「バスクレスト!!これからの時期過ごしやすそうですわね。」
「ふふふ。私だけじゃないからまだ誰がどこを選択するか分からないじゃない。でもアストレア…少し気になるわ。でも視察はともかく経営をまかされるのはもう少し王妃候補者が絞られた後でしょうし、どうなるか分からないから今から考えてもどうしようもないわね」
それまでにエレンがいいと思える相手が見つかる可能性もあるし、私が残るという保証も無いもの。
「トレシア嬢なら王妃に向いてると思いますし第2王子様も…「オリヴィアっ」
「あっ…いえ、どうなるか分からないですものね」
「??」
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「ふふふ。ありがとう」
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