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「天宮さん、呼ばれてるよ?」
クラスメイトがそう、私に伝えて来た。
……誰だろう?
昼食を中断し教室を出ると可愛らしい男子生徒が居た。
上靴のラインの色からして1年生。
見たこともないし、ましてや、関わったこともない。
私の気のせいか、人の視線が凄い。
ニコニコ笑っている男子生徒は「着いてきて下さい」、そう言って私の腕を引っ張った。
……本当になんなんだろう。
暫く歩いて連れて来られた場所が中庭だった。
私は中庭に在ったベンチに座らせられた。
訳が分からず顔を上げると、
「天宮先輩、僕と付き合ってくれませんか?」
誰もが振り返るような甘い笑顔で男子生徒は確かにそう言った。
ライトブラウンの柔らかそうな髪がサラサラと風によって揺れる。
髪と同じ色をした瞳で真っ直ぐと私を見つめてくる。
「……どこに?と言うか、君は誰?」
「ああ、そうでした。僕の名前は如月奏です。後、どこに、ではなく恋愛対象としてです」
……。
うん、どういう状況なのだろうか。
付き合う、は買い物とかではなく恋愛対象としてだということは分かった。
でも、それがどうして私なのかが全くと言っていいほど分からない。
この男……、如月君の見た目からして女なんて選びたい放題のはずだ。
なのに、それがどうして私になるのだろう。
「取り敢えず、如月君には眼科に行くことをオススメするよ?」
「どうしてそうなるんですか」
ムッとしたような顔をした如月君は私に詰め寄ってきた。
「どうしてって……。自分で言うのもなんだけど、私、自他ともに認めるブスだよ?そんな私を恋愛対象として見るなんて……なんかの罰ゲームなんでしょ?ミッションクリアってことでもう戻ったら?」
中学時代にも罰ゲームで私に告白をするというのが在った。
この如月君もそれと同じだろう。
可哀想に……。
私みたいなブスに罰ゲームとはいえ告白することになったんだから。
「……どうして先輩は罰ゲームだと思うんですか?僕は、本当に…ッ」
「いや、だから、分かってるからもう戻りなよ。私も昼食がまだ食べ終わってないんだよね」
ベンチから立ち上がると如月君を見つめる。
この告白が罰ゲームだとしても嬉しかったことに変わりはないから…。
「如月君、罰ゲームだとしても告白してくれてありがとう。嘘だといえども嬉しかった。でも罰ゲームだからってこういうのはもう止めなね?本当に如月君を好きな人がこれをされたら結構辛いと思うから。じゃあ、如月君も早く教室に戻りなよ?バイバイ」
スタスタと中庭を去る私の背中に向かって、
「知ってる?そんな風にされると余計に僕に溺れて欲しいって思うんだよ、先輩」
そう、如月君が妖艶に微笑みながら言っているとは知らなかった。
あの日から1週間が経った。
それなのに何故か、如月君がいる。
……あれ、可笑しいな。
きちんと罰ゲームはクリアしただろうにどうして此処にいるんだろ。
そして、それと同時に何故また告白をして来るのだろうか。
内心頭を抱えるが、表には絶対に出さない。
ああ、後、如月君のことについて分かったことがある。
……如月君はこの学校で1番人気がある男の子らしい。
顔良し、頭良し、性格も良しの三拍子が揃うという優れもの(?)。
まぁ確かに、如月君はモテるだろう。
いつもニコニコ笑っていて、その顔は可愛らしく愛想も良い。
本当に、なんで如月君は私みたいなものに執着するのか。
……このところ、如月君と一緒にいるせいか女の子の視線が痛い。
それでも慣れというものは恐ろしく、如月君が一緒にいるということが当たり前になって来ている。
私の学校生活は今まで、基本、1人で過ごしていた。
だから、正直この日常が怖い。
きっと、如月君も私から離れて行く時が来るのだろうから。
どうかそれまでは、一緒にいても良いだろうか。
クラスメイトがそう、私に伝えて来た。
……誰だろう?
昼食を中断し教室を出ると可愛らしい男子生徒が居た。
上靴のラインの色からして1年生。
見たこともないし、ましてや、関わったこともない。
私の気のせいか、人の視線が凄い。
ニコニコ笑っている男子生徒は「着いてきて下さい」、そう言って私の腕を引っ張った。
……本当になんなんだろう。
暫く歩いて連れて来られた場所が中庭だった。
私は中庭に在ったベンチに座らせられた。
訳が分からず顔を上げると、
「天宮先輩、僕と付き合ってくれませんか?」
誰もが振り返るような甘い笑顔で男子生徒は確かにそう言った。
ライトブラウンの柔らかそうな髪がサラサラと風によって揺れる。
髪と同じ色をした瞳で真っ直ぐと私を見つめてくる。
「……どこに?と言うか、君は誰?」
「ああ、そうでした。僕の名前は如月奏です。後、どこに、ではなく恋愛対象としてです」
……。
うん、どういう状況なのだろうか。
付き合う、は買い物とかではなく恋愛対象としてだということは分かった。
でも、それがどうして私なのかが全くと言っていいほど分からない。
この男……、如月君の見た目からして女なんて選びたい放題のはずだ。
なのに、それがどうして私になるのだろう。
「取り敢えず、如月君には眼科に行くことをオススメするよ?」
「どうしてそうなるんですか」
ムッとしたような顔をした如月君は私に詰め寄ってきた。
「どうしてって……。自分で言うのもなんだけど、私、自他ともに認めるブスだよ?そんな私を恋愛対象として見るなんて……なんかの罰ゲームなんでしょ?ミッションクリアってことでもう戻ったら?」
中学時代にも罰ゲームで私に告白をするというのが在った。
この如月君もそれと同じだろう。
可哀想に……。
私みたいなブスに罰ゲームとはいえ告白することになったんだから。
「……どうして先輩は罰ゲームだと思うんですか?僕は、本当に…ッ」
「いや、だから、分かってるからもう戻りなよ。私も昼食がまだ食べ終わってないんだよね」
ベンチから立ち上がると如月君を見つめる。
この告白が罰ゲームだとしても嬉しかったことに変わりはないから…。
「如月君、罰ゲームだとしても告白してくれてありがとう。嘘だといえども嬉しかった。でも罰ゲームだからってこういうのはもう止めなね?本当に如月君を好きな人がこれをされたら結構辛いと思うから。じゃあ、如月君も早く教室に戻りなよ?バイバイ」
スタスタと中庭を去る私の背中に向かって、
「知ってる?そんな風にされると余計に僕に溺れて欲しいって思うんだよ、先輩」
そう、如月君が妖艶に微笑みながら言っているとは知らなかった。
あの日から1週間が経った。
それなのに何故か、如月君がいる。
……あれ、可笑しいな。
きちんと罰ゲームはクリアしただろうにどうして此処にいるんだろ。
そして、それと同時に何故また告白をして来るのだろうか。
内心頭を抱えるが、表には絶対に出さない。
ああ、後、如月君のことについて分かったことがある。
……如月君はこの学校で1番人気がある男の子らしい。
顔良し、頭良し、性格も良しの三拍子が揃うという優れもの(?)。
まぁ確かに、如月君はモテるだろう。
いつもニコニコ笑っていて、その顔は可愛らしく愛想も良い。
本当に、なんで如月君は私みたいなものに執着するのか。
……このところ、如月君と一緒にいるせいか女の子の視線が痛い。
それでも慣れというものは恐ろしく、如月君が一緒にいるということが当たり前になって来ている。
私の学校生活は今まで、基本、1人で過ごしていた。
だから、正直この日常が怖い。
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