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12話 へぇ、魔王なの……。(大丈夫か、魔族よ)
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「す、すまない!!情事を見るつもりはなかったのだ!」
2人の元から離れた後、愚か者を直ぐに捕まえることが出来た。
全身真っ黒な、“如何にも怪しい”男だった。
「へぇ?で?」
「うぐっ!な、何か願いを叶えてやるぞ!!?それでチャラだ!」
「願い?アンタがこの世から消え去ることかなぁ」
ギリギリと男の頭、世に言うアイアンクローをお見舞いしてやった。
「いだだだ!!、た、頼む!許してくれぇええ!!」
涙目の男はプライドもクソもなく願ってくる。
うるさいなぁ。
「………ほかに何が出来る?」
「じ、人類滅亡!!」
「却下」
「せ、世界征服!!」
「きゃ……、世界征服?」
「あ、ああ!!出来るぞ、世界征服!我の力を持ってすれば世界征服など容易い!どうだ!?魅力的だろう?!」
「却下」
「グッ、な、ならば!我が貴様の奴隷になってやろう!」
「………貴様?」
「ヒッ!あ、貴方様の奴隷にならせて頂きたいです!」
怯えた様子を見せる男。
先程の世界征服を口に出した威勢はどこに行ったのやら。
奴隷、ねぇ……。
この世界では奴隷という存在は当たり前に居る。
奴隷には人権がないような扱いをしても許される、それがこの世界だ。
………ホント、胸くそ悪い。
改めて男を見るとデタラメを言っている風には見えなかった。
奴隷がどんな扱いか分かって言ってんのかなぁ、この男。
………まぁ、私達に危害を加える様子はなさそうだから別にいいけど。
とりあえず、様子見かなぁ。
「それでとりあえずはいいよ。名前は?」
「そ、そうか!我の名は魔王だ!」
「マオ?」
「ま・お・うだ!」
「………魔王って魔族のトップの?あの?悪の化身とか謳われるやつ?」
「そうだ!」
こいつが?
なんかヘタレ属性っぽいこの男が?
だから人類滅亡とか世界征服とか言ってるわけ?
というか身分じゃなく名前を聞いたはずなんだけどなぁ。
「……証拠は?」
疑いの目を向ける私に自称魔王は手を前に翳した。
「“出でよ、ケロベロス”」
その瞬間、輝かしい魔方陣が出、3つの頭を持ったでっかいワンコが現れた。
『何用だ、我が主人よ。その娘を喰うのか?』
なんとも物騒な事を言う(念話する)ワンコだった。
……人々の間では魔王は3つの頭を持った魔物、ケロベロスを従えていると言う伝承がある。
その伝承が正しいのならば、この男は魔王と言うことになるのだが……。
「ケロベロスよ!我はこの娘の奴隷になったぞ!」
『……ついにトチ狂ったのか、我が主人は』
遠い目をするワンコに同情する。
その気持ち分かる気がする。
いきなり呼び出されてその内容が奴隷になるとかドン引きものだよね。
まぁ、原因は私だけど。
そんな様子に気付くことなく魔王は話を進める。
「と言うわけだからケロベロス!魔王城に行ったら臣下達に取り次いでいてくれ!」
なんか、奴隷になると言うのに嬉しそうに聞こえるのは私の気のせいだろうか。
気のせいだよね?
思わず後退り、私は口を開いた。
「えーと、魔王城に戻ってくれて構わないよ?」
「むっ!何故だ?我が主人よ!奴隷と言うものは常に主人と有るべきものなのではないのか?!」
「いや、まず主人に向かってその態度はダメでしょうよ」
思わずといった感じでつっこんでしまった。
魔王はそうなのか?という風にワンコに視線を向ける。
ワンコは呆れた風に頷く。
哀れ、ワンコ。
こんなのが主人とか私だったら拒否るな、うん。
「ふむ。ならばどのように話せば良いのだ?」
……根は真面目なのだろう。
奴隷とは何かを真面目に聞いてくる魔王に頭が痛くなって来た。
………魔王って箱入り息子なの?
というか魔王って物騒な存在なんじゃないの?
ホント、伝承とか噂とかアテになんないなぁ。
「はぁー………」
ついつい大きなため息が出たのは仕方ないことだと思うんだよ。
「ねぇ、そこのワンコ」
『我はワンコではなくケロベロスだ』
「うんうん分かってる。とりあえず君の主人引き取ってくれる?奴隷云々の話はなかったってことでいいから」
頭を抑えながら話すとワンコは哀れんで来た。
『我が主人ながら世間知らずでな…。
いつも臣下達が苦労しているのだ。今回も何も言わずに城を出て行きフラフラしておったのだろう。まさか、こんな事に成ろうとはのぉ……。やる時はやる主人なのだ……。やる時は……。
すまぬのぉ、娘』
………ご愁傷様です、臣下の人(?)達。
日々の苦労が目に見えます。
私とワンコのため息が重なった。
はぁ、殺伐とした雰囲気じゃないだけマシだろうけど……一気に疲れた。
これじゃ、戻ってもヤル気にならないだろうなぁ……。
再びため息を吐いていると魔王が発狂した。
「我を置いて話を進めるなぁー!!!
もういい、分かった!主人は我を奴隷にする気はないのだな?!ならばこちらが手を打ってやる!」
…………………はい?
カッ!!と雷が落ち、あつい熱が身体を駆け巡る。
「ーー!!」
な、何………。
気のせいだろうか、ワンコの顔が蒼褪めている気がする。
『あ、主人!!!』
「ふん!!これで離れ離れに成らぬな!!主人!」
得意気に言う魔王に嫌な予感がする。
い、今のってまさか……。
左手首の袖を恐る恐る退かす。
するとそこには今までなかったはずの“アザ”が在った。
それは、奴隷の主人に現れるアザだった。
慌てて魔王の首元を確認すると……。
やっぱり在った。
在りましたよ、ええ。
奴隷の証のアザが!!!
「な、なんて事してくれてんじゃこんのドアホーーー!!!」
2人の元から離れた後、愚か者を直ぐに捕まえることが出来た。
全身真っ黒な、“如何にも怪しい”男だった。
「へぇ?で?」
「うぐっ!な、何か願いを叶えてやるぞ!!?それでチャラだ!」
「願い?アンタがこの世から消え去ることかなぁ」
ギリギリと男の頭、世に言うアイアンクローをお見舞いしてやった。
「いだだだ!!、た、頼む!許してくれぇええ!!」
涙目の男はプライドもクソもなく願ってくる。
うるさいなぁ。
「………ほかに何が出来る?」
「じ、人類滅亡!!」
「却下」
「せ、世界征服!!」
「きゃ……、世界征服?」
「あ、ああ!!出来るぞ、世界征服!我の力を持ってすれば世界征服など容易い!どうだ!?魅力的だろう?!」
「却下」
「グッ、な、ならば!我が貴様の奴隷になってやろう!」
「………貴様?」
「ヒッ!あ、貴方様の奴隷にならせて頂きたいです!」
怯えた様子を見せる男。
先程の世界征服を口に出した威勢はどこに行ったのやら。
奴隷、ねぇ……。
この世界では奴隷という存在は当たり前に居る。
奴隷には人権がないような扱いをしても許される、それがこの世界だ。
………ホント、胸くそ悪い。
改めて男を見るとデタラメを言っている風には見えなかった。
奴隷がどんな扱いか分かって言ってんのかなぁ、この男。
………まぁ、私達に危害を加える様子はなさそうだから別にいいけど。
とりあえず、様子見かなぁ。
「それでとりあえずはいいよ。名前は?」
「そ、そうか!我の名は魔王だ!」
「マオ?」
「ま・お・うだ!」
「………魔王って魔族のトップの?あの?悪の化身とか謳われるやつ?」
「そうだ!」
こいつが?
なんかヘタレ属性っぽいこの男が?
だから人類滅亡とか世界征服とか言ってるわけ?
というか身分じゃなく名前を聞いたはずなんだけどなぁ。
「……証拠は?」
疑いの目を向ける私に自称魔王は手を前に翳した。
「“出でよ、ケロベロス”」
その瞬間、輝かしい魔方陣が出、3つの頭を持ったでっかいワンコが現れた。
『何用だ、我が主人よ。その娘を喰うのか?』
なんとも物騒な事を言う(念話する)ワンコだった。
……人々の間では魔王は3つの頭を持った魔物、ケロベロスを従えていると言う伝承がある。
その伝承が正しいのならば、この男は魔王と言うことになるのだが……。
「ケロベロスよ!我はこの娘の奴隷になったぞ!」
『……ついにトチ狂ったのか、我が主人は』
遠い目をするワンコに同情する。
その気持ち分かる気がする。
いきなり呼び出されてその内容が奴隷になるとかドン引きものだよね。
まぁ、原因は私だけど。
そんな様子に気付くことなく魔王は話を進める。
「と言うわけだからケロベロス!魔王城に行ったら臣下達に取り次いでいてくれ!」
なんか、奴隷になると言うのに嬉しそうに聞こえるのは私の気のせいだろうか。
気のせいだよね?
思わず後退り、私は口を開いた。
「えーと、魔王城に戻ってくれて構わないよ?」
「むっ!何故だ?我が主人よ!奴隷と言うものは常に主人と有るべきものなのではないのか?!」
「いや、まず主人に向かってその態度はダメでしょうよ」
思わずといった感じでつっこんでしまった。
魔王はそうなのか?という風にワンコに視線を向ける。
ワンコは呆れた風に頷く。
哀れ、ワンコ。
こんなのが主人とか私だったら拒否るな、うん。
「ふむ。ならばどのように話せば良いのだ?」
……根は真面目なのだろう。
奴隷とは何かを真面目に聞いてくる魔王に頭が痛くなって来た。
………魔王って箱入り息子なの?
というか魔王って物騒な存在なんじゃないの?
ホント、伝承とか噂とかアテになんないなぁ。
「はぁー………」
ついつい大きなため息が出たのは仕方ないことだと思うんだよ。
「ねぇ、そこのワンコ」
『我はワンコではなくケロベロスだ』
「うんうん分かってる。とりあえず君の主人引き取ってくれる?奴隷云々の話はなかったってことでいいから」
頭を抑えながら話すとワンコは哀れんで来た。
『我が主人ながら世間知らずでな…。
いつも臣下達が苦労しているのだ。今回も何も言わずに城を出て行きフラフラしておったのだろう。まさか、こんな事に成ろうとはのぉ……。やる時はやる主人なのだ……。やる時は……。
すまぬのぉ、娘』
………ご愁傷様です、臣下の人(?)達。
日々の苦労が目に見えます。
私とワンコのため息が重なった。
はぁ、殺伐とした雰囲気じゃないだけマシだろうけど……一気に疲れた。
これじゃ、戻ってもヤル気にならないだろうなぁ……。
再びため息を吐いていると魔王が発狂した。
「我を置いて話を進めるなぁー!!!
もういい、分かった!主人は我を奴隷にする気はないのだな?!ならばこちらが手を打ってやる!」
…………………はい?
カッ!!と雷が落ち、あつい熱が身体を駆け巡る。
「ーー!!」
な、何………。
気のせいだろうか、ワンコの顔が蒼褪めている気がする。
『あ、主人!!!』
「ふん!!これで離れ離れに成らぬな!!主人!」
得意気に言う魔王に嫌な予感がする。
い、今のってまさか……。
左手首の袖を恐る恐る退かす。
するとそこには今までなかったはずの“アザ”が在った。
それは、奴隷の主人に現れるアザだった。
慌てて魔王の首元を確認すると……。
やっぱり在った。
在りましたよ、ええ。
奴隷の証のアザが!!!
「な、なんて事してくれてんじゃこんのドアホーーー!!!」
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