無慈悲な正義と女難

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第二章 現代編(白亜の洋館)

16 白亜の洋館

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廃ホテルの地下室を出ると
「牝奴隷販売所や直接個人に売られた女達の救出は直ぐには難しいので、館に残された少女13人だけでも森下会長が預かってくれないか。多分、精神系の薬物を与えられていた形跡もあり、親元に帰すには精神的ケアが必要だ」
「了解しました。少女達は社会復帰出来るまで、私が責任を持ってお預かりします」
黒沢さんは安堵するかのような溜息を漏らし
「森下会長に引き受けて貰えて良かった。総長から助けた女達はお前が暫く面倒見ろと指示され困っていたのだ。昔から女性とは縁が無く、特に若い女の子など、どう付き合えば良いのか想像もつかない」
「黒沢さんが少女達と戯れる姿を見てみたいとは思いますが?」
「そもそも内の配下に面倒見させると、怯えて殻に閉じ籠るか、ヤクザな少女になってしまう。話は変わるが、これが洋館の鍵とそこまでの道順を記した地図だ。あの浩二は、異常なくらい几帳面で些細な事でも必ずメモに残していたと学生仲間から聞いている。その性格から推測するに、館の何処かに間違い無く顧客名簿のようなモノを残している。金銭が出たら全て森下会長に預けるよう総長から指示されたが、顧客名簿が出たら私に全部渡してくれ」
黒沢さんは館の金庫に入っていたキーホルダーと浩二が持っていたらしいキーホルダー、そして館までの地図を隆之を自宅別荘まで送ってくれ、別れ際に
「売春組織は奴を含め関係者全て既に処分を終え、強制売春させられる事は無いだろうが、それを知らない彼女達は毎日不安を抱えて暮らしているだろう。その脅迫材料は見付け次第処分し、彼女達に森下会長から安心するよう話してくれ。何れにしても館の探索は任せたからな」
そう言い残し黒沢さんは車で走り去った。
翌日、明日の正午頃に館を訪ねると伝え、連絡通り地図を頼りに富士の樹海を進むとやがて白亜の洋館が現れる。既に解錠されていた洋館の玄関を開くと、エントランスのソファに30歳過ぎの女性が2人座っていた。隆之に気が付いた水色のスリーピースを着たインテリ風の女性が
「失礼ですが、森下様で間違い有りませんね?」
「はい、そうですが」
「黒沢様より連絡頂き、ここでお待ちしていました。私は、精神科医の峰元鈴代と申します。総長から、ここにいる少女の精神診療、カウンセリング、心理検査を行い森下様のご負担が出来る限り少なくなる様、全力で援護せよとご依頼を受けています」
峰元女医に続き濃紺のワンピース姿の女性も
「当面、ここで少女達の面倒をみるようご依頼を受けた古舘綾子です。数日前からここに滞在していますが、それは悲惨な状況です。どんな仕打ちを受けたら、あのような状態になるのか私には考えられません。峰元先生、森下様、お二人のお力で少女達を助けてあげてください。何れも華麗な美少女達のあのような姿を目にするだけで悲しくなります」
最初は気が付かなかったが、綾子は悲壮感に打ち拉がれているのが、表情に出ている。
「そうですか、早く何とかしてあげないと駄目ですね。峰元先生、お手数ですが私と一緒に来てください。古舘さんは、取り敢えずここで待って貰えますか?」
階段下り、地下室の重い鉄扉を開き中に入り、扉から手を離すとバタンと地下室に鳴り響く音を立て扉が閉まる。十分な光量を持つ照明が設置されてはいるが、壁から天井、床まで全て濃いグレーに塗装されている関係で全体的に薄暗く感じる。
地下室の中央には頑丈な鉄格子があり、その奥側は分厚い3つの壁で区切られている。向かって右端にメイド服姿の少女が4人、残りは3つは少女が3人づつ入れられていた。
メイド服の少女達は隆之の顔をじっと睨み付けている。多分、少女達は浩二の身に何らかの異変が起きた事を感じ取り隆之に敵意を抱いているのだろう。ここに来るまでは何かの事情で自殺願望を持ってしまった純粋無垢な少女の身体ばかりで無く、自分の欲望を満足させる目的だけで心まで汚し虜にしていた島田浩二には反吐が出る。
中央2つの檻に居る少女達はメイド少女と違い、何処と無くもしかして救い出して貰えるかと、期待を込めた視線で隆之と峰元女医を見詰めているように見えた。
しかし、左端の檻に入れられた少女達は隆之の姿を見た途端、鉄格子の直近で床に腰を下ろし膝を掴んでM字開脚した。どの少女も虚な目で、口から涎を垂らしおマンコからは湯水のように愛液を溢れさせ床を濡らしている。
浩二の指示に中々従わない少女は、発情を促す薬物を日常的に投与し調教されていたと詩織から聞いた事がある。確か薬を止めれば薬効による発情は6日過ぎから急激に治まり、8日目にはほぼまで抜切れるらしいが、4日から5日目に出る禁断症状が激しく悲惨だとも言っていた。
一通り少女達を観察した隆之が振り向いて峰元女医を見ると、さすがにショックだったようで呆然としていたが、隆之の視線に気付き
「森下様、一見での考察では、右端の4人は男の虐待行為による恐怖で精神崩壊寸前に追い込まれた事で、無意識に防衛本能が発動した結果、虐められるのを快感と捉えたり、虐める相手を愛していると勘違いしてしまっていると言ったところかしら。根気良くカウンセリングする事で回復出来ると思います。唯、男性に対する恐怖心を取除いて上げないと、社会復帰は難しいでしょう」
「峰元先生、敵意を持った目で睨まれどうしようかと迷っていました。彼女達の男性恐怖症を癒せるよう私も努力しますので、カウンセリングを宜しくお願いします」
「勿論、最善を尽くして治療に当たるわ。中央の6人は私のカウンセリングだけで、回復してくれると思うわ。問題は左端の3人、麻薬中毒患者のカウンセリングやリハビリ支援は経験があるけど、全員麻薬で再逮捕されているのよ」
「彼女達の使われていた薬が残っていれば、私に預けてください。知合いの医薬品メーカーで分析させますので、投薬を中止すると1~2日で禁断症状が出て来ます。峰元先生ならその兆候にいち早く気が付くと思いますので、私に直ぐ連絡してください」
「何やらあの薬物中毒を治療する方法をご存知のように思えるのですが?」
医者としての好奇心かプライドなのか、とにかく峰元女医が食い付いて来たので、詩織の話をすると総長から聞いて位たようで、その彼女が見た状況を隆之なりに分析して、今回の薬物治療を思いついたと話した。
峰元女医が最も興味を示したの日常的発情状態に至った後、急に投薬を止めると一時的に薬効による発情とは比べものにならない発情状態が訪れる。
そのまま何もせず放置しても禁断症状としての発情はやがて治るが、それは二度と投薬はされたくないと言う感情を彼女達は認識してしまう。その認識が無意識に作用し支配者に従順な奴隷の出来上がりである。
隆之の推定ではあるが、素直に従わない少女をこの禁断症状を利用し支配していたとすれば、島田浩二は相当優秀な青年だったのだろう。
これらから導き出したのは、禁断症状で発情した彼女達が満足するまで可愛がってやる事、但し、この方法には致命的問題があった。
薬物中毒を克服した彼女達を普通の女性として扱う事が出来る。彼女達が新たな旅立ちを望めば、それを素直に喜ぶ事が出来る。彼女達が一生寄添うと決めれば喜んで受入れられる。将来はともかく彼女達を養うだけの経済力を有する。これらの条件を全てクリアし、発情した3人を同時に満足するまで相手出来る性力を持つ人物が実行する必要がある。
「それで、森下様が自ら治療に当たるしかないと判断されたのですね。銀座の一流クラブママを一晩で完堕ちさせる程だから性力は問題無し、第一線からは身を引いたとは言え森下製作所会長で個人収入は未だに半端無く経済力も問題無し、性格は総長の折折紙付き、誰にも常に去るものは追わずの立場でいるが尽くしてくれる女性には優しく寄添い決して不自由させない男性。総長から少女達の治療を依頼された時、森下会長の事を総長に確かめ、自らも少し調べさせて貰ったの、一緒に仕事をする相手が変な男だったら嫌でしょ」
何と応じるべきか困った隆之は、
「それで、私は合格と不合格のどちらかな?」
「勿論、合格よ」
「峰元先生に認めて頂き光栄です。メイド服の少女とは話してから峰元先生の診察を受けさせたいので、取り敢えず残りの9人を1人づつ診察して貰えませんか。私は館内の調査を黒沢さんから依頼されていますので、先ずはそちらを優先しないと」
峰元女医を残し地下室を出た隆之は、エントランスで待っていた古舘綾子に万が一何かあったら直ぐに自分を呼ぶようにトランシーバー(隆之が趣味で作った超小型トランシーバーで鋼鉄製の箱に入れ、更に厚さ1mのコンクリートで囲み地下100mに置き、地上と通信出来る。ただ、余りにも高性能で通信方法が特殊だった為、商品化出来無かった開発品、つまり失敗作だ。勿論、峰元女医にも持たせている)を渡し、隆之は島田浩二の書斎に向かった。
書斎で机の引出しから本棚まで入念に探してみたが書類らしき物は何一つ見付からなかった。
書類の探索は諦め、書斎のパソコンに電源を入れたが、パスワード保護されていた。几帳面な浩二が単純なパスワードを設定するなど考えられなかったが、黒沢から受取った身辺調査記録から誕生日などを入力してみたが、尽く外れた。
その時、詩織がお気に入りだったのを思出した隆之はマザコンの浩二なら実母にまだ未練を持っているのではと"shizue"と入力しEnterするとビンゴだった。
パソコンの中には、この洋館で少女達を弄んでいた顧客や奴隷購入した顧客の簡単なプロフィール、利用や購入した日付、弄ばれたり購入された少女の名前、斡旋費などが事細かく記載されていた。強姦して撮影したビデオで脅し売春させていた方の顧客名簿も有ったが、二つの顧客を比較すると前者の顧客層が知名度、経済面、地位、全てに置いて上客であった。
脅し用ビデオ、売春組織の女性リスト、拉致した女性リストがまだ発見出来ていないが、取り敢えず双方の顧客リストをプリントアウトする。時計を見ると洋館に来てから4時間近く経過しており、プリントした名簿を鞄に入れリビングに戻ると、丁度診察を終えた峰元女医も地下室から出て来たところに鉢合わせしてしまう。
「峰元先生、どうですか?」
隆之が声を掛けると
「メイドの4人を除いて、一応診察は終えたわ。と言っても左端の3人は手強いと言うより話が出来る状態ではなかったわ」
「そうですか!」
隆之が暗い表情をしたのが判ったようで
「今後、週2から週3くらいで訪問カウンセリングを始めるから、医者の意地に掛けて心を開いてくれるよう努力するから、森下様もしっかり協力してくださいね。それと、メイドの4人だけど最初に落とすなら安紗美って子からにしたら。一番気が強そうだけど、意外に脆いと思うわ」
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