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サイドストーリー マーキュリー④
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大きな城壁に囲まれた白雪の国の首都ネーヴェで、城よりも高い防衛魔法の塔を見上げる。太陽が眩しくて、目を細める。
白い城や街並みはいつもより綺麗に見えた。
隣には最愛の恋人がいる。地球の青と同じ髪と瞳をして、いつもの涼しげな服に身を包んでいる。少し眠そうな目をこちらに向けて、にこりと笑った。
「話はわかったよ。大変だったね」
爽やかな声でそう言う。
カルラやキンナラたちと、モンスターの凶暴化の話をしたのだ。
「俺も気をつけるよ。水星と金星にいるなら、地球や火星にもいるかもね」
俺の恋人……地球の守護神アースは軽やかに歩きながら、そう言った。
「そうだな。サンシャインに来てもらうか?」
「うーん。そうだね。サン兄さんに来てもらおうかな」
「今日、後で合う予定なんだ。伝えておくよ」
「マーキュリーはどうするの?」
「ジュピターが水星と火星を往復するって」
「さすが、ジュピ姉」
俺たちは少し歩いたところにある食堂に入った。
中は賑わっていて、店の奥のテーブル席に座った。
「今日は俺が出すね」
アースは一人で注文しに行った。俺の食べるものはいつも決まっているからな。
注文しに行ったアースの背中を目で追い、意外とがっしりとした肩や背中を見る。
また、鍛えたんだなと考えていたら、話しかけられた。
「お兄さん、一人?」
若い背の高い女性だ。長い髪が揺れる。
「いや」
「あら」
そう言って、彼女は俺の視線の先を見る。
「お友だちとかしら。私も一緒にいい?」
……俺を誘惑するつもりか、何か買わせる気だな。
「悪いけど、恋人と来てるんだ」
「あら、彼は女性には見えないけど。あなたが女性?」
「そういうのは気にしない性質なんだ。帰ってくれ」
「ちっ」
彼女は舌打ちをして、俺の席のテーブルを蹴って、遠くのテーブルに行った。
「知り合い?」
アースはうどんと蕎麦を持って立っていた。
「いや、知らん」
「ふーん」
興味ありげな顔をして、ニヤついている。
アースは席に座り、俺側のテーブルにうどんを置く。
「はい。いつもの」
「ありがとう」
「さっきの女の人、綺麗だったね」
「そうか?」
俺たちは麺をすすりながら、話をする。ずるずると音がなるが、賑わった店内ではほとんど響かない。
「アースの好みはわからないな」
「好みではないよ。一般論だよ」
「俺は何とも思わない」
「マーキュリーって、あんまり人と関わらないよね」
「それ、何回も聞いたし、言った」
長命というか、惑星と共に生きる俺たちは一つの場所にはいられない。人と関われば、尚更。
王族くらいにしか名乗る気はない。
「でも、杏奈と会話したよね」
「え?」
その話はまだしていない。
「なんで、その名前を?」
「何でだろうね?」
アースはクスクスと笑う。
「それについては、また今度話すよ」
「はいはい。いつもの秘密癖ですかー」
俺は不貞腐れたふりをして、ふいと横を向いた。
俺たちは食事を終えて、食堂を出た。
ネーヴェの門の近くまで行くと、アースが足を止めた。
「俺はそろそろ地球に帰るよ」
「次はそっちに行くよ」
「うーん。世界会議が来年、行われるからそこで会おうよ」
「来年なのか。じゃあ、そこで会おう」
アースはにっこりと笑い、俺もつられて笑う。
「じゃあ、また」
「ああ。またな、アース」
アースは手を振りながら、門を通っていった。
俺も手を振り、アースが見えなくなるまで、見送った。
「さて……」
「マーキュリー?」
「わっ! って、オーロラ」
後ろから話しかけられたと思ったら、オーロラがいた。
「驚きすぎではない?」
「驚くだろ。また、護衛を巻いてきたのか?」
「まあ……」
オーロラは少し俯いて、被っているフードを深く被り直した。
「そうだ。ついでだから言っておくが、当分様子を見に行けない」
「何でなの?」
「ちょっとな」
カルラやキンナラたちのことは伏せた。王女様のことだ。知ったら、護衛をつけますとか言いかねない。
「護衛にあんまり迷惑かけるなよ」
俺はそう言って、オーロラの頭をポンと撫でた。
「子ども扱いしないでください!」
「はははっ」
その後、オーロラと少しばかり話をしてから、別れて、家に帰ることにした。
森の奥に行くと、家の前に赤と黄色の髪に、額に太陽の記号が示されてる男が腕を組んで立っていた。
「サンシャイン!」
そう声をかけると、こちらに気付いたのか駆け寄ってきた。
「待ってたぞ。マーキュリー」
太陽の守護神サンシャインだ。
「大変らしいな」
俺はサンシャインを家に招き入れる。
「まあな。誰から聞いた?」
「スターだよ」
「スターから? 何であいつが知っているんだよ」
「まあ、スターだし」
俺は呆れて、ため息をついた。
スターは神出鬼没で、いつもどこにいるかわからない。その割に、色々なことを把握している。しかも、全部は教えてくれない。意地悪で気まぐれなやつだ。スターは星の守護神らしいが、星は宇宙に無数もある。俺たちはスターのことをあまり知らない。
「……惑星守護神を狙ってる奴がいるんだろ」
椅子に座ったサンシャインは神妙な面持ちで話し出した。
「惑星守護神を認知している者はそう多くはない。ヴァンパイアかエルフが手引きしている可能性があるな」
サンシャインはそう言い、俺もほとんど同じ意見だった。
「何が目的なんだろうな」
俺がそう言うと、サンシャインは顎に手をやり、唸る。
「さあな。何が目的だろうと、放っては置けない」
「そうだな。次に襲われた時に探るよ」
「任せたぜ」
サンシャインと、その後、夕食をとり、杏奈の話やマーズに怒られた話などをした。
サンシャインは一泊した後、帰って行った。
俺は、庭の修復をすることにした。ジュピターが使った魔法の木を分割して掘り起こす。
その時、ひゅっと頭上から音が聞こえた。見上げると、氷の槍が空から降ってきた!
「これは……」
俺は、それらを避ける。
「今日は一人だな」
カルラとキンナラが現れた。迷いの森を攻略できるのが不思議だ。
「カルラとキンナラだったな。目的は何だ?」
「言うわけないだろぉ!」
キンナラは前回と同じ半円状の剣を腰の鞘から抜き、こちらに向かってくる。
キンナラの後ろで、カルラが術の詠唱を始めている。でかいのが来るな。
俺は、キンナラの攻撃を剣でいなしながら、カルラの方にも注意を向けた。
キンナラは直情的そうだ。
「魔族は弱いな。惑星守護神に勝てると思っているのか?」
「あぁ!? うるせえ口だな!」
キンナラは、剣で俺の口を狙う。俺は後ろに飛び、それを避ける。
俺は、魔法を使える隙があるのをわかっているが、あえて使うのをやめている。
カルラの術が来るな。
「死ね!」
カルラが叫ぶ。
「クリムゾン・ベア!」
カルラの杖の先から、獣の炎が出る。キンナラの横を過ぎ、俺と後ろにある家を燃やし尽くした。
「黒焦げだな」
キンナラの声がした。
「水星が消えない」
カルラが疑問に思ったのか、そう呟く。
「守護神を殺したら、惑星が消えるってナーガさんが言ってたよな?」
「誤情報だったのかもしれない」
カルラが神妙に言う。
「心臓も動いてないし、死んではいるよな」
「そうだな。キンナラ、ナーガ様に報告しよう」
「ああ。とりあえず、城下町に戻るか」
二人の歩く音が聞こえて、遠くに行ったのがわかった。
俺はゆっくりと起き上がる。
「久しぶりに死んだな」
俺はその後、後ろを振り返った。
丸焦げの俺の家があった。
「はあ。作り直しだな」
立ち上がり、自分の姿を見下ろす。
「肌も服もボロボロだな。カプセルに入れた予備の服は……」
カプセルを取り出したが、黒焦げになっていて使えるようには見えなかった。
「ジュピターが明日来るから、その時に服を買ってきてもらうか」
二日後、俺は城下町に来ていた。
俺はカルラとキンナラを探している。
あんまり特徴的な姿じゃないし、見逃すかもしれないと思い、建物の上から下を眺めた。
金髪の髪と緑色の髪が見えた。
「よう。まだ、ここにいて助かった」
俺は飛び降り、二人の前に現れてやった。
「なっ……」
二人は目を丸くして、後ずさった。
驚いているな。
「なんで、生きている」
カルラは汗をかき出したが、ゆっくりと俺にそう聞いた。
「ははは。惑星守護神は、惑星と共に生きる。惑星がある限り死なないのさ」
そう言って、一歩前に進む。二人はさらに後ずさった。キンナラは青ざめている。
「惑星の破壊が目的か。ナーガとは誰のことだ?」
キンナラは呼吸が荒くなり、震え出した。
「怖いか? お前たちが相手にしているのは、そういう奴だよ」
俺はわざとにっこり笑った。
カルラはキンナラの前に守るように出た。
「殺すつもりはない」
「こちらが殺すつもりだったのに?」
「黒幕に用がある」
「教えなかったら?」
「俺は拷問が嫌いだ。でも……」
俺は、手のひらに水を出した。
「やりようはある」
カルラはじっと俺を見つめた。キンナラは、もう俺を見ることができないのか、下に視線を逸らしている。
「ナーガ様は火星にいる」
「そうか。そいつの種族は?」
「ヴァンパイア」
やはり、長寿種か。ヴァンパイアだと、厄介だな。
「案内しろとは言わないさ。俺たちに用があるなら、お前が来いと伝えな」
「……それだけか?」
「ああ」
カルラは、目を見開いて、驚いているようだ。
「ああ、そうだ。まずは金星に行け。ヴァンパイアが裏にいるなら、あの道も知っているだろ? 先に阿修羅と夜叉に言っておいた方がいいことがある。ビーナスとサターンは狙わない方がいい。次は拷問されるぞってな」
「……わかった」
「じゃあ、行っていいぞ」
カルラは俺に背を向けずにキンナラを庇うように、その場を去った。
俺たち惑星守護神が死ぬことがないのは、俺たちしか知らない。ナーガというヴァンパイアに教えてしまうことになったが、まあいいだろう。
俺は、気分良く木材の買い出しに向かった。
白い城や街並みはいつもより綺麗に見えた。
隣には最愛の恋人がいる。地球の青と同じ髪と瞳をして、いつもの涼しげな服に身を包んでいる。少し眠そうな目をこちらに向けて、にこりと笑った。
「話はわかったよ。大変だったね」
爽やかな声でそう言う。
カルラやキンナラたちと、モンスターの凶暴化の話をしたのだ。
「俺も気をつけるよ。水星と金星にいるなら、地球や火星にもいるかもね」
俺の恋人……地球の守護神アースは軽やかに歩きながら、そう言った。
「そうだな。サンシャインに来てもらうか?」
「うーん。そうだね。サン兄さんに来てもらおうかな」
「今日、後で合う予定なんだ。伝えておくよ」
「マーキュリーはどうするの?」
「ジュピターが水星と火星を往復するって」
「さすが、ジュピ姉」
俺たちは少し歩いたところにある食堂に入った。
中は賑わっていて、店の奥のテーブル席に座った。
「今日は俺が出すね」
アースは一人で注文しに行った。俺の食べるものはいつも決まっているからな。
注文しに行ったアースの背中を目で追い、意外とがっしりとした肩や背中を見る。
また、鍛えたんだなと考えていたら、話しかけられた。
「お兄さん、一人?」
若い背の高い女性だ。長い髪が揺れる。
「いや」
「あら」
そう言って、彼女は俺の視線の先を見る。
「お友だちとかしら。私も一緒にいい?」
……俺を誘惑するつもりか、何か買わせる気だな。
「悪いけど、恋人と来てるんだ」
「あら、彼は女性には見えないけど。あなたが女性?」
「そういうのは気にしない性質なんだ。帰ってくれ」
「ちっ」
彼女は舌打ちをして、俺の席のテーブルを蹴って、遠くのテーブルに行った。
「知り合い?」
アースはうどんと蕎麦を持って立っていた。
「いや、知らん」
「ふーん」
興味ありげな顔をして、ニヤついている。
アースは席に座り、俺側のテーブルにうどんを置く。
「はい。いつもの」
「ありがとう」
「さっきの女の人、綺麗だったね」
「そうか?」
俺たちは麺をすすりながら、話をする。ずるずると音がなるが、賑わった店内ではほとんど響かない。
「アースの好みはわからないな」
「好みではないよ。一般論だよ」
「俺は何とも思わない」
「マーキュリーって、あんまり人と関わらないよね」
「それ、何回も聞いたし、言った」
長命というか、惑星と共に生きる俺たちは一つの場所にはいられない。人と関われば、尚更。
王族くらいにしか名乗る気はない。
「でも、杏奈と会話したよね」
「え?」
その話はまだしていない。
「なんで、その名前を?」
「何でだろうね?」
アースはクスクスと笑う。
「それについては、また今度話すよ」
「はいはい。いつもの秘密癖ですかー」
俺は不貞腐れたふりをして、ふいと横を向いた。
俺たちは食事を終えて、食堂を出た。
ネーヴェの門の近くまで行くと、アースが足を止めた。
「俺はそろそろ地球に帰るよ」
「次はそっちに行くよ」
「うーん。世界会議が来年、行われるからそこで会おうよ」
「来年なのか。じゃあ、そこで会おう」
アースはにっこりと笑い、俺もつられて笑う。
「じゃあ、また」
「ああ。またな、アース」
アースは手を振りながら、門を通っていった。
俺も手を振り、アースが見えなくなるまで、見送った。
「さて……」
「マーキュリー?」
「わっ! って、オーロラ」
後ろから話しかけられたと思ったら、オーロラがいた。
「驚きすぎではない?」
「驚くだろ。また、護衛を巻いてきたのか?」
「まあ……」
オーロラは少し俯いて、被っているフードを深く被り直した。
「そうだ。ついでだから言っておくが、当分様子を見に行けない」
「何でなの?」
「ちょっとな」
カルラやキンナラたちのことは伏せた。王女様のことだ。知ったら、護衛をつけますとか言いかねない。
「護衛にあんまり迷惑かけるなよ」
俺はそう言って、オーロラの頭をポンと撫でた。
「子ども扱いしないでください!」
「はははっ」
その後、オーロラと少しばかり話をしてから、別れて、家に帰ることにした。
森の奥に行くと、家の前に赤と黄色の髪に、額に太陽の記号が示されてる男が腕を組んで立っていた。
「サンシャイン!」
そう声をかけると、こちらに気付いたのか駆け寄ってきた。
「待ってたぞ。マーキュリー」
太陽の守護神サンシャインだ。
「大変らしいな」
俺はサンシャインを家に招き入れる。
「まあな。誰から聞いた?」
「スターだよ」
「スターから? 何であいつが知っているんだよ」
「まあ、スターだし」
俺は呆れて、ため息をついた。
スターは神出鬼没で、いつもどこにいるかわからない。その割に、色々なことを把握している。しかも、全部は教えてくれない。意地悪で気まぐれなやつだ。スターは星の守護神らしいが、星は宇宙に無数もある。俺たちはスターのことをあまり知らない。
「……惑星守護神を狙ってる奴がいるんだろ」
椅子に座ったサンシャインは神妙な面持ちで話し出した。
「惑星守護神を認知している者はそう多くはない。ヴァンパイアかエルフが手引きしている可能性があるな」
サンシャインはそう言い、俺もほとんど同じ意見だった。
「何が目的なんだろうな」
俺がそう言うと、サンシャインは顎に手をやり、唸る。
「さあな。何が目的だろうと、放っては置けない」
「そうだな。次に襲われた時に探るよ」
「任せたぜ」
サンシャインと、その後、夕食をとり、杏奈の話やマーズに怒られた話などをした。
サンシャインは一泊した後、帰って行った。
俺は、庭の修復をすることにした。ジュピターが使った魔法の木を分割して掘り起こす。
その時、ひゅっと頭上から音が聞こえた。見上げると、氷の槍が空から降ってきた!
「これは……」
俺は、それらを避ける。
「今日は一人だな」
カルラとキンナラが現れた。迷いの森を攻略できるのが不思議だ。
「カルラとキンナラだったな。目的は何だ?」
「言うわけないだろぉ!」
キンナラは前回と同じ半円状の剣を腰の鞘から抜き、こちらに向かってくる。
キンナラの後ろで、カルラが術の詠唱を始めている。でかいのが来るな。
俺は、キンナラの攻撃を剣でいなしながら、カルラの方にも注意を向けた。
キンナラは直情的そうだ。
「魔族は弱いな。惑星守護神に勝てると思っているのか?」
「あぁ!? うるせえ口だな!」
キンナラは、剣で俺の口を狙う。俺は後ろに飛び、それを避ける。
俺は、魔法を使える隙があるのをわかっているが、あえて使うのをやめている。
カルラの術が来るな。
「死ね!」
カルラが叫ぶ。
「クリムゾン・ベア!」
カルラの杖の先から、獣の炎が出る。キンナラの横を過ぎ、俺と後ろにある家を燃やし尽くした。
「黒焦げだな」
キンナラの声がした。
「水星が消えない」
カルラが疑問に思ったのか、そう呟く。
「守護神を殺したら、惑星が消えるってナーガさんが言ってたよな?」
「誤情報だったのかもしれない」
カルラが神妙に言う。
「心臓も動いてないし、死んではいるよな」
「そうだな。キンナラ、ナーガ様に報告しよう」
「ああ。とりあえず、城下町に戻るか」
二人の歩く音が聞こえて、遠くに行ったのがわかった。
俺はゆっくりと起き上がる。
「久しぶりに死んだな」
俺はその後、後ろを振り返った。
丸焦げの俺の家があった。
「はあ。作り直しだな」
立ち上がり、自分の姿を見下ろす。
「肌も服もボロボロだな。カプセルに入れた予備の服は……」
カプセルを取り出したが、黒焦げになっていて使えるようには見えなかった。
「ジュピターが明日来るから、その時に服を買ってきてもらうか」
二日後、俺は城下町に来ていた。
俺はカルラとキンナラを探している。
あんまり特徴的な姿じゃないし、見逃すかもしれないと思い、建物の上から下を眺めた。
金髪の髪と緑色の髪が見えた。
「よう。まだ、ここにいて助かった」
俺は飛び降り、二人の前に現れてやった。
「なっ……」
二人は目を丸くして、後ずさった。
驚いているな。
「なんで、生きている」
カルラは汗をかき出したが、ゆっくりと俺にそう聞いた。
「ははは。惑星守護神は、惑星と共に生きる。惑星がある限り死なないのさ」
そう言って、一歩前に進む。二人はさらに後ずさった。キンナラは青ざめている。
「惑星の破壊が目的か。ナーガとは誰のことだ?」
キンナラは呼吸が荒くなり、震え出した。
「怖いか? お前たちが相手にしているのは、そういう奴だよ」
俺はわざとにっこり笑った。
カルラはキンナラの前に守るように出た。
「殺すつもりはない」
「こちらが殺すつもりだったのに?」
「黒幕に用がある」
「教えなかったら?」
「俺は拷問が嫌いだ。でも……」
俺は、手のひらに水を出した。
「やりようはある」
カルラはじっと俺を見つめた。キンナラは、もう俺を見ることができないのか、下に視線を逸らしている。
「ナーガ様は火星にいる」
「そうか。そいつの種族は?」
「ヴァンパイア」
やはり、長寿種か。ヴァンパイアだと、厄介だな。
「案内しろとは言わないさ。俺たちに用があるなら、お前が来いと伝えな」
「……それだけか?」
「ああ」
カルラは、目を見開いて、驚いているようだ。
「ああ、そうだ。まずは金星に行け。ヴァンパイアが裏にいるなら、あの道も知っているだろ? 先に阿修羅と夜叉に言っておいた方がいいことがある。ビーナスとサターンは狙わない方がいい。次は拷問されるぞってな」
「……わかった」
「じゃあ、行っていいぞ」
カルラは俺に背を向けずにキンナラを庇うように、その場を去った。
俺たち惑星守護神が死ぬことがないのは、俺たちしか知らない。ナーガというヴァンパイアに教えてしまうことになったが、まあいいだろう。
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