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1-時限式爆弾
起爆スイッチ
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駿が反撃に俺の首元に差し込んできた手はすごい冷たくて、急にしんみりした気持ちが浮び上ってきて。その手を取り上げて頬をすり寄せて。この熱ごと移らないかななんて思いながら、今この瞬間に伝えなきゃいけなかったことを必死にかき集めた。
ーサスサスー
「この間、告白したそれからのこと。ずっと会って話したかった。真面目な話ね。
駿の中ではこの間の駅でくれた返事で完結したのかもしれないけど、俺はまだ話し合いたいことがいっぱいある。まだ納得できてない自分もいるし、何より駿との関係がそれきりだなんてことが辛かった。」
その色素の薄い澄んだ目を見つめながら、一心に届けと念じる。さっきの緩い戯れがまるでどこかへ飛んでったかのように、強ばったような表情。固く引き結ばれた唇に、尚のこと心がズキズキと痛みかけてくる。でも、きっと此処が正念場。絶対に駿から逸らさない。
「ダメならダメでいいんだ。俺の駿を好きな気持ちは一旦どっか置いといて、それよりもっと大事なことを確かめたいの。」
「…。」
いざ本当に本人目の前にして、声に出そうとすると怖くなる。あったかもしれない事実を認めるのに、駿の本音を聞くのに、無意識のうちに怖気づく。でもこれが俺の責任で、反省で、誠意だから。
駿の手をお腹の前までそっと下ろして、代わりにもう片方の手も掬って、できるだけ君に俺の心がそのまま伝わるよう願掛ける。まずスタートラインに、掠れる声を誤魔化すように切り出した。
「俺が、俺は…知らず知らずの内にずっと駿を傷つけてた?」
沈黙と陰。いつの間にか太陽が隠れたのか、一度大きく吹く風が2人の間に通ったかと思えば、駿のサラサラな前髪を乱雑に乱していって、阻まれた表情はわからない。それでも。
「駿にひどいことしたし、その自覚もないなんて駿が怒ってても当然だと思う。最低だ。今更かも、見当違いかもだけど謝りたい。ほんとにごめんなさい。
ずっと駿は俺のこと嫌いだったかもしれない、、
でも身勝手でも俺の本音は駿との関係失いたくない。だからどうしたら許してもらえる?
駿の気が済むようにしてほしい。
順番がおかしかったよね、告白以前に、駿に許されたい。高校のガキの頃にやらかしてたことを全部償いたいです。」
「…。」
そして、これまで駿と出会ってから過ごした時間に嘘偽りはなかったと証明したい。想いの質は違っても、その濃さに差があったとしても構わないから、同じ方向を向いて時間を共有していたと信じたい。多少なりでも、色恋沙汰でなくていいから俺に好意はあってほしい。
俺の気持ちは誠心誠意を持って伝えたつもり。ずっと黙ってる駿の様子を伺う。駿は俯いてしまったから、渦巻くかわいい旋毛と目が合う。艶々の髪が西日で照らされて、絵に描いたみたいな天使の輪っかが髪にかかっている。リアル天使じゃん。ここに舞い降りちゃってるよ。いいんですか現世に居て。いや月帰んないでねかぐや姫?もう情緒がおかしい。
ーフゥ…ー
そんなマイワールドに飛んでっていた束の間、駿の吐いた息ひとつでハッと引き戻される。瞬間、駿ともう一度そのヘーゼルナッツの目が合って、心臓が打ち抜かれた気がした。顔を上げた駿はさっきとは違う色をしていた。
ーサスサスー
「この間、告白したそれからのこと。ずっと会って話したかった。真面目な話ね。
駿の中ではこの間の駅でくれた返事で完結したのかもしれないけど、俺はまだ話し合いたいことがいっぱいある。まだ納得できてない自分もいるし、何より駿との関係がそれきりだなんてことが辛かった。」
その色素の薄い澄んだ目を見つめながら、一心に届けと念じる。さっきの緩い戯れがまるでどこかへ飛んでったかのように、強ばったような表情。固く引き結ばれた唇に、尚のこと心がズキズキと痛みかけてくる。でも、きっと此処が正念場。絶対に駿から逸らさない。
「ダメならダメでいいんだ。俺の駿を好きな気持ちは一旦どっか置いといて、それよりもっと大事なことを確かめたいの。」
「…。」
いざ本当に本人目の前にして、声に出そうとすると怖くなる。あったかもしれない事実を認めるのに、駿の本音を聞くのに、無意識のうちに怖気づく。でもこれが俺の責任で、反省で、誠意だから。
駿の手をお腹の前までそっと下ろして、代わりにもう片方の手も掬って、できるだけ君に俺の心がそのまま伝わるよう願掛ける。まずスタートラインに、掠れる声を誤魔化すように切り出した。
「俺が、俺は…知らず知らずの内にずっと駿を傷つけてた?」
沈黙と陰。いつの間にか太陽が隠れたのか、一度大きく吹く風が2人の間に通ったかと思えば、駿のサラサラな前髪を乱雑に乱していって、阻まれた表情はわからない。それでも。
「駿にひどいことしたし、その自覚もないなんて駿が怒ってても当然だと思う。最低だ。今更かも、見当違いかもだけど謝りたい。ほんとにごめんなさい。
ずっと駿は俺のこと嫌いだったかもしれない、、
でも身勝手でも俺の本音は駿との関係失いたくない。だからどうしたら許してもらえる?
駿の気が済むようにしてほしい。
順番がおかしかったよね、告白以前に、駿に許されたい。高校のガキの頃にやらかしてたことを全部償いたいです。」
「…。」
そして、これまで駿と出会ってから過ごした時間に嘘偽りはなかったと証明したい。想いの質は違っても、その濃さに差があったとしても構わないから、同じ方向を向いて時間を共有していたと信じたい。多少なりでも、色恋沙汰でなくていいから俺に好意はあってほしい。
俺の気持ちは誠心誠意を持って伝えたつもり。ずっと黙ってる駿の様子を伺う。駿は俯いてしまったから、渦巻くかわいい旋毛と目が合う。艶々の髪が西日で照らされて、絵に描いたみたいな天使の輪っかが髪にかかっている。リアル天使じゃん。ここに舞い降りちゃってるよ。いいんですか現世に居て。いや月帰んないでねかぐや姫?もう情緒がおかしい。
ーフゥ…ー
そんなマイワールドに飛んでっていた束の間、駿の吐いた息ひとつでハッと引き戻される。瞬間、駿ともう一度そのヘーゼルナッツの目が合って、心臓が打ち抜かれた気がした。顔を上げた駿はさっきとは違う色をしていた。
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