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02-侵略戦争
積極外交
しおりを挟むあれからというものの。
___コチラ秘蔵版を入手しました~特典映像付きです!俺ん家で、久しぶりに映画会しませんか♡
__じゃじゃ~ん!ここになんと駿が行きたがってた試写会のチケットがありまーす!駿くん、俺とデートしてくれないかな~?♡
依澄サンの積極性が凄まじい。たぶん断るべきなんだけど…なんせ誘惑に負けている。笑
餌にまんまと釣られている。だァ~犬じゃねんだから。やめやめ。
己の性分的に、白黒はっきりしないのは好かない。自分のイヤだと思うことは極力したくないし、ごじゃごじゃ愚痴だの言い訳だの御託並べてるヒマがあるなら、即刻切り捨てる潔さが人生肝心だ。そしてコレが自分らしさだとも自負してる。不毛な時間はパッパと切っていかねェと。
だから信条貫いて、依澄サンとも決着つけなきゃ。マージでこれきり。距離置く。なぁなぁなんがイチバン良くねェから。次こそはバッサリ断る。
*
とかなんとか躍起になってたのは半月前までのハナシ。今はもう、深く考えるのをやめた。笑
だってオレが依澄サンのことどうしたモンか頭捻ってる間にも、依澄サンぐいぐい押せ押せで来ンだもん。NOに近い返答はまるで聞き入れてくんないし。こっちの葛藤返せよな。
だいたい、一度でも認めちまったのが良くなかったんだ。あの顔面に泣き落としされたら弱いって。自分自身がいちばん騙せないモンで、「あーこの人裏とかなく、純粋にオレのこと好きなんだ。だからこんな縋るみたいに触ってくンだ」って意識したら可愛いく見えんて仕方ねェんだモン。
一時のやっかみどこいったんだよ。全くもってオレもオレ。笑
だから、思わせぶりとか、好意寄せられてるとか、不誠実とかぜーんぶかなぐり捨てて、開き直ることにシタ。依澄サン傷つけてねェし、オレも別に嫌じゃないし、この関係性が居心地いいし。
とどのつまりは。自分のやり方曲げてでも、少なくとも依澄サンの気が済むまでは、付き合ってあげよーかなと。たまには、なあなあでも悪くないか。
なんて、依澄サンの調子が移ったかな。あの人、ホントゆるっとしてるから笑
さてはて。今日も今日とてこの後、依澄サン家に行くことになってる。
食後の満腹中枢が刺激される昼過ぎの時間。隣でリンタロウが船を漕いでいるのを横目に、退屈な講義を小耳に入れながら、直近のやりとりを思い出す。
2、3日前に、依澄サンから連絡があって、いー地酒が手に入ったんだと、ズラっと並んだ日本酒の写真が送られてきた。先輩のバ先の常連サンが持ってきたのを大量にもらったらしい。あーんな下戸のクセに、日本酒なんて呑めるンスか?って伝えれば、案の定、「しゅん、日本酒好きでしょ?お酒開けるの手伝って!」ってサ。
そういう訳で今日は宅飲み。この講義が終われば、夕方から依澄サン家へ向かうことになっている。
なんとなくイジワルして、かかってきた電話口に「持ってきてくれたら地酒だけ引き取りマスよ?」つったら、「だっダメっ!お酒と俺は離れられないのっ!重たくて持って来れないしっ、俺か弱いからっ!!……俺の相手してくんなきゃお酒はあげないよーだ!…駿おねがい。」だとよ。むぅ。って不貞腐れてるのが目に浮かぶ。ッたーく、ぶりっ子しやがって。かわいいかよ。
思い出し笑いを堪えながら、なーんかツマミになりそうなもの見繕ってから行こうかね?と思考を巡らす。たしか駅前に美味そうなおばんざいの店があったハズ。見つからないようにスマホを取り出して片手間で調べてみる。お。このアボカドと豆腐と昆布和えたの先輩好きそー。アリだな?オレは白ナスにしよ。
そんなことをしていれば、まずい教授と目が合った。手持ち無沙汰にペン回ししていた手をやめて、隣のカクッカクッしているアホをこずく。仰け反って気持ちよさそうなにしてたとこ、オールを取りあげてやった。何が起こったかわからないって顔してんなアホかわいー笑
しゅんちー今何ページ?って聞いてくるリンタロウに、いつも通り世話が焼けるなァと苦笑しつつ、同じぐらい手に負えなくなってきているどっかの誰かさんを想像して苦笑した。
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