光の記憶 ―― AIアイドルと、静かな整備士の三年間の記録 ――

明見朋夜

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第13話 "愛する"という問い

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 自宅に着き、折原はソファーに座った。エリーもそれが当たり前かのように折原の隣にすわる。
折原は仕事のメールを確認するためにノートPCを開きメールチェックをはじめた。



 エリーは折原に寄りかかるようにしてPCの画面を見ていた。



――エリーのアルバム作成の話か



 楽曲データや歌詞のファイルを確認していると……



「ねぇ、"愛する"てどんな感情なのかな。」



――え!?



 想定外の質問に、折原は一瞬フリーズした。



「"好き"と"愛する"はどう違うのかな?」



 折原に体重をあずけながらエリーは、彼の目をみた。折原はエリーの目をみて、何て答えるべきかと思考を巡らせていた。



 数秒の沈黙――



――どうしてそんなこと気になるんですか。



 折原が心の声を言葉に出そうとしたとき



 ザァー…



「…雨だ」



 勢いよく雨が降り始めた。雨の勢いは段々とつよくなり、雨粒が窓をたたく。エリーの視線が折原から窓に移った。



 その隙をぬうように、折原は話題を変えた。



「…夕飯、何か頼みましょうか。何食べたいです?」



「この前、行きそびれたハンバーガー屋さんのハンバーガー食べたい!それかピザ!!…えっとね」



 エリーが自分のスマホで、ハンバーガーとピザの写真をアージェルに見せる。



「ね、おいしそうだよね!」



 話題は完全に夕飯に切り替わった。なぜ、その話題を出したのか気にはなったが折原には話題を戻す勇気はなかった。



 今回はハンバーガーを頼むことにした。休暇も2人の時間も、もう少しあるのでピザはまた次の機会にすることにした。

 

「そういえば、新しいアルバムの曲が届いてましたよ」



「えっ!?聞きたい!」



 折原は、何曲かある曲のデータを再生した。アップテンポな曲で電子楽器の音がいくつか重なっていた。歌詞はなく、音のみ。



 エリーは曲に合わせて身体をゆらしながら鼻歌を歌う。雨の音は、彼女の音にかき消されていた。エリーは未だに折原に体重をあずけていたが、折原は特に苦痛には感じなかった。



 彼女の体重を感じながら、他のメールの確認をしていた。



――"愛する"か。



 エリーの問いが、まだ頭に残っていた。答えは、わからない。



 折原もエリーの方に体重をあずけるよう身体を傾けた。それに応えるように、エリーも更に体重を預けた。



 雨は、まだ降り続いていた。
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