セリアンの巫女 ~美少女動物軍団で異世界制覇~

白水秋一

文字の大きさ
49 / 54
第3章

12

しおりを挟む
 俺はほっとすると同時に気合が抜けてしまって、その場にすわりこんだまま動けなくなる。
「階梯高揚」の発動で、きららさんが救われた事ですっかり気が抜けてしまった。
 だが、まだ安心できる状況ではない。

 ガイさんが駆け戻って来た。
「取り逃がしました。申し訳ない」
「やはり忍びですか?」
 アポさんがたずねる。
「そう、かなりの手練れでしょう。団長が警告してくれるまで、居所をつかめませんでした」
 ガイさんは悔しそうだ。

「おそらく南の森の木のどれかにひそみ、こちらの様子を見ていて、弱点を見抜き、強襲で劣勢を打開すべく動いたのでしょう」
「きららさんが唯一治癒の術を使えるのを見抜かれたわけですか」
「そう、軽傷ならすぐに復帰でき、本来なら致命傷となる場合でも命を取り留められる可能性が高まる。それは戦いによる戦力の消耗と士気の低下を軽減できる、こちらにとってかなり有利な点でした。だが、こうもたやすく見抜かれるとは」
 ガイさんは本当に悔しそうだ。

「前の戦いの時から監視していての判断だったのでしょう。ガイさんはその場にいなかったのだから、敵が動向をそこまで読めなかったとしても、それは仕方のない事では」
 アリシアさんが言う。
「いや、指揮者への攻撃の可能性に気を取られすぎました。予測できない事ではありませんでした」
 そこでガイさんは気持ちを切り替えるように首を振った。
「ともかくここの期におよんで効果はあるが即効的ではない手を打ってくる以上、敵はまだまだ戦いを続ける気なのがわかりました」
 そして村長の方へ歩き出す。

「村長殿、そろそろ西へ戻られる頃合いではありませんか」
「西ですと」
 盗賊たちを川岸まで押し戻そうと懸命に声を上げて指示を出していた村長は振り返り、やや不審そうに答えた。
「そうです。逃げ出した北の敵勢が再び組み込まれれば、西は苦しくなります」
 そして林の中の道で、必死に防戦する敵の方を見て言った。
「ここまで劣勢になって、逃げ場もない。それなのにいまだに士気を保っている。それは何かまだ逆転の秘策を敵が持っているからではないかと思いませんか」
「その秘策とは?」
「それはまだわかりません。しかし、何かやるとすればそれは西の可能性が高いと思います。いざという時に村長がいれば、それだけ的確に対応できるでしょう」

 村長はしばらく悩んだが、決心した。西へ戻す手勢を決めて、まだ勢いの衰えない雨の中を走って行く。
(アポさん、こきつかってすみませんが、一つお願いがあります)
 ガイさんとアポさんは話しの内容を聞かれないように、しばらく「黙信術」で話しあった。

 飛び立つアポさんを見送ってガイさんが俺に話しかける。
「私はこれから西に向かいますが、団長はどうされますか? 西の林の手前までは来てもらいたいところですが、判断は団長に任せますよ」
「わたしは」
 言いかけて俺はつまってしまった。きららさんの事が心配だし、まだ頭がうまく回らない。
 ガイさんは笑って言った。
「判断できるようになるまでそこで休んでいてください。ねそこさんは村の中心で待機した方がいいでしょう。敵の意図はまだ読めないので、用心です」
「承知」

 ねそこさんは地中に姿を消し、ガイさんは軽快な足取りで西へ向かう。
(動けないから。悪いけど怪我人はこちらに連れてきてもらうように伝えて)
 きららさんが「黙信術」でそう巫女さんたちに語りかける。まだ治療を続けるつもりらしい。
「きららさん大丈夫なんですか。まだ無理をしてはいけないでしょう」
 思わずそう言ってしまった。
「うん。無理はしない」
 そう言って第三階梯に昇る。
 可愛いオオサンショウウオの様な両手で俺の手を取る。。
「そして、大丈夫だから」

 俺は何も言えなくなってしまった。
 そしてこの状況で自分が何をするべきか考えようとした。
 だが、考えはまとまらない。
 だったら少しでも状況が分かりやすい場所にいるのがいいだろう。そう思って西へ向かう事にした。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜

シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。 起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。 その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。 絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。 役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。

クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる

アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。 でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。 でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。 その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。 そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。

レベルアップは異世界がおすすめ!

まったりー
ファンタジー
レベルの上がらない世界にダンジョンが出現し、誰もが装備や技術を鍛えて攻略していました。 そんな中、異世界ではレベルが上がることを記憶で知っていた主人公は、手芸スキルと言う生産スキルで異世界に行ける手段を作り、自分たちだけレベルを上げてダンジョンに挑むお話です。

男女比1:50の世界に転生したけど、前世の感覚で普通に接してたら幼馴染も姉妹もお嬢様もみんな沼にハマっていった件 ~ダンジョンにも潜ります〜

ベリーブルー
ファンタジー
男女比1:50――この世界で男は、守られ、大切にされ、穏やかに生きることを求められる存在。 だけど蓮は違った。 前世の記憶を持つ彼には、「男だから」という枷がない。女の子にも男の子にも同じように笑いかけ、距離を詰め、気負いなく手を差し伸べる。本人にとってはただの"普通"。でもこの世界では、その普通が劇薬だった。 幼馴染は気づけば目で追っていた。姉は守りたい感情の正体に戸惑い始めた。名家のお嬢様は、初めて「対等」に扱われたことが忘れられなくなった。 そして蓮はと言えば――。 「ダンジョン潜りてえなあ!」 誰も見たことのない深淵にロマンを見出し、周囲の心配をよそに、未知の世界へ飛び込もうとしている。 自覚なき最強のタラシが、命懸けの冒険と恋の沼を同時に生み出す、現代ダンジョンファンタジー。 カクヨムさんの方で先行公開しております。

異世界に転生した俺は英雄の身体強化魔法を使って無双する。~無詠唱の身体強化魔法と無詠唱のマジックドレインは異世界最強~

北条氏成
ファンタジー
宮本 英二(みやもと えいじ)高校生3年生。 実家は江戸時代から続く剣道の道場をしている。そこの次男に生まれ、優秀な兄に道場の跡取りを任せて英二は剣術、槍術、柔道、空手など様々な武道をやってきた。 そんなある日、トラックに轢かれて死んだ英二は異世界へと転生させられる。 グランベルン王国のエイデル公爵の長男として生まれた英二はリオン・エイデルとして生きる事に・・・ しかし、リオンは貴族でありながらまさかの魔力が200しかなかった。貴族であれば魔力が1000はあるのが普通の世界でリオンは初期魔法すら使えないレベル。だが、リオンには神話で邪悪なドラゴンを倒した魔剣士リュウジと同じ身体強化魔法を持っていたのだ。 これは魔法が殆ど使えない代わりに、最強の英雄の魔法である身体強化魔法を使いながら無双する物語りである。

【運命鑑定】で拾った訳あり美少女たち、SSS級に覚醒させたら俺への好感度がカンスト!? ~追放軍師、最強パーティ(全員嫁候補)と甘々ライフ~

月城 友麻
ファンタジー
『お前みたいな無能、最初から要らなかった』 恋人に裏切られ、仲間に陥れられ、家族に見捨てられた。 戦闘力ゼロの鑑定士レオンは、ある日全てを失った――――。 だが、絶望の底で覚醒したのは――未来が視える神スキル【運命鑑定】 導かれるまま向かった路地裏で出会ったのは、世界に見捨てられた四人の少女たち。 「……あんたも、どうせ私を利用するんでしょ」 「誰も本当の私なんて見てくれない」 「私の力は……人を傷つけるだけ」 「ボクは、誰かの『商品』なんかじゃない」 傷だらけで、誰にも才能を認められず、絶望していた彼女たち。 しかしレオンの【運命鑑定】は見抜いていた。 ――彼女たちの潜在能力は、全員SSS級。 「君たちを、大陸最強にプロデュースする」 「「「「……はぁ!?」」」」 落ちこぼれ軍師と、訳あり美少女たちの逆転劇が始まる。 俺を捨てた奴らが土下座してきても――もう遅い。 ◆爽快ざまぁ×美少女育成×成り上がりファンタジー、ここに開幕!

異世界転移から始まるハーレム生活〜チートスキルを貰った俺は、妹と共に無双する〜

昼寝部
ファンタジー
 2XXX年、X月。  俺、水瀬アキトは戦争の絶えない地球で『戦場の悪魔』と呼ばれ、数多の戦で活躍していた。  そんな日々を過ごしていた俺は、ひょんなことから妹と一緒に異世界へ転移することになった。  その世界にはダンジョンが存在しており、ライトノベルなどで登場する世界観と類似していた。  俺たちはその世界で過ごすため女神様からチートスキルを貰い、冒険者となって異世界での生活を満喫することにした。  これは主人公の水瀬アキトと妹のカナデが異世界へ転移し、美少女たちに囲まれながら異世界で無双するお話し。

処理中です...