退屈だな

天野蒼空

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退屈だな

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「退屈だ」

 私は一人呟いた。そして天井を見た。

「やっぱり退屈だ」

 それから今日何度目になるかわからないため息をついた。
 時計は八時半を指していた。普段のわたしなら着替えて顔を洗って朝ごはんも食べ終わっている時間だ。

「よく寝るよね」

 私の隣で規則正しい寝息を立てているそいつの顔を覗き込んで私は言った。いや、言ったところでこいつに聞こえてないのは分かっているのだが。

「やっぱり退屈だなー」

 暇なのだ。やることがないのだ。ゴロゴロと一人寝転がっているだけじゃ暇なのだ。確かに隣に人はいるのだが寝ているんじゃ一人と変わらない。暇なのだ。

「起きないのかなぁ」

 ほっぺたをつんつんしてみる。……反応無し。
髪を撫でてみる。……反応無し。
布団から少し出ている手を握ってみる。……握り返してきた。こいつ、起きてるのか?あ、寝てるのか。

 今まで自由だった片方の手の自由も奪われたので私はほんとに暇になってしまった。

「退屈~」

 横目で隣に寝そべるそいつの顔を見る。
 うん。悪くは無い。むしろかっこいい。そして寝顔はちょっと可愛い。

「んー」

 小さな、うめき声のような声を上げてそいつは少しだけ私のほうへ向いた。
それから私のことを抱きしめた。

「ちょっとー、私抱き枕じゃないよー」

 そう言ったけどこいつに聞こえてるはずもなく、

「ま、いっか」

 お泊まりした朝はこれでもいいのかもしれない。私はもうしばらくこのままでいることにした。
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