魔法少女なんていなければよかったのに

天野蒼空

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「魔法少女なんていなければよかったのに」

 私は誰に言うでもなく、独り、呟いた。
 頭上には満点の星。天の川がはっきりとわかるほど澄んだ夜空。てっぺんで輝く、宝石のような一等星をつなげてできる、夏の大三角。
 足元には、大地。荒れ果てた、大地。瓦礫と枯れた草が、灰色の地面の上で折り重なるように倒れている。
 目線を下げれば嫌でも目に入ってくる、フリルがたくさんついた白とピンクのミニスカート。
 手元には身長の半分くらいの杖。太い蔦のような、螺旋を描く形状だが、その材質は植物のような温もりはなく、どちらかといえば、鉱石のような冷たさがある。先端には、うっすら光る花の形をした、桜のような薄ピンクの石が埋め込まれている。

「茉桜、これでいいのかい?」

 右隣から声がした。

「もちろんよ、ルイズリー。だって、こうするしかないでしょう」

 私はその声の主に返事した。

「魔法少女は誰もが最後にそういうんだ。だから、僕は止めないよ」

 そう言いながら、ルイズリーは私の目の前に来た。
 見た目はただの黒い猫。だけれども、服を着て、喋り、宙に浮かぶのは、ただの猫じゃないから。
 ルイズリーは使い魔だから。
 そして私は魔法少女。
 全てを終わらしてしまったけれど、私は魔法少女なのだ。

 そう、あの日から。

 目を閉じれば、あの日からの出来事が瞼の裏に映し出される。一つ一つ、鮮明に。鮮やかな色をした、色褪せないものが。
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