9 / 14
9話 From菜月
しおりを挟む
最近の私は、変だ。
幸人の顔を見るたび、声を聞くたび、心臓の音がうるさくなって、全身の血液の流れが早くなって、口の中がカラカラになっちゃう。それに、何をしても幸人事ばかり考えてしまう。
もっと、幸人のことを知りたいって。
もっと、幸人と一緒にいたいって。
六限目の間に降っていた雨も、ホームルームが終わる頃には上がっていた。今日は傘を持ってきていなかったから良かった。しかも今日は部活がない上、いつも一緒に帰っている明日香は生徒会の仕事があるそうだ。一人でびしょ濡れになりながら帰るという最悪ルートを行くことがなくなったことで、今週一週間分の運を使い切ってしまったかもしれない。
校門を出て、駅までの道を歩く。
オレンジがかった太陽の光が真っ直ぐな道を明るく照らす。街路樹のイチョウの枝は風に揺られてさわさわと歌う。私の影が後ろに長く伸びている。
「あ、虹だ」
空のすみっこに鮮やかな七色の橋を見つけた。
なにかいいことがあるかも。ちょっとスキップしたくなる。
そうだ、幸人に見せてあげよう。きっと今頃生徒会の仕事をしているから見られないだろうから。見たかったなっていうかな。見れてよかったね、みたいな返事が帰ってくるのかな。それとも別の何かが返ってくるかな。
ポケットの中からスマホを取り出して、虹を画面の中に切り取った。それから、メッセージアプリを起動して、幸人に送る。
あれ、なんでわざわざ最初に幸人に送ろうと思ったんだっけ。
スマホを触る指が止まる。
それは、この虹を見たときの幸人の反応が見たかったから。これをきっかけに今日も幸人と話したかったから。
ああ、また幸人のことばかり考えている。最近の私は変なんだ。
何を見ても、何をしても、幸人のことに繋げて考えてしまう。世界の中心が幸人になってしまったみたいなんだ。
もう、この気持から目をそらすことなんて出来なかった。
きっとこれは恋なんだ。私は恋をしてしまったんだ。
心が変になって、恋をしてしまったんだ。
幸人のことが、好きになっちゃったんだ。
理由なんてよくわからない。きっかけなんて全部かもしれない。
幸人のことを考えるだけで、胸がいっぱいになる。
幸人ともっと一緒にいたくて、幸人ともっとたくさん話したくて、幸人のことをもっと知りたくて、できれば幸せになりたくて。
もしも、関係を進めることが出来たなら、きっと幸せになれると思う。だって、もうこんな気持になってしまったから。運命が結ばれるのならば、私は幸人と幸せになりたい。
そんな事考えてしまうのは、もうこの気持に名前がついてしまったから。
好きなんだ。
一瞬にして世界が色づく、なんてことはなかった。恋に落ちる音なんて聞こえなかった。なのに、気づいたら恋色に染まってしまっていた。戻れない場所まで来てしまっていた。
顔が赤くなるのは、きっと西に傾いた太陽のせいだけじゃない。
私は大きく一歩、足を前に進めた。
幸人の顔を見るたび、声を聞くたび、心臓の音がうるさくなって、全身の血液の流れが早くなって、口の中がカラカラになっちゃう。それに、何をしても幸人事ばかり考えてしまう。
もっと、幸人のことを知りたいって。
もっと、幸人と一緒にいたいって。
六限目の間に降っていた雨も、ホームルームが終わる頃には上がっていた。今日は傘を持ってきていなかったから良かった。しかも今日は部活がない上、いつも一緒に帰っている明日香は生徒会の仕事があるそうだ。一人でびしょ濡れになりながら帰るという最悪ルートを行くことがなくなったことで、今週一週間分の運を使い切ってしまったかもしれない。
校門を出て、駅までの道を歩く。
オレンジがかった太陽の光が真っ直ぐな道を明るく照らす。街路樹のイチョウの枝は風に揺られてさわさわと歌う。私の影が後ろに長く伸びている。
「あ、虹だ」
空のすみっこに鮮やかな七色の橋を見つけた。
なにかいいことがあるかも。ちょっとスキップしたくなる。
そうだ、幸人に見せてあげよう。きっと今頃生徒会の仕事をしているから見られないだろうから。見たかったなっていうかな。見れてよかったね、みたいな返事が帰ってくるのかな。それとも別の何かが返ってくるかな。
ポケットの中からスマホを取り出して、虹を画面の中に切り取った。それから、メッセージアプリを起動して、幸人に送る。
あれ、なんでわざわざ最初に幸人に送ろうと思ったんだっけ。
スマホを触る指が止まる。
それは、この虹を見たときの幸人の反応が見たかったから。これをきっかけに今日も幸人と話したかったから。
ああ、また幸人のことばかり考えている。最近の私は変なんだ。
何を見ても、何をしても、幸人のことに繋げて考えてしまう。世界の中心が幸人になってしまったみたいなんだ。
もう、この気持から目をそらすことなんて出来なかった。
きっとこれは恋なんだ。私は恋をしてしまったんだ。
心が変になって、恋をしてしまったんだ。
幸人のことが、好きになっちゃったんだ。
理由なんてよくわからない。きっかけなんて全部かもしれない。
幸人のことを考えるだけで、胸がいっぱいになる。
幸人ともっと一緒にいたくて、幸人ともっとたくさん話したくて、幸人のことをもっと知りたくて、できれば幸せになりたくて。
もしも、関係を進めることが出来たなら、きっと幸せになれると思う。だって、もうこんな気持になってしまったから。運命が結ばれるのならば、私は幸人と幸せになりたい。
そんな事考えてしまうのは、もうこの気持に名前がついてしまったから。
好きなんだ。
一瞬にして世界が色づく、なんてことはなかった。恋に落ちる音なんて聞こえなかった。なのに、気づいたら恋色に染まってしまっていた。戻れない場所まで来てしまっていた。
顔が赤くなるのは、きっと西に傾いた太陽のせいだけじゃない。
私は大きく一歩、足を前に進めた。
0
あなたにおすすめの小説
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
壊れていく音を聞きながら
夢窓(ゆめまど)
恋愛
結婚してまだ一か月。
妻の留守中、夫婦の家に突然やってきた母と姉と姪
何気ない日常のひと幕が、
思いもよらない“ひび”を生んでいく。
母と嫁、そしてその狭間で揺れる息子。
誰も気づきがないまま、
家族のかたちが静かに崩れていく――。
壊れていく音を聞きながら、
それでも誰かを思うことはできるのか。
俺が宝くじで10億円当選してから、幼馴染の様子がおかしい
沢尻夏芽
恋愛
自他共に認める陰キャ・真城健康(まき・けんこう)は、高校入学前に宝くじで10億円を当てた。
それを知る、陽キャ幼馴染の白駒綾菜(しらこま・あやな)はどうも最近……。
『様子がおかしい』
※誤字脱字、設定上のミス等があれば、ぜひ教えてください。
現時点で1話に繋がる話は全て書き切っています。
他サイトでも掲載中。
17歳男子高生と32歳主婦の境界線
MisakiNonagase
恋愛
32歳の主婦・加恋。冷え切った家庭で孤独に苛まれる彼女を救い出したのは、ネットの向こう側にいた二十歳(はたち)と偽っていた17歳の少年・晴人だった。
「未成年との不倫」という、社会から断罪されるべき背徳。それでも二人は、震える手で未来への約束を交わす。少年が大学生になり、社会人となり、守られる存在から「守る男」へと成長していく中で、加恋は自らの手で「妻」という仮面を脱ぎ捨てていく…
なお、スピンオフもございます。
【完】ベッドの隣は、昨日と違う人
月村 未来(つきむら みらい)
恋愛
朝目覚めたら、
隣に恋人じゃない男がいる──
そして、甘く囁いてきた夜とは、違う男になる。
こんな朝、何回目なんだろう。
瞬間でも優しくされると、
「大切にされてる」と勘違いしてしまう。
都合のいい関係だとわかっていても、
期待されると断れない。
これは、流されてしまう自分と、
ちゃんと立ち止まろうとする自分のあいだで揺れる、ひとりの女の子、みいな(25)の恋の話。
📖全年齢版恋愛小説です。
しおり、いいね、お気に入り登録もよろしくお願いします。
📖2026.2.25完結
本作の0章にあたるエピソードをNOTEにて公開しています。
気になった方はぜひそちらもどうぞ!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる