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彼女は世界を抱いている6
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俺は床に倒れている若葉の手をつかむと、一目散に駆け出した。悪いけれど俺は特殊な訓練を受けた傭兵ではない。もったいぶった構えをとり、殺人鬼を倒してかっこいい一言をかける。そんなのに憧れてもいないし、できるわけない。
硬い靴音が後を追ってくる。
背中にスッと冷気のような物が走った。たぶん、殺気とかいう物だったのだろう。
恐かったけれど、笑いたくもなった。ほんの数日前、訳もなく死のうとしたのに、今は必死に生きようとしている。
とりあえずこのビルを出た方がいい。上に行ったら追い詰められて逃げ場がなくなる。そう思ったとき、腕の中から若葉が飛び降りた。そしてかさかさと階段を登って二階に登っていく。
「あ!」
きっと、パニックになって考えもなく適当に逃げ出したのだ。一人で逃げるわけにはいかない。俺は若葉を追うようにビルの上階へ逃げていった。
途中で転んで、階段の角に膝下をぶつけた。体を動かすたびにそこが痛む。痛みを強引に無視して起き上がる。
狭い階段は音が反響し、後で犯人が低く笑ったのが聞こえる。
捕まれば殺される。いや、もう相手はそれをできるのに、おいかけっこを楽しんでいるのだ。
四階まで登ったとき、若葉が服の裾を引いた。
この階に行けということらしい。その通りにすると、若葉はある扉を指差した。
考えるすきもなく、俺はそこに飛び込んだ。そこは、もとは何かの事務所だったようだ。向かい合わせに置かれたいくつかのデスクに、古い型のパソコンが並んでいる。
パソコンの他には一つだけ段ボール箱が置かれていた。
若葉がまた裾を引っ張った。そして机の下に潜り込む。机の下の床には埃が溜まっている。それに気づき、俺は叫び声をあげそうになり、口を押えた。埃が溜まっているということは、ここに隠れるまでの俺の足跡が残っているだろう。
扉がギィッと軋んだ音がした。
犯人は、小馬鹿にしたように鼻を鳴らした。やっぱり、隠れ場所はすぐに見つかってしまったらしい。
あの足音が近づいてくる。しゃがみこんでいるせいで床に近くなっている顔のすぐ前に、男の足が見えた。
こんな狭い所では逃げ場がない。このままデスクからひきづりだされ、刺されてバラバラにされるのか。
男がデスクの下を覗き込んだ。にやりと歪んだ唇から、黄色い歯が見えた。
カチリ。小さな音がした。そして床を走る振動と、煙と爆音。
硬い靴音が後を追ってくる。
背中にスッと冷気のような物が走った。たぶん、殺気とかいう物だったのだろう。
恐かったけれど、笑いたくもなった。ほんの数日前、訳もなく死のうとしたのに、今は必死に生きようとしている。
とりあえずこのビルを出た方がいい。上に行ったら追い詰められて逃げ場がなくなる。そう思ったとき、腕の中から若葉が飛び降りた。そしてかさかさと階段を登って二階に登っていく。
「あ!」
きっと、パニックになって考えもなく適当に逃げ出したのだ。一人で逃げるわけにはいかない。俺は若葉を追うようにビルの上階へ逃げていった。
途中で転んで、階段の角に膝下をぶつけた。体を動かすたびにそこが痛む。痛みを強引に無視して起き上がる。
狭い階段は音が反響し、後で犯人が低く笑ったのが聞こえる。
捕まれば殺される。いや、もう相手はそれをできるのに、おいかけっこを楽しんでいるのだ。
四階まで登ったとき、若葉が服の裾を引いた。
この階に行けということらしい。その通りにすると、若葉はある扉を指差した。
考えるすきもなく、俺はそこに飛び込んだ。そこは、もとは何かの事務所だったようだ。向かい合わせに置かれたいくつかのデスクに、古い型のパソコンが並んでいる。
パソコンの他には一つだけ段ボール箱が置かれていた。
若葉がまた裾を引っ張った。そして机の下に潜り込む。机の下の床には埃が溜まっている。それに気づき、俺は叫び声をあげそうになり、口を押えた。埃が溜まっているということは、ここに隠れるまでの俺の足跡が残っているだろう。
扉がギィッと軋んだ音がした。
犯人は、小馬鹿にしたように鼻を鳴らした。やっぱり、隠れ場所はすぐに見つかってしまったらしい。
あの足音が近づいてくる。しゃがみこんでいるせいで床に近くなっている顔のすぐ前に、男の足が見えた。
こんな狭い所では逃げ場がない。このままデスクからひきづりだされ、刺されてバラバラにされるのか。
男がデスクの下を覗き込んだ。にやりと歪んだ唇から、黄色い歯が見えた。
カチリ。小さな音がした。そして床を走る振動と、煙と爆音。
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