2 / 31
りんごのきもち
しおりを挟む
11月1日
最近、ネットで興味深い実験の話を聞いた。
リンゴを縦に二つに切る。それらをそれぞれA、Bとして、同じ場所に置く。そして生徒もA組とB組の二つのグループに分ける。A組はリンゴAに「すてき」や「愛してる」などと好意的な言葉を、B組にはBのリンゴに「汚い」「嫌い」などと罵声を浴びせる。すると、どういうわけかBの方が速く腐る、という物だ。
言葉の意味が物質に与える影響を調べるものだという。
面白そうなので、授業とは別に生徒とやってみる事にする。さっそく、教室の後ろにリンゴを用意してみた。興味を持ったらしく、生徒達は面白そうに声をかけ始めた。
11月3日
皆、返事をしない物体であるリンゴに言葉をかけるのに少し抵抗があるようだ。
AのリンゴもBのリンゴも、大して変わらない。
11月6日
B組のリンゴを罵倒する時間が長くなった。大声を出すのがいいストレス解消になるらしい。スッキリして勉強もはかどると言っていた。まあ、先生公認で悪口を言えるなんてないからな。
気のせいか、Bの方が傷みが早い気がする。
11月10日
最近、A組とB組の仲が悪くなっているように思えるのは気のせいだろうか? 今まで
あった仲良しグループが解体され、A組どうし、B組どうしで再編成されているようだ。
B組の生徒達が、全体的に反抗的になった気がする。
Aのリンゴも傷んできたが、Bほどではない。
11月15日
だんだんとB組の浴びせる言葉が過激になっているようだ。「バカ」「アホ」ぐらいだったのが、「死ね」「ブッ殺す」になってきた。
それと、B組の須川が柔道の大会で活躍したらしい。「気弱な須川とは思えないくらい積極的な攻めだった」と顧問が驚いていた。きつい言葉を何度も口にすることで大胆になったというか、変な遠慮がなくなったのだろうか。
Bのリンゴはもうしぼんできている。だんだんと教室が臭くなってきた。
11月20日
教室に入ったら、B組の立川と木村が取っ組み合いのケンカをしていた。発端は、木村がリンゴに声をかけるときにふざけて「立川死ね!」と叫んだからだという。くだらない理由だ。
木村はどちらかというと大人しい性格で、悪口をいうタイプではなかったのだが。
A組は、もうほとんどB組に関わらないようにしているらしい。
Aのリンゴも少しずつ傷んできたようだ。
11月28日
近所の住人から学校に苦情があったという。なんでも、うちのクラスのB組中山がその人とぶつかり、謝るどころか口汚く罵ったのだという。きっと、罵声を浴びせることに抵抗がなくなったのだろう。
Bにはカビが生えてきた。Aも傷みが激しくなってきたそうだ。
11月30日
とうとう、事件が起こった。木村が持ち込んでいたサバイバルナイフで立川を刺したのだ。立川は病院に運ばれ、命に別状はないらしい。
もうそろそろ、実験は終わりにした方がいいようだ。リンゴを破棄することにする。
結果として、Aのリンゴの方が長持ちをし、Bのリンゴの方が早く腐った。けれどそれは副次的な物にすぎない。私が知りたかったのは、言葉が生徒達に与える影響だった。
物を腐らせるほど言葉に力があるのなら、当然その言葉を発した者に影響がないわけはない。結果は記録した通りだ。
実験は成功したが、もっとエスカレートしていくのが見たかったような気がする。
最近、ネットで興味深い実験の話を聞いた。
リンゴを縦に二つに切る。それらをそれぞれA、Bとして、同じ場所に置く。そして生徒もA組とB組の二つのグループに分ける。A組はリンゴAに「すてき」や「愛してる」などと好意的な言葉を、B組にはBのリンゴに「汚い」「嫌い」などと罵声を浴びせる。すると、どういうわけかBの方が速く腐る、という物だ。
言葉の意味が物質に与える影響を調べるものだという。
面白そうなので、授業とは別に生徒とやってみる事にする。さっそく、教室の後ろにリンゴを用意してみた。興味を持ったらしく、生徒達は面白そうに声をかけ始めた。
11月3日
皆、返事をしない物体であるリンゴに言葉をかけるのに少し抵抗があるようだ。
AのリンゴもBのリンゴも、大して変わらない。
11月6日
B組のリンゴを罵倒する時間が長くなった。大声を出すのがいいストレス解消になるらしい。スッキリして勉強もはかどると言っていた。まあ、先生公認で悪口を言えるなんてないからな。
気のせいか、Bの方が傷みが早い気がする。
11月10日
最近、A組とB組の仲が悪くなっているように思えるのは気のせいだろうか? 今まで
あった仲良しグループが解体され、A組どうし、B組どうしで再編成されているようだ。
B組の生徒達が、全体的に反抗的になった気がする。
Aのリンゴも傷んできたが、Bほどではない。
11月15日
だんだんとB組の浴びせる言葉が過激になっているようだ。「バカ」「アホ」ぐらいだったのが、「死ね」「ブッ殺す」になってきた。
それと、B組の須川が柔道の大会で活躍したらしい。「気弱な須川とは思えないくらい積極的な攻めだった」と顧問が驚いていた。きつい言葉を何度も口にすることで大胆になったというか、変な遠慮がなくなったのだろうか。
Bのリンゴはもうしぼんできている。だんだんと教室が臭くなってきた。
11月20日
教室に入ったら、B組の立川と木村が取っ組み合いのケンカをしていた。発端は、木村がリンゴに声をかけるときにふざけて「立川死ね!」と叫んだからだという。くだらない理由だ。
木村はどちらかというと大人しい性格で、悪口をいうタイプではなかったのだが。
A組は、もうほとんどB組に関わらないようにしているらしい。
Aのリンゴも少しずつ傷んできたようだ。
11月28日
近所の住人から学校に苦情があったという。なんでも、うちのクラスのB組中山がその人とぶつかり、謝るどころか口汚く罵ったのだという。きっと、罵声を浴びせることに抵抗がなくなったのだろう。
Bにはカビが生えてきた。Aも傷みが激しくなってきたそうだ。
11月30日
とうとう、事件が起こった。木村が持ち込んでいたサバイバルナイフで立川を刺したのだ。立川は病院に運ばれ、命に別状はないらしい。
もうそろそろ、実験は終わりにした方がいいようだ。リンゴを破棄することにする。
結果として、Aのリンゴの方が長持ちをし、Bのリンゴの方が早く腐った。けれどそれは副次的な物にすぎない。私が知りたかったのは、言葉が生徒達に与える影響だった。
物を腐らせるほど言葉に力があるのなら、当然その言葉を発した者に影響がないわけはない。結果は記録した通りだ。
実験は成功したが、もっとエスカレートしていくのが見たかったような気がする。
0
あなたにおすすめの小説
怪異の忘れ物
木全伸治
ホラー
千近くあったショートショートを下記の理由により、ツギクル、ノベルアップ+、カクヨムなどに分散させました。
さて、Webコンテンツより出版申請いただいた
「怪異の忘れ物」につきまして、
審議にお時間をいただいてしまい、申し訳ありませんでした。
ご返信が遅くなりましたことをお詫びいたします。
さて、御著につきまして編集部にて出版化を検討してまいりましたが、
出版化は難しいという結論に至りました。
私どもはこのような結論となりましたが、
当然、出版社により見解は異なります。
是非、他の出版社などに挑戦され、
「怪異の忘れ物」の出版化を
実現されることをお祈りしております。
以上ご連絡申し上げます。
アルファポリス編集部
というお返事をいただいたので、本作品は、一気に全削除はしませんが、ある程度別の投稿サイトに移行しました。
www.youtube.com/@sinzikimata
私、俺、どこかの誰かが体験する怪奇なお話。バットエンド多め。少し不思議な物語もあり。ショートショート集。
いつか、茶風林さんが、主催されていた「大人が楽しむ朗読会」の怪し会みたいに、自分の作品を声優さんに朗読してもらうのが夢。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
それなりに怖い話。
只野誠
ホラー
これは創作です。
実際に起きた出来事はございません。創作です。事実ではございません。創作です創作です創作です。
本当に、実際に起きた話ではございません。
なので、安心して読むことができます。
オムニバス形式なので、どの章から読んでも問題ありません。
不定期に章を追加していきます。
2026/1/30:『かお』の章を追加。2026/2/7の朝頃より公開開始予定。
2026/1/29:『かいもの』の章を追加。2026/2/6の朝頃より公開開始予定。
2026/1/28:『えあこん』の章を追加。2026/2/5の朝頃より公開開始予定。
2026/1/27:『ほうもんしゃ』の章を追加。2026/2/4の朝頃より公開開始予定。
2026/1/26:『きぐるみ』の章を追加。2026/2/3の朝頃より公開開始予定。
2026/1/25:『さむいごご』の章を追加。2026/2/2の朝頃より公開開始予定。
2026/1/24:『うるさいりんじん』の章を追加。2026/1/31の朝頃より公開開始予定。
※こちらの作品は、小説家になろう、カクヨム、アルファポリスで同時に掲載しています。
意味が分かると怖い話(解説付き)
彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです
読みながら話に潜む違和感を探してみてください
最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください
実話も混ざっております
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
(ほぼ)1分で読める怖い話
涼宮さん
ホラー
ほぼ1分で読める怖い話!
【ホラー・ミステリーでTOP10入りありがとうございます!】
1分で読めないのもあるけどね
主人公はそれぞれ別という設定です
フィクションの話やノンフィクションの話も…。
サクサク読めて楽しい!(矛盾してる)
⚠︎この物語で出てくる場所は実在する場所とは全く関係御座いません
⚠︎他の人の作品と酷似している場合はお知らせください
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる