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第6話 ギルドに行ってみる
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異世界に来てしばらく経った。
あたしは、あれからシノさんにこの世界の基本的なルールを学び、おねたんと親子グマと一緒に最初にいた森に住んでいる。
場所は親子グマの巣穴のすぐ隣。
おねたんには、例のウニャウニャで大工のスキルを与えてもらった。
木々はお母さんグマに伐採してもらって、あたしが加工して小屋を作る。
子グマはすりすりしてくるし、おねたんもすりすりしてくる。
そんなこんなで、掘っ建て小屋が誕生した。
ガラスはないから、窓にはその辺の草の蔓を編んだカーテンを付けてみた。
開きっぱなしだと虫が入ってくるからね。
「これで住居はいいんだけど、ここに来てまだ一回もお風呂入れてない!」
「千春はそんな臭わないから大丈夫よ」
「多少は臭うんでしょ!?」
今切実にお風呂が欲しい。
近くに川があるから水はなんとかなるんだけど、でも、日本の冬ほどでは無いにしても、結構肌寒いのに川で水浴びとかした日には、風邪をひきかねない。
「ガウッ!」
「クマたちも獣臭いから、洗ってあげたいんだけどね」
「この子たちにとってはそれが普通なのだから、わたしたちが下手に手を出さない方がいいわ」
「それもそうか」
にしても、お金もないから服も買えないし困ったなー……。
浄化スキルとかないのかしら、それ使ったら洗濯とかしなくていいような。
「おねたん、よく異世界もので見るような洗濯やお風呂いらずのスキルってないの?」
「あるよ」
あるんかい!聞かないと答えてくれないあたり、やっぱりAIだなって感じ。
その後、ウニャウニャでスキル付与してもらって、服も体も綺麗にはできたけど、やっぱりお風呂は欲しいし、服もいつまでもこんな厚手のコートとジャケットとフレアスカートってのもね……。
「お金稼ぎたいー」
「ギルドに所属する?」
「やっぱりそれしかない?」
あたしとおねたんは、ギルドに向かうことにした。
ちなみに、一度行った場所はおねたんのナビが使えるから迷ったりすることはない。
***
ギルドに着くと、いかつい人たちがいっぱいいた。
この前は夕方だったからあまり人がいなかったけど、ちょうどお昼頃だからか、なんだか賑わっている。
今日は受付のメガネの可愛いお姉さんが対応してくれるみたい。
ギルドに入るのに、特に試験とかもないみたいだね。
書類に名前と年齢と性別とスキルを記載していくだけ。
住所の欄があったらどうしようかと思ってたけど、なくて良かったわ。
「スキルはヒールと……ローキックですか?」
「ローキックです」
痛いの痛いの飛んでけは、別にヒールと言っても発動することがわかった。
だからヒールと書いたんだけど、ローキックはローキックとしか書きようがない。
他にもウニャウニャでもらった有象無象のスキルはあるけど、ギルドで役に立つスキルではないからね。
「あー、そいつはテイマーだぞ」
マスターさんだ。
「そこの飛んでる変なウサギと、アルクーダの親子をテイミングしている」
「羽根うさぎです!」
変なウサギ扱いにぷんすかおねたん。
「テイマーですか……では、この仕事なんてどうでしょう?」
そう言って見せられたのは、山に棲むドラゴン討伐とかいう、初心者にあるまじき恐ろしい内容だった。
あたしに死ねとおっしゃる?
「討伐と書いてありますが、退治できなくても、山から出て行ってもらうだけでも大丈夫です」
「つまり、説得すればオーケーと?」
それでも危険なことには変わりない。
あたしには無理だと断りたいところだけど……報酬の0の数が他より多いから、この世界のお金の価値はよくわからないけど、これをこなせばしばらく働かなくて済みそうな感じ。
「どうする?おねたん」
「行くだけ行ってみる?無理そうなら、引き返せばいいし」
「ドラゴンは近づくだけでも、雷を放ってきますよ」
やはり死。
「報酬は欲しいけど……命あってこそだもんね」
「手伝ってやろうか?」
一人の冒険者があたしたちに声をかけてきた。
額当てをして、髪はボサボサ、つり目の三白眼。
褐色の鎧とマントに身を包んだいかにもな感じの男性だ。
なんとなく、凶暴な野良犬みたいな感じ。
「お前も駆け出しだろうが」
マスターが男にツッコミを入れる。
「こいつはジフテト。
まだ大した実績も上げていない、駆け出し冒険者だ」
「これから上げるんだよ!」
駆け出しかー……そんな人連れてっても、死体が増えるだけじゃね?
「取り分は折半だ!それで良ければ俺が同行してやる!」
「マスター、シノさんは空いてませんか?」
「俺の話を聞け!」
「シノは、ただの冒険者ではないからな。
こちらから依頼することはできん」
そうなんだ。
あの人、ただものでは無いと思ってたんだけど、すごい人だったんだね。
「どうします?」
「違うのにしようかな」
「もちろん受けるぜ!先に行ってるからよ!
お前もすぐ来いよ!」
被せ気味にジフテトさんはそう言って、外に飛び出して行った。
受けるの?ドラゴンでしょ?死ぬよ?
「おねたん、どうする?」
「最悪、千春にはウニャウニャするから、とりあえず行ってみようか」
「おねたんがいるから大丈夫か」
あまり気乗りはしないけど、おねたんを信じて行くだけ行ってみよう。
ジフテトさんのことは知らん。
自分のことは自分でなんとかしてください。
あたしは、あれからシノさんにこの世界の基本的なルールを学び、おねたんと親子グマと一緒に最初にいた森に住んでいる。
場所は親子グマの巣穴のすぐ隣。
おねたんには、例のウニャウニャで大工のスキルを与えてもらった。
木々はお母さんグマに伐採してもらって、あたしが加工して小屋を作る。
子グマはすりすりしてくるし、おねたんもすりすりしてくる。
そんなこんなで、掘っ建て小屋が誕生した。
ガラスはないから、窓にはその辺の草の蔓を編んだカーテンを付けてみた。
開きっぱなしだと虫が入ってくるからね。
「これで住居はいいんだけど、ここに来てまだ一回もお風呂入れてない!」
「千春はそんな臭わないから大丈夫よ」
「多少は臭うんでしょ!?」
今切実にお風呂が欲しい。
近くに川があるから水はなんとかなるんだけど、でも、日本の冬ほどでは無いにしても、結構肌寒いのに川で水浴びとかした日には、風邪をひきかねない。
「ガウッ!」
「クマたちも獣臭いから、洗ってあげたいんだけどね」
「この子たちにとってはそれが普通なのだから、わたしたちが下手に手を出さない方がいいわ」
「それもそうか」
にしても、お金もないから服も買えないし困ったなー……。
浄化スキルとかないのかしら、それ使ったら洗濯とかしなくていいような。
「おねたん、よく異世界もので見るような洗濯やお風呂いらずのスキルってないの?」
「あるよ」
あるんかい!聞かないと答えてくれないあたり、やっぱりAIだなって感じ。
その後、ウニャウニャでスキル付与してもらって、服も体も綺麗にはできたけど、やっぱりお風呂は欲しいし、服もいつまでもこんな厚手のコートとジャケットとフレアスカートってのもね……。
「お金稼ぎたいー」
「ギルドに所属する?」
「やっぱりそれしかない?」
あたしとおねたんは、ギルドに向かうことにした。
ちなみに、一度行った場所はおねたんのナビが使えるから迷ったりすることはない。
***
ギルドに着くと、いかつい人たちがいっぱいいた。
この前は夕方だったからあまり人がいなかったけど、ちょうどお昼頃だからか、なんだか賑わっている。
今日は受付のメガネの可愛いお姉さんが対応してくれるみたい。
ギルドに入るのに、特に試験とかもないみたいだね。
書類に名前と年齢と性別とスキルを記載していくだけ。
住所の欄があったらどうしようかと思ってたけど、なくて良かったわ。
「スキルはヒールと……ローキックですか?」
「ローキックです」
痛いの痛いの飛んでけは、別にヒールと言っても発動することがわかった。
だからヒールと書いたんだけど、ローキックはローキックとしか書きようがない。
他にもウニャウニャでもらった有象無象のスキルはあるけど、ギルドで役に立つスキルではないからね。
「あー、そいつはテイマーだぞ」
マスターさんだ。
「そこの飛んでる変なウサギと、アルクーダの親子をテイミングしている」
「羽根うさぎです!」
変なウサギ扱いにぷんすかおねたん。
「テイマーですか……では、この仕事なんてどうでしょう?」
そう言って見せられたのは、山に棲むドラゴン討伐とかいう、初心者にあるまじき恐ろしい内容だった。
あたしに死ねとおっしゃる?
「討伐と書いてありますが、退治できなくても、山から出て行ってもらうだけでも大丈夫です」
「つまり、説得すればオーケーと?」
それでも危険なことには変わりない。
あたしには無理だと断りたいところだけど……報酬の0の数が他より多いから、この世界のお金の価値はよくわからないけど、これをこなせばしばらく働かなくて済みそうな感じ。
「どうする?おねたん」
「行くだけ行ってみる?無理そうなら、引き返せばいいし」
「ドラゴンは近づくだけでも、雷を放ってきますよ」
やはり死。
「報酬は欲しいけど……命あってこそだもんね」
「手伝ってやろうか?」
一人の冒険者があたしたちに声をかけてきた。
額当てをして、髪はボサボサ、つり目の三白眼。
褐色の鎧とマントに身を包んだいかにもな感じの男性だ。
なんとなく、凶暴な野良犬みたいな感じ。
「お前も駆け出しだろうが」
マスターが男にツッコミを入れる。
「こいつはジフテト。
まだ大した実績も上げていない、駆け出し冒険者だ」
「これから上げるんだよ!」
駆け出しかー……そんな人連れてっても、死体が増えるだけじゃね?
「取り分は折半だ!それで良ければ俺が同行してやる!」
「マスター、シノさんは空いてませんか?」
「俺の話を聞け!」
「シノは、ただの冒険者ではないからな。
こちらから依頼することはできん」
そうなんだ。
あの人、ただものでは無いと思ってたんだけど、すごい人だったんだね。
「どうします?」
「違うのにしようかな」
「もちろん受けるぜ!先に行ってるからよ!
お前もすぐ来いよ!」
被せ気味にジフテトさんはそう言って、外に飛び出して行った。
受けるの?ドラゴンでしょ?死ぬよ?
「おねたん、どうする?」
「最悪、千春にはウニャウニャするから、とりあえず行ってみようか」
「おねたんがいるから大丈夫か」
あまり気乗りはしないけど、おねたんを信じて行くだけ行ってみよう。
ジフテトさんのことは知らん。
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