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第7話 ドラゴンと話す①
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ジフテトさんを追って山に来ると、そこは意外と整備された山道になっていた。
「こんなところにドラゴンがいるの?」
「だから通る奴らが困ってんだろ」
言われてみたら、確かにそうか。
道中、魔物が襲ってくることもなく、なんならドラゴンがいるせいで他の魔物も寄りつかないのか、あっさりとドラゴンのいる山頂付近に着いてしまった。
「ここが、ドラゴンが出没するという場所だな」
剣を持つジフテトさんの腕がカタカタと震えている。本人曰く、武者震いらしい。
そんな日本語みたいな言葉が、この世界にもあるなんてね。
「おねたん、ドラゴンの気配ある?」
「ビンビンあるよ!」
こりゃ早めにウニャウニャしてもらったほうが良さそうだ。
「ドラゴンに有効なスキルとかあるの?」
「勝てるようなのはないけど、守れるようなものならあるよ」
「それ、あたしとジフテトさんに付与することできない?」
「残念ながら、千春以外に付与することはできないの」
「何の話だ?」
そうジフテトさんに聞かれたので、あたしは図を交えつつ丁寧に説明することにした。
羽根うさぎのおねたんのウニャウニャを、どう説明したらいいかわからず、お手手からなんか変な光線が出ている図になってしまったのはしかたないことだろう。
「なるほど、わからん」
「だろうね」
どうしよう、このまま行くべき?
たぶん、あたしとおねたんは死なないけど、ジフテトさんは死ぬよ?
そもそも、あたしなんかと来ずに、ベテランと一緒に来たらよかったのに。
「危険ですが、先に進みますか?
はいかいいえで答えてください」
我ながら、ひろ◯きみたいな聞き方をしてしまった。
「ここまで来たんだ……もちろん、イェスだろ!」
はいかいいえって言ったのに。
「じゃあ、千春だけウニャウニャするね。
おねたんは、千春に死んでほしくないもの」
おねたんのお手手から光が伸びて、あたしを包み込んだ。
これで、あたしはドラゴンの攻撃受けても大丈夫なのかな?
「これは、なんてスキル?」
「チャ◯ヘッ◯ャラ」
頭からっぽの方が夢詰め込めそうなスキル名!
やめよう、それは。多方面に危ないスキル名すぎる。
違う名前で使わせてもらうわ。
「ここで逃げたら、ちっとも格を上げることができねえ!
行くぞ、チハル!俺が守ってやるから、ドラゴンを説得するんだ!」
「説得と言っても、あたし異世界人の翻訳スキルしかないよ?」
「それもウニャウニャするわ」
このあと、めちゃくちゃウニャウニャされた。
***
『人間がいるぞー!』
『人間と変な白いのがいるぞー!』
鳥たちに、おねたん変な白いのとか言われてて可哀想。
でも、動物たちの喋ってることがわかるのは面白いわ。
「変な白いおねたん、ドラゴンはどこにいるの?」
「麓からずっとわたしたちを見てる……すぐにも雷を撃ってきそう。
あと、変な白いおねたんは流石のわたしも泣くかもしれない」
「ごめんね、可愛い羽根うさぎのおねたん」
「ぎゅー!」
「バカやってないで警戒しろ……」
ジフテトさん、震えてるけど大丈夫かしら。
「千春!ジフテトさん!来る!」
おねたんが叫ぶと、無数の雷があたしたちに向け飛んできた!
あたしの体をバリアみたいな球体が包む。
雷が弾けて、あたしには当たることはない。
でも、ジフテトさんにも向かってる。
「ジフテトさん!伏せて!」
あたしはジフテトさんに覆い被さった。
これなら、あたしのバリアがジフテトさんを守るから、雷も当たらない。
「モガモガ!?」
マジでモガモガ言ってて笑える。
「考えたわね、千春」
でも、これじゃ防戦一方だ。
その間も雷の攻撃は容赦なく続くし、このまま動くこともできない。
これならいっそ、あたしだけで来た方が良かったんじゃないか?
ジフテトさん、帰ってくれないかなぁ。
「ぷはっ!チハル、どけよ!」
「あたしがどいたら黒焦げよ?」
さて、どうしたものやら……。
『我がイカズチを防ぐとは……やるな、人間』
ドラゴンの声だ。
なんか偉いモンスターの気はしてたけど、もしかして一人称は我ですか!?
『だが、これならどうだ!』
今度は炎のドラゴンブレス!?
バリアのおかげで死にはしないけど、ジフテトさんを守らないといけないから何にもできない!
「ドラゴンさん、ちょっとわたしたちの話を聞いてください」
おねたんがドラゴンに呼びかける。
それを聞き入れてくれたのか、ドラゴンはいったん攻撃の手を止めてくれた。
そして、ついに、ドラゴンが上空から姿を表す。
すごく……大きいです!
『フンッ……』
羽根だけでもかなりの大きさ。
翼竜ってやつかしら。
「チハル、お前だけは俺が守ってやる……」
あたしに守られてたくせに。
でも、これだけ怖い目に遭ってもそう言えるのは、さすがは冒険者さんだね。
『我に何のようだ、人間と変な白いの』
「変な白いのだって」
「羽根うさぎです!」
それはともかく、せっかく聞き入れる態勢になってくれたのだから、ちゃんと話さなきゃ。
「あの、ここでみんなに意地悪するのやめてもらえませんか?」
話せば分かりそうな竜だったから、説得してみることにした。
『それはできん』
わからない竜だったか!
『妻と子を育てておるのだ。今は動くことはできぬ』
「ああ、そういうこと!」
「なんだよ……何て言ってんだ?ドラゴンは」
「今奥さんと子育て中なんだって。
だから、ここから動けないみたい」
「そうなのか!なら、仕方ないところもあるな……」
でも、子育て中で動けないからって、はいそうですかというわけにもいかないよね、お互いに。
「どうする?おねたん」
「またギルドのマスターと相談するしかないんじゃないかしら」
「やっぱそうだよねー。
あたしたちだけじゃ何も決められないし」
「いったん、ギルドに戻るか?」
「そうしよう」
ドラゴンにはまた来ますと告げ、あたしたちは山道を引き返すことにした。
それにしても、親子グマといい、ドラゴンといい、この世界に来てから、なんかやたらと子育て中のモンスターばっかに会うなぁ。
「こんなところにドラゴンがいるの?」
「だから通る奴らが困ってんだろ」
言われてみたら、確かにそうか。
道中、魔物が襲ってくることもなく、なんならドラゴンがいるせいで他の魔物も寄りつかないのか、あっさりとドラゴンのいる山頂付近に着いてしまった。
「ここが、ドラゴンが出没するという場所だな」
剣を持つジフテトさんの腕がカタカタと震えている。本人曰く、武者震いらしい。
そんな日本語みたいな言葉が、この世界にもあるなんてね。
「おねたん、ドラゴンの気配ある?」
「ビンビンあるよ!」
こりゃ早めにウニャウニャしてもらったほうが良さそうだ。
「ドラゴンに有効なスキルとかあるの?」
「勝てるようなのはないけど、守れるようなものならあるよ」
「それ、あたしとジフテトさんに付与することできない?」
「残念ながら、千春以外に付与することはできないの」
「何の話だ?」
そうジフテトさんに聞かれたので、あたしは図を交えつつ丁寧に説明することにした。
羽根うさぎのおねたんのウニャウニャを、どう説明したらいいかわからず、お手手からなんか変な光線が出ている図になってしまったのはしかたないことだろう。
「なるほど、わからん」
「だろうね」
どうしよう、このまま行くべき?
たぶん、あたしとおねたんは死なないけど、ジフテトさんは死ぬよ?
そもそも、あたしなんかと来ずに、ベテランと一緒に来たらよかったのに。
「危険ですが、先に進みますか?
はいかいいえで答えてください」
我ながら、ひろ◯きみたいな聞き方をしてしまった。
「ここまで来たんだ……もちろん、イェスだろ!」
はいかいいえって言ったのに。
「じゃあ、千春だけウニャウニャするね。
おねたんは、千春に死んでほしくないもの」
おねたんのお手手から光が伸びて、あたしを包み込んだ。
これで、あたしはドラゴンの攻撃受けても大丈夫なのかな?
「これは、なんてスキル?」
「チャ◯ヘッ◯ャラ」
頭からっぽの方が夢詰め込めそうなスキル名!
やめよう、それは。多方面に危ないスキル名すぎる。
違う名前で使わせてもらうわ。
「ここで逃げたら、ちっとも格を上げることができねえ!
行くぞ、チハル!俺が守ってやるから、ドラゴンを説得するんだ!」
「説得と言っても、あたし異世界人の翻訳スキルしかないよ?」
「それもウニャウニャするわ」
このあと、めちゃくちゃウニャウニャされた。
***
『人間がいるぞー!』
『人間と変な白いのがいるぞー!』
鳥たちに、おねたん変な白いのとか言われてて可哀想。
でも、動物たちの喋ってることがわかるのは面白いわ。
「変な白いおねたん、ドラゴンはどこにいるの?」
「麓からずっとわたしたちを見てる……すぐにも雷を撃ってきそう。
あと、変な白いおねたんは流石のわたしも泣くかもしれない」
「ごめんね、可愛い羽根うさぎのおねたん」
「ぎゅー!」
「バカやってないで警戒しろ……」
ジフテトさん、震えてるけど大丈夫かしら。
「千春!ジフテトさん!来る!」
おねたんが叫ぶと、無数の雷があたしたちに向け飛んできた!
あたしの体をバリアみたいな球体が包む。
雷が弾けて、あたしには当たることはない。
でも、ジフテトさんにも向かってる。
「ジフテトさん!伏せて!」
あたしはジフテトさんに覆い被さった。
これなら、あたしのバリアがジフテトさんを守るから、雷も当たらない。
「モガモガ!?」
マジでモガモガ言ってて笑える。
「考えたわね、千春」
でも、これじゃ防戦一方だ。
その間も雷の攻撃は容赦なく続くし、このまま動くこともできない。
これならいっそ、あたしだけで来た方が良かったんじゃないか?
ジフテトさん、帰ってくれないかなぁ。
「ぷはっ!チハル、どけよ!」
「あたしがどいたら黒焦げよ?」
さて、どうしたものやら……。
『我がイカズチを防ぐとは……やるな、人間』
ドラゴンの声だ。
なんか偉いモンスターの気はしてたけど、もしかして一人称は我ですか!?
『だが、これならどうだ!』
今度は炎のドラゴンブレス!?
バリアのおかげで死にはしないけど、ジフテトさんを守らないといけないから何にもできない!
「ドラゴンさん、ちょっとわたしたちの話を聞いてください」
おねたんがドラゴンに呼びかける。
それを聞き入れてくれたのか、ドラゴンはいったん攻撃の手を止めてくれた。
そして、ついに、ドラゴンが上空から姿を表す。
すごく……大きいです!
『フンッ……』
羽根だけでもかなりの大きさ。
翼竜ってやつかしら。
「チハル、お前だけは俺が守ってやる……」
あたしに守られてたくせに。
でも、これだけ怖い目に遭ってもそう言えるのは、さすがは冒険者さんだね。
『我に何のようだ、人間と変な白いの』
「変な白いのだって」
「羽根うさぎです!」
それはともかく、せっかく聞き入れる態勢になってくれたのだから、ちゃんと話さなきゃ。
「あの、ここでみんなに意地悪するのやめてもらえませんか?」
話せば分かりそうな竜だったから、説得してみることにした。
『それはできん』
わからない竜だったか!
『妻と子を育てておるのだ。今は動くことはできぬ』
「ああ、そういうこと!」
「なんだよ……何て言ってんだ?ドラゴンは」
「今奥さんと子育て中なんだって。
だから、ここから動けないみたい」
「そうなのか!なら、仕方ないところもあるな……」
でも、子育て中で動けないからって、はいそうですかというわけにもいかないよね、お互いに。
「どうする?おねたん」
「またギルドのマスターと相談するしかないんじゃないかしら」
「やっぱそうだよねー。
あたしたちだけじゃ何も決められないし」
「いったん、ギルドに戻るか?」
「そうしよう」
ドラゴンにはまた来ますと告げ、あたしたちは山道を引き返すことにした。
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