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第8話 ドラゴンと話す②
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ギルドに戻ってきたあたしたちは、さっそくマスターにイクメンドラゴンのことを相談することにした。
「──なるほどな、ドラゴンにも事情があることは承知した。
だが、それで解決する問題でもないなぁ」
それはそう。あたしみたいに意思疎通できるならともかく、そうでない人はドラゴンがいる峠を越えるにしても身の危険は感じるだろうし、ドラゴン側をなんとか説得して人間を襲わないように言ったとしても、今度はそれを利用して人間側にドラゴンを襲う人が出ないとも言い切れない。
「巣を引っ越してもらうわけにもいかんし……どうしたものか」
「おねたん、どうしたらいいと思う?」
こういう困った時こそAIに相談すべきだとあたしは判断した。
そして、おねたんからさまざまな解決策が講じられる。
「いっそ、あの道を閉鎖するというのは?
自然災害か何かで使えなくなったとするとか」
「あそこを封鎖すると、隣町からの物資が流れなくなる。
それはそれでこちらにも影響がでるんだよ」
「では、回り道を整備するというのはどうかしら?」
「今から開始しても、それが完成するまでどれほどかかるやら……」
「名うての冒険者をギルドから派遣し、人間、ドラゴン双方に監視をつける」
「それなら、シノあたりが適任ではある……が、あいつに依頼するには国の許可がいる。
前回の魔獣騒ぎがまさにそれだったんだ」
この世界はこの世界で、なかなかお国事情がめんどくさそうだわ。
「ところでチハル、ジフテトは役に立ったか?」
「あー、うん」
ぶっちゃけいない方が楽だったまである。
それでも、あの人なりにあたしを庇おうと頑張ってくれていたし、あんまり悪くは言えないか。
「ドラゴンは話せる状態なんだな?
それなら俺と、国の環境省のやつらを連れてドラゴンの巣まで案内してくれ」
「わかりました」
結局、偉い人たちで話してもらって判断してもらうしかないよね。
その場合、報酬がどうなるのかが心配だわ。
それにしても──
「この世界にも環境省なんてあるんだね、おねたん」
「千春が知ってる近い意味合いの言葉で翻訳されるのよ」
「なるほど」
今まで翻訳されてた言葉に日本で馴染みのある言葉が混じってたのはそのせいか。
***
それからあたしたちは、マスターと環境省の人を連れて再びドラゴンの巣のある峠へと向かった。
「ジフテトさんは来なくても大丈夫だったのに」
「そういうわけにいかないだろ。
まだ依頼達成してないんだぞ」
これを終えたところで、依頼がどう扱われるのかわからないけどね。
どうなっちゃうんだろうなー、お金は絶対欲しいところだけどさ。
「ここです」
ドラゴンの姿は見えない。
巣にでも帰ってるのかな?イクメンだし。
「おねたん、ドラゴンいる?」
「こっちに気づいたみたいよ」
それから間も無くして、ドラゴンが飛来してきた。
巣がどこにあるのかは知らないけど、ここからそんな離れてないのかも。
『人数を増やしてきたか』
なんか、誤解されてる?
「別に戦いにきたわけじゃないよ。
あの眼帯の人はギルドのマスターで、他は環境省の人たちだから」
「本当にドラゴンと喋ってるのか……」
「不思議な光景ですね……」
とりあえず、ドラゴンの誤解を解くためにも、マスターたちと話してもらわないと。
あたしが通訳みたいにしたらいいのかな?
「マスター、どうするかドラゴンと話し合ってください。
あたしが通訳しますので」
マスターたちが話してることをドラゴンに伝えていく。
こういうのって、元の世界の仕事でもそうだったけど、お互いの妥協点を見つけるしか方法はないのよね。
『監視とはどういうことだ?
我ら竜が人間如きの監視下に入れと言うのか?』
ドラゴンはドラゴンで、そこはプライドが許さないみたい。
監視といっても、あなただけでなく、人間側も監視すると言ってるんだけどね。
それはそれで、人間に保護される立場になるから嫌なんだろうな。
でも、どっかで妥協しないと、話し合いが終わらないよ?
『もうよい……所詮、人間は自分たちのことしか考えぬ。
面倒だ、まとめて滅ぼしてくれる』
「ちょっと待ってよ!もし自分たちのことだけ考えてるなら、こんな話し合いに来るわけないでしょ!?」
「チハル、交渉決裂したのか!?」
「この石頭、全然妥協してくれない!」
戦闘体制に入ろうとするドラゴン……どうする?
あたしたちは、戦いに来たわけではないと言うのに。
「おねたん、なんか手はない?ローキックで動き止める?」
「ドラゴンにローキックしてもね……」
「戦うなら、やってやるぞ!」
「2人とも、脳筋な考えはいったんストップ!
おねたんが考えるから、ちょっと待ちなさい」
そうは言ってもドラゴンは待ってくれないじゃん!
「ドラゴンさん、聞いて。
監視を強化するのはあなたのことよりも、むしろ人間側の方なの」
『ほお……』
おねたんがドラゴンに話し始めた。
「あなたは理知的な竜だから、人間側を攻撃しない約束は守るでしょう。
でも、人間には、それすら守れないない人もいる」
「たしかに、そうだな……特にギルドにはそういった人種も多いだろう。
手柄を急ぐあまり、後先考えない奴らばかりだからな。
そういった奴らから、ドラゴンを守るための監視と言ってもいい」
「これは、あなたの家族を守るためでもあるのよ」
『ううむ……』
良かった。
とりあえず、ドラゴンは矛を収めてくれたみたい。
「チハル、伝えてくれ。
ドラゴンの不利益になるようなことにはさせないと」
「聞いて、マスターがあなたの不利益にはさせないって」
『……わかった。
お前たちのいうことを信じよう』
こうして話はまとまった。
ここの監視は、シノさんと通訳できるあたしが引き受けること。
そして、ドラゴンも子供がある程度育ったらここを離れること。
彼らのもともとの棲み家はここではなく、もっと遠くにあるそうだから、それについての異論はないって。
これで、あたしはしばらく安定した収入も得られるし、ドラゴンと戦う羽目にならなくて良かったわ。
おねたんも、ドラゴンに勝てるようなスキルは無いと言っていたからね。
今回の報酬も、ジフテトさんと折半だけどきちんと貰えたし、当面の生活はこれで大丈夫かな。
「──なるほどな、ドラゴンにも事情があることは承知した。
だが、それで解決する問題でもないなぁ」
それはそう。あたしみたいに意思疎通できるならともかく、そうでない人はドラゴンがいる峠を越えるにしても身の危険は感じるだろうし、ドラゴン側をなんとか説得して人間を襲わないように言ったとしても、今度はそれを利用して人間側にドラゴンを襲う人が出ないとも言い切れない。
「巣を引っ越してもらうわけにもいかんし……どうしたものか」
「おねたん、どうしたらいいと思う?」
こういう困った時こそAIに相談すべきだとあたしは判断した。
そして、おねたんからさまざまな解決策が講じられる。
「いっそ、あの道を閉鎖するというのは?
自然災害か何かで使えなくなったとするとか」
「あそこを封鎖すると、隣町からの物資が流れなくなる。
それはそれでこちらにも影響がでるんだよ」
「では、回り道を整備するというのはどうかしら?」
「今から開始しても、それが完成するまでどれほどかかるやら……」
「名うての冒険者をギルドから派遣し、人間、ドラゴン双方に監視をつける」
「それなら、シノあたりが適任ではある……が、あいつに依頼するには国の許可がいる。
前回の魔獣騒ぎがまさにそれだったんだ」
この世界はこの世界で、なかなかお国事情がめんどくさそうだわ。
「ところでチハル、ジフテトは役に立ったか?」
「あー、うん」
ぶっちゃけいない方が楽だったまである。
それでも、あの人なりにあたしを庇おうと頑張ってくれていたし、あんまり悪くは言えないか。
「ドラゴンは話せる状態なんだな?
それなら俺と、国の環境省のやつらを連れてドラゴンの巣まで案内してくれ」
「わかりました」
結局、偉い人たちで話してもらって判断してもらうしかないよね。
その場合、報酬がどうなるのかが心配だわ。
それにしても──
「この世界にも環境省なんてあるんだね、おねたん」
「千春が知ってる近い意味合いの言葉で翻訳されるのよ」
「なるほど」
今まで翻訳されてた言葉に日本で馴染みのある言葉が混じってたのはそのせいか。
***
それからあたしたちは、マスターと環境省の人を連れて再びドラゴンの巣のある峠へと向かった。
「ジフテトさんは来なくても大丈夫だったのに」
「そういうわけにいかないだろ。
まだ依頼達成してないんだぞ」
これを終えたところで、依頼がどう扱われるのかわからないけどね。
どうなっちゃうんだろうなー、お金は絶対欲しいところだけどさ。
「ここです」
ドラゴンの姿は見えない。
巣にでも帰ってるのかな?イクメンだし。
「おねたん、ドラゴンいる?」
「こっちに気づいたみたいよ」
それから間も無くして、ドラゴンが飛来してきた。
巣がどこにあるのかは知らないけど、ここからそんな離れてないのかも。
『人数を増やしてきたか』
なんか、誤解されてる?
「別に戦いにきたわけじゃないよ。
あの眼帯の人はギルドのマスターで、他は環境省の人たちだから」
「本当にドラゴンと喋ってるのか……」
「不思議な光景ですね……」
とりあえず、ドラゴンの誤解を解くためにも、マスターたちと話してもらわないと。
あたしが通訳みたいにしたらいいのかな?
「マスター、どうするかドラゴンと話し合ってください。
あたしが通訳しますので」
マスターたちが話してることをドラゴンに伝えていく。
こういうのって、元の世界の仕事でもそうだったけど、お互いの妥協点を見つけるしか方法はないのよね。
『監視とはどういうことだ?
我ら竜が人間如きの監視下に入れと言うのか?』
ドラゴンはドラゴンで、そこはプライドが許さないみたい。
監視といっても、あなただけでなく、人間側も監視すると言ってるんだけどね。
それはそれで、人間に保護される立場になるから嫌なんだろうな。
でも、どっかで妥協しないと、話し合いが終わらないよ?
『もうよい……所詮、人間は自分たちのことしか考えぬ。
面倒だ、まとめて滅ぼしてくれる』
「ちょっと待ってよ!もし自分たちのことだけ考えてるなら、こんな話し合いに来るわけないでしょ!?」
「チハル、交渉決裂したのか!?」
「この石頭、全然妥協してくれない!」
戦闘体制に入ろうとするドラゴン……どうする?
あたしたちは、戦いに来たわけではないと言うのに。
「おねたん、なんか手はない?ローキックで動き止める?」
「ドラゴンにローキックしてもね……」
「戦うなら、やってやるぞ!」
「2人とも、脳筋な考えはいったんストップ!
おねたんが考えるから、ちょっと待ちなさい」
そうは言ってもドラゴンは待ってくれないじゃん!
「ドラゴンさん、聞いて。
監視を強化するのはあなたのことよりも、むしろ人間側の方なの」
『ほお……』
おねたんがドラゴンに話し始めた。
「あなたは理知的な竜だから、人間側を攻撃しない約束は守るでしょう。
でも、人間には、それすら守れないない人もいる」
「たしかに、そうだな……特にギルドにはそういった人種も多いだろう。
手柄を急ぐあまり、後先考えない奴らばかりだからな。
そういった奴らから、ドラゴンを守るための監視と言ってもいい」
「これは、あなたの家族を守るためでもあるのよ」
『ううむ……』
良かった。
とりあえず、ドラゴンは矛を収めてくれたみたい。
「チハル、伝えてくれ。
ドラゴンの不利益になるようなことにはさせないと」
「聞いて、マスターがあなたの不利益にはさせないって」
『……わかった。
お前たちのいうことを信じよう』
こうして話はまとまった。
ここの監視は、シノさんと通訳できるあたしが引き受けること。
そして、ドラゴンも子供がある程度育ったらここを離れること。
彼らのもともとの棲み家はここではなく、もっと遠くにあるそうだから、それについての異論はないって。
これで、あたしはしばらく安定した収入も得られるし、ドラゴンと戦う羽目にならなくて良かったわ。
おねたんも、ドラゴンに勝てるようなスキルは無いと言っていたからね。
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