笑顔でナニ言ってんですか?

庭にハニワ

文字の大きさ
3 / 381
vs. おじょーサマ。

とーとつな昔話。

それは、12年前のこと。
父、母、私の家族3人で住んでいた山沿いの村が、魔物の大群に襲われたそうだ。

気付いた時には、既に逃げようもなかったらしい。
父は、母と私を魔物避けの香を焚き染めた隠し部屋に押し込んで、村の大人達みんなと共に大群に立ち向かった、そうだ。

多勢に無勢。
山の開墾と農作業が日常な村人達が、大群に立ち向かったところで無意味である。
たとえ狩人が居たとしても。



その日。
一つの村が失われた。

生き残ったのは、母と私の2人だけ。

父は、私達を隠し部屋に押し込んだ後、家中に人間種の匂い消しを撒き散らして、ここに人間は居ません、という偽装を施した、らしい。

瓦礫と化した他の家とは違い、空き家になって久しい家や、ガラクタを詰め込んだ道具小屋等は、そっくりそのまま残っていたし。
住人が居た家としては、ウチ以外はすべて……破壊されていたらしい。
村人や、家畜の総数からは明らかに足りない上に、あちこちの部位が欠損した遺体がそこいらに散らばり。
あたりは血の海。
そして。
そうあるべき、と、言わんばかりに火の手が上がって……。

茫然とする私達母子の目の前で、村は失われた。



私達は、母の兄──私にとってはおじさんだな。
おじさんに引き取られた。
冒険者をやっているおじさんに連れられて、初めて町に行った私達は、人の多さに圧倒されたらしい。

まぁ、そこでいろいろゴチャゴチャして田舎の組合に拠点を移し。

いい加減、心労が祟ったのか。
村を出てから2年後。
母は、帰らぬ人となった。

私は、おじさん──おやじ殿と共に、あちこち転・転々とした。

サンタンジェロに落ち着いたのが4年前。
私が11才の頃だ。
ほどよく田舎で、居心地が良い。
……稀に例外は居るけど。

状況的に、問答無用で冒険者稼業に片足突っ込んでた私は、正式におやじ殿と組んで3年くらい活動した。
その後、組合の手が足りない、と駆り出されて現在に至る。
職員(仮)なのは、ちょいちょい冒険者として動くからである。



村の全滅。
母が生きていた頃、毎晩のように聞かされた話だ。

実際のところ、3才児にそんな詳しい記憶があるワケもない。
まぁ、世の中には赤ん坊の頃の記憶どころか、母親のお腹の中、ヘタしたら、前世の記憶持ち、なんて人も居るらしいし。

……前世の記憶持ちって、何の役に立つんだろう。
前世も人間種とは限らないよね?
実際、前世は人間種じゃなくて、羽根兎だった……って人の話聞いた事あるけど。
食欲と性欲と恐怖感でいっぱいだったって言ってた。

「食欲と性欲はなんとなく解るけど、恐怖感ってナニ?」

そう聞いたら、その人は。

「いつ喰われるか、わからない恐怖がね……。いや~、人間に生まれて良かった~。少なくとも、いきなり齧りつかれたりはしないだろう?」

……何でも、二尾狼に喰われて終わった前世だったそうな。

御愁傷様。











あなたにおすすめの小説

母は何処? 父はだぁれ?

穂村満月
ファンタジー
うちは、父3人母2人妹1人の7人家族だ。 産みの母は誰だかわかるが、実父は誰だかわからない。 妹も、実妹なのか不明だ。 そんなよくわからない家族の中で暮らしていたが、ある日突然、実母がいなくなってしまった。 父たちに聞いても、母のことを教えてはくれない。 母は、どこへ行ってしまったんだろう! というところからスタートする、 さて、実父は誰でしょう? というクイズ小説です。 変な家族に揉まれて、主人公が成長する物語でもなく、 家族とのふれあいを描くヒューマンドラマでもありません。 意味のわからない展開から、誰の子なのか想像してもらえたらいいなぁ、と思っております。 前作「死んでないのに異世界転生? 三重苦だけど頑張ります」の完結記念ssの「誰の子産むの?」のアンサーストーリーになります。 もう伏線は回収しきっているので、変なことは起きても謎は何もありません。 単体でも楽しめるように書けたらいいな、と思っておりますが、前作の設定とキャラクターが意味不明すぎて、説明するのが難しすぎました。嫁の夫をお父さんお母さん呼びするのを諦めたり、いろんな変更を行っております。設定全ては持ってこれないことを先にお詫びします。 また、先にこちらを読むと、1話目から前作のネタバレが大量に飛び出すことも、お詫び致します。 「小説家になろう」で連載していたものです。

私の生前がだいぶ不幸でカミサマにそれを話したら、何故かそれが役に立ったらしい

あとさん♪
ファンタジー
その瞬間を、何故かよく覚えている。 誰かに押されて、誰?と思って振り向いた。私の背を押したのはクラスメイトだった。私の背を押したままの、手を突き出した恰好で嘲笑っていた。 それが私の最後の記憶。 ※わかっている、これはご都合主義! ※設定はゆるんゆるん ※実在しない ※全五話

今、私は幸せなの。ほっといて

青葉めいこ
ファンタジー
王族特有の色彩を持たない無能な王子をサポートするために婚約した公爵令嬢の私。初対面から王子に悪態を吐かれていたので、いつか必ず婚約を破談にすると決意していた。 卒業式のパーティーで、ある告白(告発?)をし、望み通り婚約は破談となり修道女になった。 そんな私の元に、元婚約者やら弟やらが訪ねてくる。 「今、私は幸せなの。ほっといて」 小説家になろうにも投稿しています。

城で侍女をしているマリアンネと申します。お給金の良いお仕事ありませんか?

甘寧
ファンタジー
「武闘家貴族」「脳筋貴族」と呼ばれていた元子爵令嬢のマリアンネ。 友人に騙され多額の借金を作った脳筋父のせいで、屋敷、領土を差し押さえられ事実上の没落となり、その借金を返済する為、城で侍女の仕事をしつつ得意な武力を活かし副業で「便利屋」を掛け持ちしながら借金返済の為、奮闘する毎日。 マリアンネに執着するオネエ王子やマリアンネを取り巻く人達と様々な試練を越えていく。借金返済の為に…… そんなある日、便利屋の上司ゴリさんからの指令で幽霊屋敷を調査する事になり…… 武闘家令嬢と呼ばれいたマリアンネの、借金返済までを綴った物語

転生したので好きに生きよう!

ゆっけ
ファンタジー
前世では妹によって全てを奪われ続けていた少女。そんな少女はある日、事故にあい亡くなってしまう。 不思議な場所で目覚める少女は女神と出会う。その女神は全く人の話を聞かないで少女を地上へと送る。 奪われ続けた少女が異世界で周囲から愛される話。…にしようと思います。 ※見切り発車感が凄い。 ※マイペースに更新する予定なのでいつ次話が更新するか作者も不明。

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

失われた力を身に宿す元聖女は、それでも気楽に過ごしたい~いえ、Sランク冒険者とかは結構です!~

紅月シン
ファンタジー
 聖女として異世界に召喚された狭霧聖菜は、聖女としての勤めを果たし終え、満ち足りた中でその生涯を終えようとしていた。  いや嘘だ。  本当は不満でいっぱいだった。  食事と入浴と睡眠を除いた全ての時間で人を癒し続けなくちゃならないとかどんなブラックだと思っていた。  だがそんな不満を漏らすことなく死に至り、そのことを神が不憫にでも思ったのか、聖菜は辺境伯家の末娘セーナとして二度目の人生を送ることになった。  しかし次こそは気楽に生きたいと願ったはずなのに、ある日セーナは前世の記憶と共にその身には聖女としての癒しの力が流れていることを知ってしまう。  そしてその時点で、セーナの人生は決定付けられた。  二度とあんな目はご免だと、気楽に生きるため、家を出て冒険者になることを決意したのだ。  だが彼女は知らなかった。  三百年の時が過ぎた現代では、既に癒しの力というものは失われてしまっていたということを。  知らぬままに力をばら撒く少女は、その願いとは裏腹に、様々な騒動を引き起こし、解決していくことになるのであった。 ※完結しました。 ※小説家になろう様にも投稿しています

愚かな者たちは国を滅ぼす【完結】

春の小径
ファンタジー
婚約破棄から始まる国の崩壊 『知らなかったから許される』なんて思わないでください。 それ自体、罪ですよ。 ⭐︎他社でも公開します