特技は有効利用しよう。

庭にハニワ

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ホントふざけんな?

まだ特技は使ってない。

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ヨロヨロと、振り上げた剣の重さに振り回されながら、ボンクラ王子がこっちに寄ってくる。

ケーリッシュ嬢が、また床に氷を張って……と、魔術発動しようとする。
貴女が動く必要はないよ。

ボンクラよ。
お前の好きにはさせないよ?

ボンクラが振りかぶった剣を受け止め、弾き返して。
ついでにそのまま肩を打ち据えた。

令嬢ならば、皆が手にしている扇で。
……あ、貴婦人もか。




肩を打たれ、剣を落とし。

「……っ! なんだ、その扇は!」

打ち据えられた肩を押さえながら、ボンクラが喚いている。

おだまり、モノ知らず。

お前のヘロヘロな剣術なんか、とても剣術だ、なんて言えやしない。
年齢一ケタのお子様と同レベルだ。
さっきの脳筋の方が、マシだ。




ってゆーか。

周囲のギャラリーからの視線がイタい。
特に、魔力の痕跡からいろんな事を推測した結果、目を剥いてこっちを凝視してる魔術職の方々からの圧が強い。
あと、一部の戦闘職の方々からも圧力が。

ボンクラ達のやらかしが原因じゃあ無い方向で、ものすご~くジロジロと見られてるからね、私。
まぁ、今現在の注目度合いの何割かは、私の扇と靴に向けられている。

ちなみに。
ボンクラが、あの扇って普通じゃない? と気付いた……ってゆーより理解したのは。
装飾過多でムダにきらびやかな──それでもちゃんと刃の付いた──剣の一撃を、令嬢が手にするにはちょっとシンプルな作りの扇が、見事に受け止めた事実と。
さらに剣と競り合った上、跳ね返したのにキズ一つ付いてない、というあり得ない事象を目の当たりにしたからだが。

ちなみに。
ボンクラが振り回した剣の方は。
扇と打ち合った衝撃で、刃零れした挙げ句ヒビまで入っている。

ボンクラよ。
自分の剣の手入れくらいちゃんとしろ。
それとも、自分じゃ出来ないのかね?

……お前に出来る事って、あるの?
アレか?
マトモな婚約者放り出して、浮気した上に難クセ付けて、公衆の面前で大恥さらす事か?

このやろう。
民の納めた税金返せ。
ホンットにどうしてくれよう……。



呆れを通り越した上で、一周回って再びの、どうしてくれようかさん降臨。
今度は全開にしてやろうか?

溜まった鬱憤と共に、魔力もじわじわ溜まってく。

……ちょっとヤバいかも?

なんて考えつつ、ヘタり込むボンクラを眺めてたら、義妹が。

「お姉さま!」

いきなりしゃしゃり出てきた。

今度は何だよ?
つか、そこらにいる不愉快な仲間達引き取って、さっさと退場しろ。
もはや何が目的だったのか、さっぱり分からんぞ。
すっかり放置されてる、ケーリッシュ嬢の身にもなれ。
居たたまれないだろうが。








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