12 / 109
ホントふざけんな?
これは私の扇だ。
しおりを挟む
取り巻きの『不愉快な仲間達』がおとなしくなったというのに。
ナニゆえに、お前はムダに元気なんだ?
なあ、義妹よ?
ボンクラは床に座り込んだままで、ヒビの入った剣を茫然と眺めている。
バカ従兄弟と騎士団長子息もまた、床の上で何やらぶつぶつ唱えてたり固まってたり。
邪魔。
衆人環視の中、ヘコタレた不愉快な仲間達──一部脱退──を華麗にスルーして。
義妹は。
良いモノ見つけた! とばかりに弾んだ声で。
「お姉さま! その扇は、わたしの」
「違うよ」
「おぅ──え?」
ちょっと食い気味に、義妹の言葉をざっくりと切り捨てた。
義妹は、私が雑に返したのが予想外だったらしい。
ぽかん、と口を開けて、アホ面晒している。
良さそうなモノならば、たとえ他人の持ち物でもなんとか横取りしようと企む義妹は。
今度は私の『なんだかスゴそうな扇』
に目を付けたらしい。
……お前、今までそんな地味な扇なんて……って、気にも止めなかったくせに。
「……っ、何でもいいから、その扇、貸して! ってゆーよりちょうだい!」
「……お前の好みじゃないだろうが」
「そうだけど……いいから!」
良くないよ。
お前に持てるとは、とても思えないんだがな。
「この扇は、私が材料持ち込みで武具職人に作ってもらった特注品の扇なんだが。……欲しいのか? ちょいと気のきいた、魔法の扇だ~とか思ったのか?」
義妹、目が泳ぐ。
「まず無理だろうけど……持てるもんなら持ってみなよ。持てるもんなら、ね?」
ちょいと嘲笑うように言って、義妹に扇を差し出す。
白く、光沢のある、なかなかに美々しい。
だがシンプルで実用的な扇だ。
お前の趣味じゃないだろ?
シンプルって一点で。
どうやら義妹は、この扇さえ取り上げてしまえば、自分達に勝ち目が来る、とか考えたようだが、ね?
義妹が私の差し出す扇に手を伸ばした……次の瞬間。
「きゃっ!」
バチっという、周囲に確実に分かる音と光で。
義妹は、扇に手を弾かれた。
ナニゆえに、お前はムダに元気なんだ?
なあ、義妹よ?
ボンクラは床に座り込んだままで、ヒビの入った剣を茫然と眺めている。
バカ従兄弟と騎士団長子息もまた、床の上で何やらぶつぶつ唱えてたり固まってたり。
邪魔。
衆人環視の中、ヘコタレた不愉快な仲間達──一部脱退──を華麗にスルーして。
義妹は。
良いモノ見つけた! とばかりに弾んだ声で。
「お姉さま! その扇は、わたしの」
「違うよ」
「おぅ──え?」
ちょっと食い気味に、義妹の言葉をざっくりと切り捨てた。
義妹は、私が雑に返したのが予想外だったらしい。
ぽかん、と口を開けて、アホ面晒している。
良さそうなモノならば、たとえ他人の持ち物でもなんとか横取りしようと企む義妹は。
今度は私の『なんだかスゴそうな扇』
に目を付けたらしい。
……お前、今までそんな地味な扇なんて……って、気にも止めなかったくせに。
「……っ、何でもいいから、その扇、貸して! ってゆーよりちょうだい!」
「……お前の好みじゃないだろうが」
「そうだけど……いいから!」
良くないよ。
お前に持てるとは、とても思えないんだがな。
「この扇は、私が材料持ち込みで武具職人に作ってもらった特注品の扇なんだが。……欲しいのか? ちょいと気のきいた、魔法の扇だ~とか思ったのか?」
義妹、目が泳ぐ。
「まず無理だろうけど……持てるもんなら持ってみなよ。持てるもんなら、ね?」
ちょいと嘲笑うように言って、義妹に扇を差し出す。
白く、光沢のある、なかなかに美々しい。
だがシンプルで実用的な扇だ。
お前の趣味じゃないだろ?
シンプルって一点で。
どうやら義妹は、この扇さえ取り上げてしまえば、自分達に勝ち目が来る、とか考えたようだが、ね?
義妹が私の差し出す扇に手を伸ばした……次の瞬間。
「きゃっ!」
バチっという、周囲に確実に分かる音と光で。
義妹は、扇に手を弾かれた。
81
あなたにおすすめの小説
俺の伯爵家大掃除
satomi
ファンタジー
伯爵夫人が亡くなり、後妻が連れ子を連れて伯爵家に来た。俺、コーは連れ子も可愛い弟として受け入れていた。しかし、伯爵が亡くなると後妻が大きい顔をするようになった。さらに俺も虐げられるようになったし、可愛がっていた連れ子すら大きな顔をするようになった。
弟は本当に俺と血がつながっているのだろうか?など、学園で同学年にいらっしゃる殿下に相談してみると…
というお話です。
【完結】かなわぬ夢を見て
ここ
ファンタジー
ルーディは孤児だったが、生まれてすぐに伯爵家の養女になることになった。だから、自分が孤児だと知らなかった。だが、伯爵夫妻に子どもが生まれると、ルーディは捨てられてしまった。そんなルーディが幸せになるために必死に生きる物語。
次期国王様の寵愛を受けるいじめられっこの私と没落していくいじめっこの貴族令嬢
さくら
恋愛
名門公爵家の娘・レティシアは、幼い頃から“地味で鈍くさい”と同級生たちに嘲られ、社交界では笑い者にされてきた。中でも、侯爵令嬢セリーヌによる陰湿ないじめは日常茶飯事。誰も彼女を助けず、婚約の話も破談となり、レティシアは「無能な令嬢」として居場所を失っていく。
しかし、そんな彼女に運命の転機が訪れた。
王立学園での舞踏会の夜、次期国王アレクシス殿下が突然、レティシアの手を取り――「君が、私の隣にふさわしい」と告げたのだ。
戸惑う彼女をよそに、殿下は一途な想いを示し続け、やがてレティシアは“王妃教育”を受けながら、自らの力で未来を切り開いていく。いじめられっこだった少女は、人々の声に耳を傾け、改革を導く“知恵ある王妃”へと成長していくのだった。
一方、他人を見下し続けてきたセリーヌは、過去の行いが明るみに出て家の地位を失い、婚約者にも見放されて没落していく――。
聖女を怒らせたら・・・
朝山みどり
ファンタジー
ある国が聖樹を浄化して貰うために聖女を召喚した。仕事を終わらせれば帰れるならと聖女は浄化の旅に出た。浄化の旅は辛く、聖樹の浄化も大変だったが聖女は頑張った。聖女のそばでは王子も励ました。やがて二人はお互いに心惹かれるようになったが・・・
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる