特技は有効利用しよう。

庭にハニワ

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ホントふざけんな?

ご静聴ありがとう。

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無機物に目一杯拒否された義妹。

はい、皆さんココ失笑するとこですよ~。

とりあえず、ケーリッシュ嬢は微妙な顔で視線を反らした。

義妹は顔を赤くして。

「なによ! おかしな仕掛けするとか! お姉さまってば、やっぱり……って、え?」

喚く義妹をそのまま放置して。

「手に取って、じっくりと御覧になります?」

すっ、とケーリッシュ嬢に扇を差し出す。

ケーリッシュ嬢、じゃあ……と、手に取って、開いたり閉じたり。
表を見たり裏返したり、じっくりと眺めていたりする。

「シンプルながら、美しい細工の扇ですわね。それに、内蔵している魔力もかなりの高濃度な……」

自分は触れる事も出来なかったのに、あっさりと手にしたケーリッシュ嬢を、義妹は目を剥いて見ている。

どーゆーコトよっ!? と憤る義妹。
可愛げのカケラもない表情。
性格の悪さが顔に出てきたな。

ここらで義妹に、ちょっとした現実を教えてやろうか。

「高濃度の魔力を持った素材で作られた、いわゆる魔道具の中には使い手を選ぶ物があるんだよ。完全に個人の専用になる物や、一定以上の魔力を持ってないと使えない物とか……って、それは一般の魔道具か」

普通に知ってて当然なコトを、改めて言ってしまった。

義妹は。

「なによ! そんな事知らない!」

そんなわけあるか。

「わざわざ口に出すような事じゃないからな。お前だって一般的な魔道具は使ってるじゃないか。アレらは、極微量な魔力で作動するからな。お前でも使えたんだろうよ。だが、な」

ケーリッシュ嬢が、扇を返してくれた。
同じ物はどこで手に入るのか?
そんな事を言いながら。
どうやら、お気に召したらしい。

受け取った扇を手に、義妹に宣告する。

「お前、生きる為だけの最低限の魔力しか持ってないだろう? それだけじゃない。特技……というか、ある程度の魔力を持ってれば、一つ位は得意魔術を持ってるはずなのに。魔術と言える程の魔術、使えないよな?」

ギャラリーの方で、さわさわと囁きが続いている。
貴族階級に属していながら、そんな人間が存在するのか? とざわめいている。
……一部、違う意味でざわめいてるが。




あんた達の目の前にいるんだな、これが。

そんな事を考えながら、私は話を続ける。

「一般市民ですら普通に使える、生活魔術と呼ばれる魔術と認識されないレベルの魔術すら使えない。ありとあらゆるすべての事を、使用人達を筆頭に周囲の人間におんぶに抱っこで生きてるじゃないか。『出しゃばったりしない、奥ゆかしい性格』じゃなくて、自分じゃ何一つやりたくないだけ。細かい事は、全部他人任せでな。……別に、魔力が乏しくて誰かを頼るのが悪いって言ってんじゃないよ。『五歳児からの魔術育成法』とかちゃんと学んで努力してりゃ、生活魔術位はなんとかなったはずだ。けれど、お前は何もしない。何も出来なくなった。努力なんか面倒だ、自分はお貴族様なんだから、そんなややこしい事はしたくない。……って本気で何もしない。その怠け癖の付いた根性が気に入らないって言ってんだよ」

思いの丈を、滔々とうとうと語ってみた。

極一部だけ。








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