特技は有効利用しよう。

……で？ っていう。

あ？

元婚約者的には──。

①。
いつ訪ねても、本人フェリシアは留守だった。

②。
義姉が不在なので……と出てきた義妹エミーリアが、せっかくいらっしゃったのだから……とすり寄ってきたのを、いずれ親族になるんだし……と、当たり障りの無い対応をとっていた。
が、どうやら勘違いさせたようだ。

③。
エミーリアが、○×日ならば義姉は在宅予定です……と言ったので、それを信じて再度訪ねるが。
『義姉は外せない用事が出来てしまったようです』
とかナンとか。
せっかく訪ねて下さったのだから……とか言って、エミーリアとお茶する日々。



……って。
おい。
私が留守してたのが悪い、と言わんばかりだがな？

まず。
①、アポイントメントを取れ。
何の約束もなく、いきなりその日の気分で勝手に来るんじゃない。

②、物事には、程度ってモンがあるだろうが。

③、何故義妹の言い分を鵜呑みにするのか。
毎回私が留守の時狙って来てたよな？
疑問に思わなかったのか？
家宰に聞いてみようとは思いもしなかったワケ？

……どうやらまったく思わなかったようだね。

あっ！って顔されてもねぇ？

今さらでしょ。

で、特に何も思わずに時が流れたワケだ。
何年もそんな事やらかしてたら、そりゃ見限られても仕方なくないか？

それにさ。
あの天災の折、どこも大変な状況だったけど。

……助けてくれ、とは言わんよ。
ただ一言、一言なんかあってもいいんじゃないか？
一応仮にも婚約者の領地が天災で荒れまくったんだからさ？
『今はどこも大変な状況だから、お互い頑張ろう』とか、さ。
それすらなかったよねブラン侯爵閣下？

ウチの母御──後妻サマは、そのあたり抜かりなく、付き合いのある領主や自領の周辺には一筆啓上していたぞ。
当然ブラン侯爵家にも送ってた。

ちゃ～んとお返事くれてたぞ、ウチのご近所サマは。

唯一清々しくスルーしてくれやがったのが、娘の婚約者のとこだった。
そう言って、母御に凄い残念な目で見られた私だったんだが？

そのあたり、Do よ？

え？