特技は有効利用しよう。

……で？ っていう。

ここにもボンクラが。

元婚約者親子に素直な疑問をぶつけてみたところ。

「………」
「……うぅ」

親子揃って言葉に詰まった。
元婚約者、微妙に顔色が悪い。
その父親は、冷や汗再び……ってカンジだ。

更に追撃する私。

「別にさぁ？　手を貸せとか金を貸せとか言ってないじゃないか。一言、なんか一言なかったのか？　って……。一応婚約してる相手に、その婚約者の家に、一言あっても良いんじゃないか？　って話。……まぁ？　王都で義妹と、楽しくきゃっきゃうふふしてたようだし。本来の婚約者の事なんか、キレイさっぱり忘れてたんだろうね」

なんて事を淡々と述べたところ、親子ケンカ──と、いうにはささやか過ぎるが──勃発。
ゴルディアス家に行く、というから婚約者に会いに行ってると思っていた。
手紙の返信だってお前に託したのに、渡していなかったとは……と、嘆いてるブラン侯爵。
それに何て答えるのかな～と元婚約者の様子を伺ってたら。

……。
義妹に手紙は渡したし、義妹が『領地？　大したことないんじゃない？』って言ってたから、まぁいいかな、と。

あ？
今度は責任転嫁かよ。


つまりアレだな。
ようは、自分だけ良ければ、あとは別にどーでも良かったってコトだな？

うん。
そんなヤツは、いらない。

なんてコトを、オブラートにくるんだ上でサラッと言ってみたら、ブラン侯爵家の二人は静かになった。



「ケーリッシュ嬢？」

さすがに王族サマに直に話しかける事はちょっと……なので、この場では一番声を掛けやすい──って言っても、ケーリッシュ嬢、私よりも位階は上、なんだが──ケーリッシュ嬢に、言ってみた。
まぁ、私の口調がめちゃくちゃ雑ってコトは、既に周知の事実だが。

「私、もう帰っていいですか？　何の為にこの場に呼ばれたか、いまだに不明なままだし」

ジトん、とした目をケーリッシュ嬢に向けた。

私はヒマじゃ無いんだよ。
次の商談が待ってるんだよ。
動かす物資が多い＝ってコトは大金が動くってコトなんだよ。
私の稼ぎをフイにする気なのか？
ん？

なんて思ってたらば、無意識に圧が洩れていたようだ。

近衛騎士が何人か、血相変えて飛び込んできた。