特技は有効利用しよう。

……で？ っていう。

本気ですが？

自国からのハニトラ要員は、実際のところは残念な騎士の在庫処分だった。

この国の上層部、本当に私を取り込む気あるんだろーか？

むしろ逆じゃね？

国をあげて追い出しにかかってないか？

ってコトは、イサナ公国も、か？

見てくれだけの残念なイキモノが、男女問わずで待ち受けてるのか。

……時間のムダ、か。



商業ギルドのお姉ちゃんが、私に同情して──あと、甘いモノの差し入れのおかげ──から、ヤツらに嫌がらせも兼ねて。

「文句なんか言えないような、腕利きを紹介してあげる！　冒険者ギルドにも話通してあげるから！」

めっちゃヤル気になっていた。

南の糖蜜果って、めったにお目にかかれないモノを差し入れたかい・・があるってモノです。

淡い黄色の薄皮の下には、たっぷりと蜜を含んだ白い果実。
大人の拳大の、西河の筆頭神使殿の好物なので、ちょっと余計に仕入れてました。
皮ごとかじりつくのが礼儀です。
お上品に皮剥いたり、一口大に切り分けるなんてコトしたら、せっかくの果汁がもったいないので。



正直、王家には何も期待していない。

私は、自分の領地が無事復興して、国なんかに頼らずにやってけるようになれば、それでいい。

つか、それがいい。
目指せ、自給自足。

ま、ムリだってコトは分かってる。
他領との付き合いもあるし。
私の能力も、いつまで好きに使えるか分からないしな。
今のうちに、領内の道の整備とか産業の発展とか。
そーゆー基礎的なヤツをしっかりやって、私が領地……どころか国を出る羽目になってもやっていけるようにしとかなきゃ。

正直、今迄自分が嫁に行くとか婿をもらうとか、考えた事がほぼ・・無い。
一応の婚約者はああ・・だったしな。

なんかも～どーでもいいやっ、てカンジ。

だから、今更顔のよいヤツらに周囲を取り巻かれて。
無意味に口説かれてもな～……。

面倒くさいだけ。