特技は有効利用しよう。

……で？ っていう。

甘党と飲んべえ。

ハイドさんは隠れドＳな魔法剣士。
ちょっと性的志向に偏り有り、と。

で、もう一人のナルシッサさん。
呼びにくい？　って言ったら。

「ナル、でいいわよ、フェルちゃん♪」

……じゃあナルさんで。

多分だけど、ナルさんにも私に集たかるハニトラ要員が迷惑かけるカモ？　と言ったところ。

「ん～……簡単に見た目に釣られる軽薄な小僧どもになんか、興味無いわ」

だって。



賃金お高いこの二人が、私のような小娘の依頼をあっさりと受諾してくれたのか。
商業ギルドのお姉ちゃんに、面接時に渡した糖蜜果のせい・・もある。
が。
二人とも私の事は知ってたそーで。
いつか会いたいと思ってた、そーな。

ナルさんは、大の甘味好きで。
ハイドさんは火酒好きで。

ああ、個人的に取り寄せを……ってコトですか。

なんでも、ナルさんは一度で良いから世界一甘いと噂の揚げ菓子のシロップ漬けを食べてみたい。
でも気軽に取り寄せられるモノじゃないし……と悶々としていたところに私参上。
これは、なんとか縁を繋いで……と、思ってたらば正式にお仕事発注。
受けるに決まってる！

……あ、うん。

あの、歯茎が痙攣しそうなくらい甘いヤツな。

あれ、ネタ食材じゃあないのか。

……では、無言でナニかを訴えてくるハイドさんも、お取り寄せ希望ですか？

……えー。

ハイドさんが商業ギルドに縁を繋いたのは、この辺じゃあなかなかお目にかかれない火酒──別名竜殺しって言われる、冬でも凍らないめちゃくちゃ度数の高い酒を手に入れる為、なんだと。

なんでも？　酒に酔えない体質だけど酒好きで。
ほろ酔い気分になれるのが火酒だとか。

ハイドさん、飲んべえか。

で、ナルさんと同じように、私と縁を繋いで個人的にお取り寄せしたい、と。

なんなら報酬割り引いても良い、とな？

いや、いいんだけど？
本気？

雇った二人揃って食いしん坊か。

一人は飲んべえか。



ちょっと不安？

ま、ムダに見た目が良いから目眩ましには、なってくれるかな。

実際、チャラ男と真面目君は、ナルさんにを奪われてるし。

脳筋も、ハイドさんに気を取られてる。


よしよし。