特技は有効利用しよう。

人は変わらない。

ケーリッシュ嬢的には。

絢爛豪華なケーキと高級茶葉に、ケーリッシュ嬢の口は予想よりも軽くなった。

いや、自分は初恋を８割方成就させたから、落ち着いてんのカモ知らんけど。
今も王弟殿下とぴったり寄り添って、イチャイチャしながら話を始めたところだ。

……いや本当に、王弟殿下の若い嫁溺愛っぷりがすんごい。

けど、今はちょっと右ナナメ前においといて、と。


ケーリッシュ嬢が言うには、兄の幼馴染みというのは公爵家の分家の嫁の親戚の家に婿入りした先の伯爵家の兄妹の妹の方だとか。
そんな伝で知り合って、うっかり妹の方がケーリッシュ公子を獲物認定。
ケーリッシュ公子の嫌いなタイプの令嬢だった事もあり、ナンとか婚約しようとする伯爵家の申し込みを全力で拒否ってる日々だとか。

遠い親戚枠でケーリッシュ公爵家に食い込もうとしてるらしいけど。

ほぼ他人じゃね？



伯爵令嬢は、ケーリッシュ公子をめちゃくちゃ追い回し。
コイツ伯爵家のクセに公爵子息にナニやってんの？　と、周囲のまともな家から露骨に嫌悪されまくってるそうな。
が。
本人まったく気付いて無いとか。

頭の中に芥子畑が満開になってるおめでたい令嬢って、義妹と不愉快な仲間達以外にも居るんだ……と、気が遠くなりかけた私だ。

……？

……ん？

……あれ？

ちょっと素朴な疑問が発生。

これ、王弟殿下の前に質問していいのか分からんけど、ケーリッシュ嬢的にはどう見ても王弟殿下に首ったけっポいし。

……伯爵家の兄の方は、ケーリッシュ嬢にちょっかい掛けて来なかったのか？

ん？