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番外編・彼と彼女(?)のなれそめは。
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これは、リッカが銀竜からまんまと聞き出した、某国近衛騎士団団長(伯爵)と、王城に務める女官長(元暗部で、元男性)の話だ。
2人の出会いをいろいろとはしょって、ざっくりとまとめてみた。
簡単に、簡潔に言えば。
機嫌の悪かった騎士団長(当時は部隊長)が、通りすがりの侍女に難癖付けて憂さ晴らししようとした。
それを見かけた女官長が、物理的に止めた……という話なんだが。
その一部分を切り取って……どーぞ。
「あらあら。仮にも一つの部隊を率いていらっしゃる方が、王城で、何の咎もない侍女相手に何をしようとしてらっしゃるのかしら?」
そう。
ここは、王城。
この場に誰も居ない……などというはずもなく。
様々な人の目が、様々なところで光っている。
それなのに、この部隊長は……。
「む……。この娘がこんなところに居るのが悪いのだろう!」
「あらあら。普通に仕事しているだけの侍女相手に、何を言い出されるのかしら。まさか、自分の方が身分が上だから、侍女風情に何をしようが構わない……。などと思ってらっしゃらないわよね? もう一度言いますわよ? ここは王城。王のいらっしゃる場所ですのよ?」
女官長は、絡まれていた侍女を逃がすと、自らが部隊長の前に立ち塞がった。
「ご自分の立場と責務を、よーく考えて下さいな、騎士様?」
軽く小首を傾げ、女官長は部隊長を見上げた。
と言っても、さほど身長差は無く。
微かに上目遣いになったかな? という程度である。
「……う、るさい!」
うっすら頬を赤く染めた部隊長は、攻勢に出た。
大振りで、右の拳を女官長に叩き込もうと……して、空振った。
女官長の姿は、無い。
何処に行ったのか?
「あらあら。まさか昼間から御酒を召されてる……などとおっしゃいませんわよね?」
女官長は部隊長の背後に居た。
優雅な立ち姿。
唇には笑みを浮かべ、面白そうに部隊長を見ている。
「貴……様、たかが侍女の分際で!」
部隊長は、更に頭に血が昇ったようで。
女官長を捕まえようと、手を伸ばしてくる。
が、すべて空振りに終わった。
「あらあら。私、これでも女官長を拝命しておりますのよ? ですから、おイタをなさるような殿方には……」
物陰から覗いている侍女達、従僕達。
あと、影に潜む影働きのモノ達。
全員が見ている前で、女官長は。
何度も掴みかかってくる部隊長を、何の躊躇いもなく投げ飛ばした。
「………っ?」
床の上にひっくり返り、何が起きたのか分からずにポカン、としてる部隊長は。
自分の喉元に、硬いモノが押し付けられているのを感じて、顔を青くした。
「このように、コトと次第によっては物理的に対処致しますの」
女官長は。
あくまでも、優美な微笑みを絶やすコト無く。
しかし、その足は部隊長の喉元を圧迫し続けており……。
つまり、硬いモノは女官長の靴であり。
そのまま踏み抜けば、部隊長の命は……。
だが。
部隊長の意識は、まったく違うところに向けられていた。
女官長は、事もあろうに自らのドレスの裾をまくり上げて、部隊長を踏み付けにしている。
絹の靴下に包まれた、形の良い脚が膝の上のあたりまで見えている。
もう少しで靴下を吊っているガーターベルトと、絶対領域が……。
完全に、意識が明後日の方を向いてる部隊長に呆れたのか。
女官長は。
「どなたか、騎士団長をお呼びしていただけませんこと? この方には、少々お仕置きが必要と思われますわ」
隠れ見ていた人々に声を掛け。
騎士団長がやって来るまで、部隊長を足蹴にしたままでいた。
その後、部隊長は近衛騎士団に、きゅっと締め上げられて、性根を叩き直された。
比較的マトモな性根になったあたりで、女官長に土下座。
からの、全力プロポーズ。
何度断られても、まったくメゲない部隊長に。
「私、元は男なんですのよ? 子を成す事など出来ませんわ。後嗣はどうなさいますの?」
「元、男。……それも良し! 後継ぎなど、養子をもらえば良かろう!」
そう叫ばれて。
女官長、根負け。
めでたく華燭の典と相成った。
今では、いちゃラブ夫婦(笑)と化している。
え~……。投稿ペース落とします。
また違うモノを書き始めますので……。
2・3日に一度とします。
そして、もうちょっとだけ続いたり。
2人の出会いをいろいろとはしょって、ざっくりとまとめてみた。
簡単に、簡潔に言えば。
機嫌の悪かった騎士団長(当時は部隊長)が、通りすがりの侍女に難癖付けて憂さ晴らししようとした。
それを見かけた女官長が、物理的に止めた……という話なんだが。
その一部分を切り取って……どーぞ。
「あらあら。仮にも一つの部隊を率いていらっしゃる方が、王城で、何の咎もない侍女相手に何をしようとしてらっしゃるのかしら?」
そう。
ここは、王城。
この場に誰も居ない……などというはずもなく。
様々な人の目が、様々なところで光っている。
それなのに、この部隊長は……。
「む……。この娘がこんなところに居るのが悪いのだろう!」
「あらあら。普通に仕事しているだけの侍女相手に、何を言い出されるのかしら。まさか、自分の方が身分が上だから、侍女風情に何をしようが構わない……。などと思ってらっしゃらないわよね? もう一度言いますわよ? ここは王城。王のいらっしゃる場所ですのよ?」
女官長は、絡まれていた侍女を逃がすと、自らが部隊長の前に立ち塞がった。
「ご自分の立場と責務を、よーく考えて下さいな、騎士様?」
軽く小首を傾げ、女官長は部隊長を見上げた。
と言っても、さほど身長差は無く。
微かに上目遣いになったかな? という程度である。
「……う、るさい!」
うっすら頬を赤く染めた部隊長は、攻勢に出た。
大振りで、右の拳を女官長に叩き込もうと……して、空振った。
女官長の姿は、無い。
何処に行ったのか?
「あらあら。まさか昼間から御酒を召されてる……などとおっしゃいませんわよね?」
女官長は部隊長の背後に居た。
優雅な立ち姿。
唇には笑みを浮かべ、面白そうに部隊長を見ている。
「貴……様、たかが侍女の分際で!」
部隊長は、更に頭に血が昇ったようで。
女官長を捕まえようと、手を伸ばしてくる。
が、すべて空振りに終わった。
「あらあら。私、これでも女官長を拝命しておりますのよ? ですから、おイタをなさるような殿方には……」
物陰から覗いている侍女達、従僕達。
あと、影に潜む影働きのモノ達。
全員が見ている前で、女官長は。
何度も掴みかかってくる部隊長を、何の躊躇いもなく投げ飛ばした。
「………っ?」
床の上にひっくり返り、何が起きたのか分からずにポカン、としてる部隊長は。
自分の喉元に、硬いモノが押し付けられているのを感じて、顔を青くした。
「このように、コトと次第によっては物理的に対処致しますの」
女官長は。
あくまでも、優美な微笑みを絶やすコト無く。
しかし、その足は部隊長の喉元を圧迫し続けており……。
つまり、硬いモノは女官長の靴であり。
そのまま踏み抜けば、部隊長の命は……。
だが。
部隊長の意識は、まったく違うところに向けられていた。
女官長は、事もあろうに自らのドレスの裾をまくり上げて、部隊長を踏み付けにしている。
絹の靴下に包まれた、形の良い脚が膝の上のあたりまで見えている。
もう少しで靴下を吊っているガーターベルトと、絶対領域が……。
完全に、意識が明後日の方を向いてる部隊長に呆れたのか。
女官長は。
「どなたか、騎士団長をお呼びしていただけませんこと? この方には、少々お仕置きが必要と思われますわ」
隠れ見ていた人々に声を掛け。
騎士団長がやって来るまで、部隊長を足蹴にしたままでいた。
その後、部隊長は近衛騎士団に、きゅっと締め上げられて、性根を叩き直された。
比較的マトモな性根になったあたりで、女官長に土下座。
からの、全力プロポーズ。
何度断られても、まったくメゲない部隊長に。
「私、元は男なんですのよ? 子を成す事など出来ませんわ。後嗣はどうなさいますの?」
「元、男。……それも良し! 後継ぎなど、養子をもらえば良かろう!」
そう叫ばれて。
女官長、根負け。
めでたく華燭の典と相成った。
今では、いちゃラブ夫婦(笑)と化している。
え~……。投稿ペース落とします。
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そして、もうちょっとだけ続いたり。
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