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好意の嘘
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北川は同じ職場の、山本という女性のことが好きだった。毎日、今日こそは告白しようと思うのだがいつも言えなかった。
そんな中、職場の同僚でもあり友人でもある田村が話しかけてきた。
「おい、知ってるか?山本さんは近々、この会社を辞めるらしいぞ」
「え、知らなかったよ。どういう事情だ?まさか寿退社か?」
「さあ、細かいことはおれもよく知らないけどな…」
田村は、それだけ言って去って行った。
北川は意を決し、昼の休憩時間に話したいことがあると山本を呼び出した。
「北川くん、話って何?」
「山本さん。ずっとあなたのことが好きでした。よかったら、ぼくと付き合って下さい」
山本は身を震わせた。嬉しがっているのか、嫌がっているのか、戸惑っているのか。北川は返事を待った。
「ごめんなさい。北川くんはいい人だと思うのだけど、そういうのはちょっと…」
ああ、断られた。北川は深いショックを受けた。だが何とか取り繕おうとした。
「いや、それは仕方のないことだよね。気にしないでよ。ところで山本さんは、会社を辞めて次に何をやるの?」
「えっ、私辞める気は無いけど…」
彼女の申し訳なさそうな表情が一変して、訝しげな顔になった。
「ああ、そうなの。ごめんね、ぼくの勘違いで」
友人の田村の名を出すのも気が引けて、その場は曖昧にごまかした。後で田村に訊いてみることにした。
「おい、山本さんは辞める気なんて、ないみたいじゃないか。何故あんなガセネタ掴ませたんだよ」
「そうか、悪い。お前が山本さんに好意があるのはミエミエで、彼女もお前のことを好いていると思ったので背中を押そうと思ったんだよ」
「はあ、見事に撃沈したけどな…」
「それは、悪かった」
北川は山本とも田村とも気まずくなり、距離を置くようになってしまった。好意のつもりの嘘というのは、裏目に出ると事態を悪化させてしまうようだ。
そんな中、職場の同僚でもあり友人でもある田村が話しかけてきた。
「おい、知ってるか?山本さんは近々、この会社を辞めるらしいぞ」
「え、知らなかったよ。どういう事情だ?まさか寿退社か?」
「さあ、細かいことはおれもよく知らないけどな…」
田村は、それだけ言って去って行った。
北川は意を決し、昼の休憩時間に話したいことがあると山本を呼び出した。
「北川くん、話って何?」
「山本さん。ずっとあなたのことが好きでした。よかったら、ぼくと付き合って下さい」
山本は身を震わせた。嬉しがっているのか、嫌がっているのか、戸惑っているのか。北川は返事を待った。
「ごめんなさい。北川くんはいい人だと思うのだけど、そういうのはちょっと…」
ああ、断られた。北川は深いショックを受けた。だが何とか取り繕おうとした。
「いや、それは仕方のないことだよね。気にしないでよ。ところで山本さんは、会社を辞めて次に何をやるの?」
「えっ、私辞める気は無いけど…」
彼女の申し訳なさそうな表情が一変して、訝しげな顔になった。
「ああ、そうなの。ごめんね、ぼくの勘違いで」
友人の田村の名を出すのも気が引けて、その場は曖昧にごまかした。後で田村に訊いてみることにした。
「おい、山本さんは辞める気なんて、ないみたいじゃないか。何故あんなガセネタ掴ませたんだよ」
「そうか、悪い。お前が山本さんに好意があるのはミエミエで、彼女もお前のことを好いていると思ったので背中を押そうと思ったんだよ」
「はあ、見事に撃沈したけどな…」
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