青い花の里の物語

アンジュ・あんこ

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【第四話 青い花の里】

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僕らの住んでいる里の周りは、大きな崖で囲まれている。
 この高くて急な崖がそびえ立っているため、僕たちは崖の向こう側へ行くことが出来なかった。
 だからこの崖が、僕らの世界の端だった。

 僕らにとって、認識できる世界はこの里だけだったんだ。

 あの人に会って、話を聞くまではそれが普通だと思っていた。

 僕らの里の北側の崖には、唯一、洞窟が開いていた。
 僕たちは大人から、北の崖に洞窟があることを聞いていた。
 そして、大人たちからは、決して洞窟には近づくなと言われていた。
 だから、僕たちはあの洞窟に、恐ろしいバケモノがいるんじゃないかと噂していた。
 あの人がその洞窟の奥からやってくるまで、僕はその洞窟が何故存在するのか、考えたこともなかった。
 あの洞窟はあの人の住む世界と、この里を繋ぐ、唯一の道だったんだ。

 あの人は、僕たちの里の人々は、外の世界の人々とくらべて、みんな裕福だと教えてくれた。
 それは、僕らの里にある、青い花のおかげだったんだ。
 僕たちの里では、青色の花が咲き乱れている。
 それは多分、この里が一年を通して涼しいからだといっていた。
 この青い花は、涼しいところじゃないと、発育出来ずに枯れてしまうらしい。
 そして、僕らの里の大人たちは、仕事としてその青色の花を栽培して、加工していた。
 詳しくはわからないけと、青い花から取れるエキスを乾燥させると、高く売れるらしい。
 父さんは、その花が僕たちの里を裕福にしてくれていると教えてくれた。
 だから、この里の人たちは、他の仕事をする必要が無いらしい。
 だから、ほとんどの大人たちは、里中の青い花が枯れないように、大切に花の手入れをしていた。
 あの人が、この花の真実を教えてくれるまでは、それが普通のことだと思っていた。

 あの人に会うまでは、僕は何も知らなかった。
 でも、あの人は僕に、本当の幸せを教えてくれた。
 だから、僕はあの人に……
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