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・ひとりぼっちとふたりきり(R18/自慰と仕返し)
完了※
しおりを挟むシーツに手をついてしんどそうに咳き込んでいる優兄の歪んだ唇からは、白い液が糸を引きながら垂れている。
戻しそうになっているのを必死にこらえているのだろう。
「優兄ごめんね、ごめん。ほんとごめん」
触れてはいけないという約束なんて捨て去り、苦しげに震えている胸を背中側からトントンと叩いた。
だが当然、そんなことでは解決しない。
近くにあったバスタオルをたぐりよせ、口元にあてがって「ぜんぶ吐いていいよ」とうながすも、優兄はふるふると首を振った。
「せん、……ちゃ……っ」
「優兄?」
「えへへ……、けほっ……、仕返し、大成功っ……!」
そんなこと言ってる場合じゃないのに、誇らしげで楽しそうにしている。
「これで明日の、テスト、……ちゃんと、がんばれるよ、ね……ケホケホッ!」
咳はちっともおさまらない。
開かれることのないまぶたの間から涙がにじみ、まつげが濡れている。
オレのせいで苦しんでいる優兄──。
気づけば奥歯を噛み締めていた。
見惚れるほどの儚さと兄としてのやさしさが絡み合って、行き場のない愛おしさがこみ上げてくる。
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