264 / 296
・目の前のお兄ちゃんにもっと集中しなさい!(R18/ぷちケンカ)
昨日はごめんね
しおりを挟む◆ ◆ ◆
玄関に優兄の白いスニーカーがあった。
ちょっとドキドキしつつも、口の中で『昨日はごめんね優兄』と何度も繰り返した。
優兄がオレに気づいたら真っ先に謝れるように念入りにリハーサルしながら、わざと足音を大きめにしてリビングへむかう。
ふーっと一呼吸置いてからドアを開け、いつも優兄が座っているソファーのほうを見た。
誰もいない。
えっ、と思った瞬間──、
「ごめんねッせんちゃんッ!!!」
すぐ足もとから声がした。オレの足の親指にくっつきそうなほど深く深く頭を下げた優兄がいた。
床におでこをこすりつけ、小さく丸まっている。完全に土下座状態。
「きらいだなんて言ってごめんなさい! 叩いてごめんなさい! もうしない! 絶対にあんなことしないっ……お詫びになんでもするから! だから許してッ!!」
「優兄」
早く顔を上げてほしくて丸い背中をさすったが、優兄は首を左右に揺らしてさらに深く沈み込むように頭を下げた。
ズルッとすするような鼻の音と、喉を引つらせているような呼吸が聞こえる。
「優兄、オレ怒ってないよ。だから、泣かないで」
「泣いてない」
「ウソだ。隠してもオレ分かるよ。絶対泣いてる」
「だから泣いてないってば──ッ!?」
怒ったように顔を上げた瞬間、オレは冷たい場所から救い出すように優兄を抱きしめた。
もう離さないという想いを込めて、ぎゅっ。
「ほんとだ。泣いてなかったね。ごめん、優兄」
ふかふかの黒髪に頬ずりしながら、オレも目を閉じる。
「せんちゃん……ッ、……」
ふぇ、という可愛い声が弾けた。
オレの背中をくしゃくしゃに握った優兄は「ごめんね」とつぶやいて、子どもみたいにワァンと泣き出した。
「優兄……っ……」
耳元でそれを受け止めているうちに、オレもボロボロ泣いていた。
どれだけ不安な気持ちで帰りを待っていたのだろう──想像したら、心がズキズキ痛くてたまらなかった。
0
あなたにおすすめの小説
久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…
転生したら魔王の息子だった。しかも出来損ないの方の…
月乃
BL
あぁ、やっとあの地獄から抜け出せた…
転生したと気づいてそう思った。
今世は周りの人も優しく友達もできた。
それもこれも弟があの日動いてくれたからだ。
前世と違ってとても優しく、俺のことを大切にしてくれる弟。
前世と違って…?いいや、前世はひとりぼっちだった。仲良くなれたと思ったらいつの間にかいなくなってしまった。俺に近づいたら消える、そんな噂がたって近づいてくる人は誰もいなかった。
しかも、両親は高校生の頃に亡くなっていた。
俺はこの幸せをなくならせたくない。
そう思っていた…
伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい
マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。
最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡)
世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。
どうせ全部、知ってるくせに。
楽川楽
BL
【腹黒美形×単純平凡】
親友と、飲み会の悪ふざけでキスをした。単なる罰ゲームだったのに、どうしてもあのキスが忘れられない…。
飲み会のノリでしたキスで、親友を意識し始めてしまった単純な受けが、まんまと腹黒攻めに捕まるお話。
※fujossyさんの属性コンテスト『ノンケ受け』部門にて優秀賞をいただいた作品です。
怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人
こじらせた処女
BL
幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。
しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。
「風邪をひくことは悪いこと」
社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。
とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。
それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?
おすすめのマッサージ屋を紹介したら後輩の様子がおかしい件
ひきこ
BL
名ばかり管理職で疲労困憊の山口は、偶然見つけたマッサージ店で、長年諦めていたどうやっても改善しない体調不良が改善した。
せっかくなので後輩を連れて行ったらどうやら様子がおかしくて、もう行くなって言ってくる。
クールだったはずがいつのまにか世話焼いてしまう年下敬語後輩Dom ×
(自分が世話を焼いてるつもりの)脳筋系天然先輩Sub がわちゃわちゃする話。
『加減を知らない初心者Domがグイグイ懐いてくる』と同じ世界で地続きのお話です。
(全く別の話なのでどちらも単体で読んでいただけます)
https://www.alphapolis.co.jp/novel/21582922/922916390
サブタイトルに◆がついているものは後輩視点です。
同人誌版と同じ表紙に差し替えました。
表紙イラスト:浴槽つぼカルビ様(X@shabuuma11 )ありがとうございます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる