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・目の前のお兄ちゃんにもっと集中しなさい!(R18/ぷちケンカ)
エスコート
しおりを挟むお互いの体から涙を追い出してしまうようにぎゅっと抱き合うと、言葉以上に分かりあえてるみたいだった。
「優兄……仲直りしよっか……」
「うんっ!」
お互い頬を濡らしたまま、そーっと唇を重ねた。
優兄のふにゅりとした感触──。
昨日の夜もしたはずなのに、ずいぶんと久しぶりに味わった感じがする。
やわらかいところをやさしく吸い合うと、ちゅうっ、と甲高い音がした。
しっとりしているせいなのかだいぶ派手に鳴ってしまった。
照れ臭さに体がカァっと熱くなり、背筋までぞくぞくする。
優兄は震えるオレの背中をさすりながら、ゆっくりと舌を絡ませてきた。積極的なのはお詫びのつもりなのだろう。
やさしく迎え入れた舌をゆるゆるとくすぐってもてなすと、今度は優兄の背中がぴくんと跳ねた。
このままずっと離れたくないけれど、いつまでも床の上で抱き合っていては体が冷えてしまう。
オレはキスしたまま優兄の後頭部を支え、両ヒザの裏に手を差し入れてグンと立ち上がる。
「──!!!???」
状況が把握できずに飛び上がりそうな優兄をしっかりお姫様だっこでエスコート。
「優兄なんでもするって言ったでしょ? だから、大人しくだっこされててね」
「もーーっ!! びっくりしたあああ! 派手なプロレス技かけられるのかと思ったよぉおお!!!」
「いやいや。ロマンチックにキメようと思ったんですけど……?」
「ロマンチックって……ううっ……。ぼく重くない? 大丈夫?」
お姫様だっこされてるってやっと実感したらしい優兄はとってもあたふたしている。目も頬も鼻も真っ赤。
油断していたところを軽々と持ち上げられたのが悔しいらしい。
「さて、これからどうしますかお客さま。ソファーに行きます? それともベッドへむかいましょうか?」
「もぉー、ソファーに決まってるでしょ! まだ夜じゃないんだからっ」
「ちぇっ」
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