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13.臆病者/破壊者 ※
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しおりを挟む「んっ、ふあ!」
遠回しの刺激であるはずなのに、身体は完全に勘違いを始めている。
「やっ……や、だ、……ケティ!」
こんな遊びで熱を帯びていく自分を認めたくはなかった。
懇願するように見上げると、満足したらしい。すぐに指を解放してくれた。
「もう。龍広ったら」
呆れたように笑いながら、今度はシャツをめくり上げてくる。
「分かったから。そんなに誘わないで」
「ッ!」
彼はそう言うなり、胸の突起にかじりついた。
先端への強い刺激が身体の内部に伝わる。思わず顔が歪み、喉の奥からくぐもった声が漏れてしまう。
「んっ……!」
服を剥ぎ取りながら、ケティはいたるところに噛み付いてくる。
肩口に、二の腕に、わき腹に。
獣のごとく牙を立てては、傷口をやさしく舐める。その繰り返し。
痛みと快楽の緩急。次第に脳が混乱していく。
「……っ、んん、……うっ……!」
邪魔なものを腿まで下ろし、太腿の内側に歯を立ててくる。
伝わっているのは痛みであるのに、ある部分は熱く、硬くなっていく。
なのにケティはそこを無視する。視線すらくれない。
見えているはずなのに──。
「……はっ、んっ! ぁあああっ!」
やがて左太腿の歯跡に舌が這わされた瞬間、この身体は大きくのけぞった。
「だっ……、ケ、ティ、……はぁ……」
「どうしたの?」
分かっているくせに白々しく問いかけてくる。
「そこ……、じゃ、な、……くっ!」
「龍広の身体、どこも素敵よ」
「やっ、だああっ!」
「まったく。淫乱なんだから」
ケティは俺を無理やり抱き起こすと、手足に絡みついていた服を完全に引き剥がした。
俺だけが生まれたままの姿になる。
彼の方は、まるで漆黒をまとっているようなレースのワンピース姿のままである。
「……ねぇ、龍広」
彼は含み笑いながら、こちらに大きく脚を開いた。
「そんなにしてほしいなら、お願いがあるの……」
そしてスカートをゆっくりと時間をかけてたくし上げていく。その肉付きの良い白い両脚の間にあるもの──。
それを、
「舐めて」
と、差し出してきた。
「……っ」
彼は下着をつけていなかった。
たくましくそそり立ったものがダイレクトに視界に入り、思わずたじろいでしまう。
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