お前が脱がせてくれるまで

雨宮くもり

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13.臆病者/破壊者 ※

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「早く。こっちも舐めて」

 戸惑っていると、乱暴に頭を掴まれた。

「──やれよ」

 ケティは冷たく言い放った。同時に胸の突起を転がされる。引っかくような強い力で。

「なんでもするんだろ?」
「アッ!」

 痺れるような快感に思わず声を上げてしまう──瞬間だった。
 わずかに開いた唇の間にそれがねじ込まれる。

「噛んじゃダメよ……。いつもされてるみたいにすればいいの。分かるでしょ?」

 首を振り、拒絶しようとしたが、両側から頭を掴まれてしまう。そのまま上下に揺すられ、先端が喉の奥を突いた。
 逃げることは許されない。

「んぉっ……」

 楽になる方法は、もう、ひとつしかない。
 すがりつくように、ケティのものにしゃぶりついた。その幹にゆっくりと舌を這わせていく。

「そうそう。丁寧にね。……あははっ」

 彼が腰を揺する度に、ぢゅぷ、と音が立つ。

「もっと舌使って」
「むっ、ぐ、ふぅうう」

 うまく動かせない。ケティのものが膨らみすぎているせいだ──と、どんなに言ってやりたくとも口は塞がれている。

「今日は自分から抱かれに来たんだものね」
「んっ……、ぅう」
「これぐらいしなくちゃ」

 漏らしようのない苦痛が、涙となって目尻からあふれていく。

「……あーあ。この姿勢だとやることなくて退屈ね」
「──ッ!?」

 急に彼が動き出した。
 その身体が大きく後ろに傾いたことで、張り出したものが上顎に擦り付けられる。
 慌てて目を開くと、ケティの手に何か握られていた。

 黒くて、薄い長方形。
 数分前まで、俺の服に入っていたはずの──。

「ンンッ!」

 慌てて口を離そうとしたが、後頭部をぐっと押さえつけられ、それは叶わない。

「ほら、サボらないで」

 左手では俺を掴み、右手ではその長方形を親指で操作している。
 青白い光に照らされたケティは驚くほど冷静で、余裕たっぷりだった。

「うぅん! ……っ!!」

 いくら抗議しようとしても、太いものに阻まれて届かない。
 彼の視線は小さな画面にそそがれたままだ。長いまつげがまばたきの度、ふわんと揺れる。

「──ねぇ、龍広」

 こちらを見ようともせず、ケティは紅い唇を開いた。

「この『響』って、誰?」
 
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