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19.夏の夢/躊躇い
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響の家を訪ねたが、留守だった。
電話も呼び出し中のままでいっこうに変わらない。
メッセージを送ろうと画面を開いてみたが、うまい文章が浮かばない。ぼんやりしていたら「キス」と打ちかけていて、慌てて消去した。
――「いまどこにいる?」
数分待ってみたがなにも変わらない。
俺は目を閉じ、心のなかで問いかけた。
──どこにいるんだ、響。
──逢いたい。話がしたい。響。
もはや頼れるのは文明的ツールではなく、俺と響をたしかにつないでいる絆だ。
響は彼女に別れを告げ、きっと心を痛めている。
自らの手で愛情を断ち切った罪悪感にさいなまれて──。
そのとき、俺の脳裏に大きく手を叩いて両手をあわせている響の姿が浮かんだ。
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