探検隊ルイーザと不思議な物語

旅立 マス

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第1章 現実とファンタジーの間で

1−5

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ジュンとリズは、パトカーが集まっている工場に行ってみた。
江戸川町で一番大きな建物だ。家から大きな煙突が見える建物。
そこは、ゴミ処理施設だ。昔、子供の頃に見学をしたことがある。
只のゴミ処理施設に警察がたくさん集まるなんて、きっとただ事ではない何かがあったに違いない。
工場周辺には人集りが既にあった。
「うわー・・・こいつは只事では無さそうだ」
100近い規模の警察官が集まっている。一体、何があったのか?
「はい、近づかないで下さいー」
何人もの警官が野次馬達を先に行かせないようにしている。
すると、工場のドアからスーツを着た人が剣のような武器を持って現れた。
「おうおう、ギャラリーがたくさんいるな。ここは見世物じゃねえぞ?」
1人の警官がスーツの人に言う。
「君たちが、ここの工場を乗っ取ったという通報を受けた。大人しくここを解放するんだ」
「ほお・・・我らに刃向かうと?」
「お前達は包囲されている。これ以上抵抗するならこちらも黙ってはいないが」
「この世界の人は我々の恐ろしさを知らないらしいな。どれ、一つ物を見せてやるよ」
スーツの男は手から炎を出して警官に向かって投げた。
「なっ!?」
「あれは魔法だ!」
「あれが魔法?」
リズはスーツの男が魔法を使って攻撃したことに気づいた。
「ど、どこから炎が・・・」
ジュンも理解できなかった。何かの手品なのではないかと思うくらいだ。
「魔法を知らないってか?こんな原始的な世界は初めてだ」
当然、警官たちも何が起きているのか全く理解できなかった。
魔法なんてファンタジー小説やゲームの中でしか存在しないものだと思っていた。
だが、そのファンタジーのような出来事が目の前で起きているのだ。
「貴様らに勝ち目はないぜ。それでも抵抗するか?」
遠くから、スーツの男と警官のやり取りを見ていた2人。
「ねえ、リズ。もしかしてあいつって・・・」
「うん。ジュンが考えているのは大体合ってるわ。この世界で魔法を使えるなんて、この世界の人以外はあり得ないわ。
偶然に感謝ね。追っていた組織の人間がこんなところにいるなんて」
「まさかアイツと戦うの?」
「もちろん。ギルドの依頼を達成しないとね」
「まあ・・・言うとは思っていたけど」
リズと過ごして僅かだが、少しは彼女の性格を理解した気がする。
何事にも手を抜かない真っ直ぐな性格。何事にもネガティブになってしまうジュンとは正反対のタイプだ。
しかし、彼女はまだ病み上がりに近い健康状態だ。そんな状態の彼女を行かせる訳にはいかない。
恐らく止めても無駄だろう。そうなると、取るべき行動は・・・
「自分も行くよ。戦いで役には立てないが万が一君が戦って怪我をした時に抱えて逃げるくらいはできるからね」


成り行きで行くと言ってしまったが、ジュンは後悔した。
スーツの男を目の前にすると緊張してしまう。
男はジュン達に睨みを効かせながら声をかける。
「おや、さっきの様子を見ていないで何も知らないで俺達のところにやってきた物知らずか、
それとも分かっていてここまで来た愚か者かどっちかな?」
「はいはい、そういう三下っぽいセリフはどうでもいいよ。私の目的は一つ。
貴方達がこの世界で何をしようとしているのか、それを知ることよ」
相手に対して平然と言うリズ。もう少し言い方が無いのかと思うジュン。
「なかなか度胸が据わっている嬢ちゃんだな。だが言うとでも思っているのか?」
「そうね。貴方が簡単に言うとは思っていないわ。だから力づくで言わせるわよ」
「ほお、やれるのか?」
これって戦いに巻き込まれるんじゃないか。なんだか嫌な予感がする。だが、嫌な予感は外れた。
「ば、バカな・・・」
実力差がありすぎた。リズの圧勝だ。
相手の魔法攻撃を避ける。そして、相手に蹴りを入れる。それしかしていないのに、スーツの男はあっと言う間に倒れたのだ。
レベルバッチでリズが凄い実力者ということは分かっていた。
その実力をいざ目の前にすると、驚きしかなかった。
一応、彼女は病み上がりのはずなのだが・・・
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