魔法の遺産

第6章

新たな仲間

アレンとカイルはその後、数日間共に修行を重ねた。カイルはその戦闘能力において圧倒的な存在感を放ち、アレンは彼の技術を学びながらも、自分の魔法の力をさらに鍛え上げていた。だが、どれだけ修行をしても、魔王軍に立ち向かうにはまだまだ力が足りないと感じていた。

「カイル、ありがとう。君の教えで、少しは自信がついたよ。」

アレンはカイルに感謝の言葉を述べた。カイルは気軽に肩をすくめながら言った。

「気にするな。お前が本気で戦おうとしていることがわかれば、俺も協力したくなるからな。」

「でも、魔王軍にはまだ強力な兵士がたくさんいるんだろう？」

アレンはそのことが心配で仕方なかった。カイルは少しだけ真剣な表情になり、頷いた。

「そうだ。魔王軍の兵士は強力だし、魔王自身も強大な力を持っている。だが、勝機がないわけではない。お前がもっと力を引き出し、他の仲間も集めていけば、何とかなるかもしれない。」

アレンはその言葉に力強く頷いた。

「仲間か…。もっと集めないといけないんだな。」

その時、遠くから何かの足音が聞こえた。アレンとカイルは一瞬顔を見合わせ、警戒するように周囲を見回した。

「誰だ？」

アレンが問いかけると、すぐにその人物が姿を現した。現れたのは、長い銀髪を持つ女性だった。彼女は落ち着いた雰囲気を持ち、優雅な歩き方で近づいてきた。目元には冷静さを感じさせるものがあり、彼女の存在はどこか神秘的だった。

「あなたがアレン？」

彼女はアレンに向かって静かに問いかけた。その声には、どこか鋭いものがあった。

「そうだけど、君は…？」

アレンは警戒しながらも、その女性に尋ねた。カイルは少し驚いた表情を浮かべていた。

「まさか…、お前は？」

「私はリリィ。魔法使いです。」

リリィと名乗ったその女性は、アレンとカイルの前に立ち止まると、静かに続けた。

「あなたたちが魔王軍に立ち向かうために戦っていると聞いて、私も力を貸したくて来ました。」

「本当に？」

アレンは驚いたが、すぐにその真意を確かめたくなった。

「どうして君が僕たちのために戦おうと思ったんだ？」

リリィは静かに微笑み、少し間を置いて答えた。

「私も昔、魔王軍に家族を奪われたんです。だからこそ、あなたたちの戦いに賛同し、協力したいと思った。」

その言葉に、アレンは深い感情を覚えた。彼女の目に浮かぶ悲しみを感じ取ったからだ。

「リリィ…君もそんなつらい過去を持っているんだな。」

カイルは少し考えた後、リリィに向かって言った。

「お前が力を貸してくれるなら、ありがたい。だが、ただの魔法使いではなく、どんな力を持っているのかも知っておかないとな。」

リリィはカイルの言葉を理解したように頷き、冷静に答えた。

「私の魔法は、精霊を操る力です。精霊の力を借りて、戦場でのサポートや回復ができます。」

「精霊を操る力…？」

アレンはその言葉に驚きつつも、彼女の魔法に興味を抱いた。リリィのような力を持つ者が加わることで、戦いが有利になるだろうと感じた。

「それなら、すごい力だな。」

リリィは少しだけ微笑んだ。

「私の力は戦闘に直接的なダメージを与えるものではありませんが、戦いを支える役立つ力です。」

カイルはその言葉に納得し、再びアレンを見つめた。

「これで、仲間が一人増えたな。まだ足りないかもしれないが、少しずつ力を集めていこう。」

アレンはリリィの存在に安心感を覚え、力強く頷いた。

「ありがとう、リリィ。君の力があれば、きっと魔王軍に立ち向かえる。」

「あなたたちの決意に共感してきました。私もあなたたちと共に戦います。」

その後、リリィは彼らと共に、さらに仲間を集めるための旅に出ることを決意した。アレンは新たな仲間を迎え、これからの戦いに備えて準備を進めていった。リリィの力は、これからの戦闘に大きな影響を与えるだろう。