魔法の遺産

第9章

迫る魔王軍の大軍

エドガーが加わったことで、アレンたちの力は飛躍的に強化された。魔王軍の精鋭部隊であるダリウスを退けた後、アレンたちは再び旅を続け、次の目的地を目指して進んでいた。しかし、彼らの進行を阻むかのように、魔王軍の動きがますます活発になっていった。

「次はどこに向かうんだ？」

アレンがエドガーに尋ねると、エドガーは真剣な表情で答えた。

「魔王軍はすでに大軍を動かしている。私たちがどこに向かおうと、その先に待ち受けているのは戦いだろう。だが、今は一つ、目的を持って進むべきだ。」

「目的って？」

リリィが尋ねると、エドガーは一度深く息を吸ってから言った。

「魔王軍には、封印されている古代の魔法が存在している。その力を解き放たれる前に、私たちの手で封じておかなければならない。」

アレンはその言葉に驚き、カイルも考え込むように眉をひそめた。

「古代の魔法？ それって、一体どういうものなんだ？」

「詳しくは分からないが、魔王軍がその力を手に入れれば、今以上に強力な存在になり、私たちでは太刀打ちできなくなる。だからこそ、今すぐにでもその場所を突き止め、力を封じる必要がある。」

エドガーの言葉には、深い使命感が込められていた。彼は過去に何度も魔王軍と戦い、古代の魔法の危険性を知っていたのだ。

「古代の魔法を封じる…か。」

アレンはその言葉を胸に刻み、決意を新たにした。

「なら、急がないといけないな。どこに向かうんだ？」

エドガーは地図を広げ、指である地点を指し示した。

「ここだ。魔王軍がその魔法を保管していると言われる場所は、この山脈の奥にある古代の遺跡だ。」

「山脈か…」

カイルがため息をついた。

「山脈には様々な魔物が住んでいると聞く。俺たちが行くころには、きっとその魔王軍の手先が待ち構えているだろう。」

「それでも行くしかない。」

アレンは力強く答えた。

「古代の魔法が魔王軍の手に渡れば、みんなが危険にさらされる。だから、俺たちの力でなんとかしないと。」

「その通りだ。」

エドガーは静かに言い、立ち上がった。

「行こう、時間がない。」


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数日後、アレンたちは指定された山脈の入り口に到着した。その山脈は険しく、魔物たちの住処としても知られ、昼夜を問わず危険が漂っていた。

「ここが…その山脈か。」

リリィはその険しい山道を見上げ、少し緊張した様子を見せた。

「魔物たちの気配が強いですね。」

「気を引き締めろ。」

エドガーが静かに言い、前を進んだ。アレン、カイル、そしてリリィもその後に続きながら、山道を進んでいった。

途中、幾度となく魔物たちが現れ、彼らを襲いかかってきた。しかし、エドガーの圧倒的な戦闘力と、アレンたちの協力によって、次々と魔物を撃退することができた。だが、進むにつれて、彼らの前に現れる魔物の数が増え、戦いはますます激しくなった。

「魔物の数が増えてきたな…」

カイルが剣を構えながら呟く。

「魔王軍がここに魔物を送り込んでいるのか？」

「その可能性は高い。」

エドガーは鋭く周囲を警戒しながら答えた。

「だが、我々が山を越える前に、魔王軍の大軍が到着する前に、何とかしなければならない。」

その時、前方から異様な音が聞こえてきた。何か巨大なものが動いているような音だ。

「何だ…？」

アレンが身構えた瞬間、その音の源が姿を現した。それは、巨大な魔物だった。恐ろしい爪と牙を持ち、背中には鋭い鱗が生えている。

「魔王軍の魔獣か！」

カイルがその魔物を見て叫んだ。

「こんな大きな魔物が…！」

「油断するな。」

エドガーは一歩前に出ると、大剣を構えて言った。

「俺が相手をする。お前たちは後ろで支援を頼む。」

アレンはすぐに魔法を準備し、リリィも精霊の力を使い始めた。魔物はエドガーに向かって突進してきたが、そのスピードは予想以上だった。しかし、エドガーはその攻撃を冷静に受け止め、反撃を加えた。

「これで終わりだ！」

エドガーは大剣を振り下ろし、魔物を一閃で斬り裂いた。その一撃に、魔物は倒れ、その場に大きな轟音を響かせながら倒れ込んだ。

「よし、次だ。」

アレンが次の動きを準備していると、突然、周囲の地面が揺れ、巨大な岩が崩れ落ちてきた。

「これは…地震か？」

リリィが不安げに言った。エドガーが冷静に周囲を見回すと、すぐに答えた。

「違う。魔王軍の仕業だ。急ぐぞ。」