魔法の遺産

ことのは工房

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第17章

闇の奥底

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アレンたちは機械兵士を撃退した後、慎重に前進を続けていた。魔王軍の拠点は、予想以上に巨大で、深い森の中に隠されているような形で存在していた。その周囲の空気はどこか異常で、冷気と共に不安を呼び起こすような気配が漂っていた。

「ここ…何か嫌な感じがする。」

リリィが顔をしかめながら言う。その言葉に、アレンは黙ってうなずいた。

「うん、俺も感じている。だが、ここで引き返すわけにはいかない。」

アレンは前を見据えて歩き続ける。次第に、彼らは魔王軍の拠点へと近づいていった。しかし、その先にはさらに危険が待ち受けていた。


---

突然、前方の地面が激しく揺れ、そこから無数の魔物が姿を現した。今までの魔物とは異なり、全身が黒い霧に包まれ、目だけが赤く光る不気味な姿をしていた。

「な、なんだ…これは?」

カイルが剣を構えながら言う。アレンはその姿を見て、心の中で警戒を強めた。

「魔物じゃない…あれは『闇の使徒』だ。」

エドガーが静かに言った。

「闇の使徒…?」

「そうだ。魔王軍が使う、魔力を吸収して自らの力を増幅させる魔物だ。普通の魔法じゃ効かない。」

「それじゃ、どうすれば…?」

リリィが焦りながら尋ねるが、エドガーは少し考えてから答えた。

「『闇の使徒』に効くのは、光の魔法だ。だが、普通の光魔法じゃ足りない。強力な魔法が必要だ。」

「光の魔法か…」

アレンは自分の持つ力に思いを馳せた。古代魔法には光の力も含まれているが、まだ完全にはその力を使いこなせていなかった。だが、今ここで躊躇している暇はない。

「試してみるしかない。」

アレンは集中し、光の魔法を練り上げ始めた。その魔力がアレンの体を包み込み、次第にその光が輝きを増していく。周囲の闇の中に、彼の放つ光がまばゆく輝き、闇の使徒たちがその光に反応して後退した。

「おお、アレン、すごい!」

リリィが驚きの声を上げるが、アレンはその光の力を集中させ、闇の使徒たちに向かって放った。

「これで!」

光の魔法は一気に闇の使徒たちに向かって放たれ、その輝きが闇を切り裂くように広がった。しかし、闇の使徒たちはその攻撃を完全には避けることができなかったものの、簡単には倒れなかった。

「耐性が強い…!」

アレンはその結果に驚きながらも、再び魔法を繰り出す。その光の力をさらに強化し、闇の使徒たちを一掃するために全力を尽くした。

「みんな、気をつけろ!まだ倒しきれていない!」

カイルが叫び、剣を構えながら進み出る。しかし、その時、闇の使徒の一体がアレンに向かって襲いかかってきた。

「アレン!」

リリィが叫び、間一髪でアレンを守ろうとするが、アレンは冷静にその魔物の動きを見極め、光の力を集めてその魔物に向かって放った。光がその魔物に直撃し、闇の使徒はその場で消え去った。

「どうだ、これで…!」

アレンが息をつくと、周囲の闇の使徒たちも次々と倒れ、その姿を消していった。

「ふう、やっと終わったか。」

カイルが汗を拭いながら言う。だが、アレンはまだ警戒を解いていなかった。

「終わったわけじゃない。魔王軍はもっと強力な力を持っている。油断するな。」

アレンはその言葉を口にしながら、再び進む決意を固めた。


---

彼らが進み続けると、ついに魔王軍の拠点の入り口が見えてきた。巨大な門がそびえ立ち、その周囲には重厚な魔法陣が施されている。門の前に立つと、その上から冷たい風が吹き降り、アレンたちを圧倒するような気配を感じさせた。

「ここが魔王軍の本拠地か…」

リリィが低くつぶやき、アレンはその場に立ち止まり、周囲を見渡した。

「ここから先が本当の戦いだ。気を引き締めろ。」

アレンは言いながら、仲間たちに目を向ける。その目は決して揺らぐことなく、彼らに戦い抜く覚悟を見せていた。

「もう後戻りはできない。魔王軍を倒すため、全力で戦う!」

アレンの言葉に、仲間たちは一斉にうなずき、進んでいった。魔王軍の拠点に足を踏み入れると、彼らを待ち受けるのは、想像を絶するほどの強大な敵と、最も厳しい試練だった。
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