魔法の遺産

第19章

逆転の光

アレンの光の魔法がウルディアの闇の魔法にぶつかり合い、空間が激しく震えた。光と闇の衝突が空気を引き裂き、周囲の空間すらも揺さぶっている。その瞬間、アレンは全身に激しい疲労を感じ、体が重くなった。

「くっ…これが…ウルディアの力…！」

アレンは必死に立ち続けるが、その力の差に圧倒されていることを実感していた。ウルディアの魔法は、まるでその全てを支配しているかのように強力で、アレンの光の魔法が徐々に押し戻されていく。

「そんなものでは足りない。貴様の力は…まだまだ足りぬ！」

ウルディアの目が赤く光り、魔法の力をさらに強化してアレンに襲いかかる。その魔法はアレンに直撃し、彼は地面に膝をついて倒れ込んだ。

「アレン！」

リリィが叫びながら駆け寄ろうとするが、エドガーがその手を引き止める。

「リリィ、今は彼を助けられない。アレンが自分で立ち上がるのを待とう。」

「でも…！」

「彼ならできる。あいつは決して諦めない。」

その言葉に、リリィは何も言えず、ただアレンの姿を見守るしかなかった。

アレンは地面に膝をつきながら、息を荒げていた。その目は疲れていたが、どこか決意を秘めていた。

「ダメだ…こんなところで終わるわけにはいかない。」

アレンは顔を上げ、ウルディアを見つめる。その瞳の奥に宿る力は、今までの何倍もの強さを感じさせた。

「お前の力にはまだ届かないかもしれない…でも、俺は諦めない！」

アレンは再び力を振り絞り、古代魔法の書を心の中で開いた。光の力を、今まで以上に集め、内に秘めたる魔力を全開にする。彼の体全体が眩い光を放ち、周囲の闇を一掃しようとするように、光の力が膨れ上がった。

「これが、俺の全てだ！」

アレンは全力で魔法を放った。その光は、今まで見たこともないほど強烈で、圧倒的な光の柱がウルディアに向かって伸びていった。

ウルディアはその光を見て、初めて驚きの表情を浮かべた。

「な…！？ こんな力を…！」

ウルディアは一瞬、動きを止めた。しかし、すぐに闇の魔法で反撃しようとするが、その魔法はアレンの光に触れた瞬間、すぐに消えてしまった。

「ぐっ…！」

ウルディアが歯を食いしばり、さらに強力な魔法を放とうとするが、その体力は限界に達しつつあった。アレンの光の魔法は、彼の闇の力を押し返し、少しずつウルディアを追い詰めていった。

「どうだ、これで…！」

アレンは叫びながら、その光の力をさらに強化し、ウルディアに向かって放った。光がウルディアを包み込み、その体を焼き尽くすように広がった。

「そんな…！」

ウルディアの顔には絶望が浮かんだ。彼は必死にその光を避けようとするが、もはや逃げることはできなかった。ウルディアの体は完全に光に包まれ、ついにはその姿が消えていった。


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静寂が訪れ、アレンは膝をついてその場に倒れ込んだ。体中に疲れが溜まり、今にも意識が途切れそうだった。

「アレン…！」

リリィが駆け寄り、アレンを支えようとする。カイルとエドガーも駆け寄り、彼を助け起こす。

「大丈夫か、アレン？」

カイルが心配そうに尋ねるが、アレンは弱々しく笑いながら答える。

「ああ…大丈夫だ。ただ、少し疲れただけだ。」

アレンはそう言いながら、力を振り絞って立ち上がる。その瞳には、まだ決して諦めないという強い意志が宿っていた。

「ウルディアを倒したか…」

エドガーがその場を見渡すと、ウルディアの姿は完全に消えており、魔王軍の幹部が倒れたことを実感する。

「魔王軍の力が少しずつ崩れていく。しかし、これで終わりではない。」

アレンが言うと、リリィも頷く。

「これからが本当の戦いだって、わかってる。」

その言葉通り、魔王軍の真の力はまだ何も見せていなかった。だが、アレンたちの決意は固まった。次に待ち受ける試練に向けて、彼らは再び立ち上がった。