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番外編
初出勤小話③
しおりを挟む臀部を撫でられただけなのに、恥ずかしい部分がきゅっと締まり水音をあげた気がした。仕事モードに入ったと思ったのにこんなことされるなんて、私はどんな反応をしたらいいのだか分からない。
後ろから腰にぐるりと腕が回され一瞬ふわりと浮いた身体は次の瞬間、太ももの間に貴臣さんの長い脚が割り込んでいた。辛うじて床に着く足先で身体を浮かそうとしても、ヒールでは踏ん張ることも出来ない。おとなしく両手を透明な壁に付けたまま外を見ると、薄っすらと映る貴臣さんのニヒルな笑みが見えた。
「抵抗しないのか?」
「でっ、出来なくしているのは誰で・・・っ」
反論も途中で開かれた太ももの前方からするりと侵入してきた熱い手に、ヒールの中でつま先を丸めて唇を噛みしめる。撫でられただけの内ももが、せがむ様に甘く震えた。ショーツの際を虫が這う程のスピードでゆっくりとなぞる指先が憎い。ちゃんと触れて欲しいのに、反応を伺うように数センチ横を触れられる。
「っつ」
ピンと引きつった痛みの正体を瞬時に理解して、燃えるように顔が熱くなる。二本の指でつままれたのは、手入れのしていないそこの毛。恥ずかしい。処理もしない女だと、きっと思っているんだ。
「気持ちいいな」
耳元まで寄せられた薄い唇が、ぽそりと呟いた。その瞬間に遠慮もなく入り込んできた長い指が、濡れてしまっている割目を毛ごと揉み込むように触る。
「柔らかい」
実況しているのか何なのか、それが肉感に対してのコメントか毛のことなのかも全然分からない。ただ、そう呟く貴臣さんの口調が嬉しそうで、私をからかっているわけではないのだと解釈した。
狭いエレベーター内で響くにちゃにちゃという音に触発されて、さらに蜜が溢れてショーツが濡れていく。腰には固くなったモノが押し付けられて、それならもういっそのこと最上階の部屋に戻りたい。濡れたそこに指が入り込み、腰に回されていた腕は私の自由を奪いつつも胸を緩急つけて揉みあげている。
「あぁっ、だめっ」
貴臣さんの手を制そうと動かしたとき、指先に無機質な固いものが触れた。カタンと少し動いたそれは、この箱を動かすスイッチである。
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