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第4章
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しおりを挟むあれよあれよと車に乗せられて二十分ほどで着いた先は、近代的美術館の様な一軒家だった。門の中はロータリーになっており、それを囲むように手入れの行き届いた庭が広がっていた。
車を降りて家を見上げていると、ドアを開いて待ってくれている執事さんと目が合って小走りで中に入った。
「凄いお家だね」
「そうかな? 生まれた時からここだから。___あ、天野さんお部屋の用意は出来ていますか? ___ありがとう。さあ、行こう」
ぽけっとしている間に匠が色々と準備していてくれたようで、大きなゲストルームに通された。スイートルーム並みに煌びやかなお部屋に、またもや度肝を抜かれて口が開きっぱなしである。
「僕の部屋はここの三つ先の左の扉だよ。何かあったら・・・、いいや、僕も今日はここに寝るよ! ほら! ベッドも大きいから窮屈じゃないでしょ?」
匠に引っ張られた勢いで二人してベッドにダイブすると、勢いで髪がくちゃくちゃになり目を見合わせてげらげらと笑い転げた。本当の弟みたいだと嬉しくなってしまう。
コンコン、がちゃり
「来客か?」
頭を掻きながら入ってきたのはラフな部屋着を着た司だった。思わず顔が引きつってしまう。そうだ・・・ここは匠くんの家であり、司くんの家でもあるんだ。
「あ・・・ええっと、ごめんなさいうるさくしてしまって。お邪魔しています」
「___いえ、構いませんよ」
自分がどぎまぎと話してしまった所為なのか、司も俯き加減で気まずそうに見えた。なぜ司くんがあんな事をしてきたのかわからない。けれどここでお世話になる以上は、自分で解決すべきだと思った。
「「あの」」
司と同時になってしまい、益々気まずい空気が流れた。
「沙也加さん。二人で話せませんか?」
「___わかりました」
匠が心配そうな顔で見つめてくるので、下手くそなウインクをしながらグーポーズを返しておいた。廊下に出ると先に出ていた司がこちらを振り向いて待っていてくれた。
「わあ、綺麗ですね」
到着したのは屋上だった。十帖程のスペースにパーソナルチェアが二つ並んで置かれていた。
先を歩く司が長い脚を投げ出して椅子に座る。それを見ていると、振り返った司がこちらを見てちょいちょいと手招きをした。
司の真似をする様に寝転ぶと、都会とは思えない程綺麗な夜空が広がっていた。
”良かったらどうぞ”と渡されたのはもこもこの毛布で、包まると快適この上なかった。
「沙也加さん、今朝はすみませんでした。___でも、後悔はしていません」
隣から熱い視線を感じた。
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