82 / 150
雨の日の工作
しおりを挟む
下界の月光族の村の表示が消えた。
信者が行かないと見れなくなるのは仕方ないがやはり少しがっかりする。
一方で月光族の港町の方は消えずにいた。
どうやら草原の街の方から大河を渡って港町に行った信者がいるようだ。
どれどれ、ちょっと気にして見てみよう。
居た。行商人の二人か。
はて、この二人どこかで・・・あ、草原の街に居た商人夫婦のところで下働きしてた子達だ。
様子を見るにここには販売と仕入れをしに来たようだな。
ふむ、見た感じ妹の方が商才はあるようだ。
筋肉隆々の月光族相手に引かずに交渉をしている。
まだそんな年端も行ってないはずなんだが、凄いなぁ。
一方で兄の方は商人としてイマイチぱっとしない。
体格もなよっとしており、交渉中の月光族と見比べると体格差が凄い。
ん、どうやら交渉相手の月光族が妹の方を気に入ったようだな。
二人は連れられ商館に顔を出しに行くようだ。
商館では女主人が出迎えて商談を進めているが、女主人の視線が兄に集中しているのがわかる。
・・・これは狙われてるな・・・。
前にもこんな事を目撃した事があるが、どうも月光族の女性、特に力のある女性は優男の方が好きな傾向が強い気がする。
普段周りには体格のいい男ばかりがいるものだから、それとは違う男性を見れば興味を刺激されるのは仕方ない事なのだが。
商談は進み、そのまま会食になった。
あーあー、女主人が兄の横に座って完全に仕留める気でいる。
あれ、でも妹はそれを特に気にしてないな。
普通こういう状況になると多少は動揺を見せるものなんだが、一切その素振りが無い。
どういうことだろうか。
あー・・・わかってきた。
この兄、天性の女殺しの素質を持っている。
女殺しというのは女性の好み合わせて能動的に対応を変え、上手く立ち回り、魅了する人の事だ。
しかもこの兄はこの手の力を持った女性や自信を持った女性に対して特化している。
気配りの良さ、話の聞き方、そして微笑み方。
はー、なるほどー・・・勉強になるわー・・・。
妹は妹で兄ほどじゃないがやはり男殺しの素質があるようだ。
こっちはこっちで月光族の男達を魅了している。
女主人のプライドを損なわない程度に印象を良く持たせるという技術を持っているようだ。
二人ともまだ若いのに凄いな。
「さすが淫魔の血を引いているだけありますね」
俺と一緒に画面を見ていたサチが言う。
「淫魔の血?・・・一覧を見ると彼らは人間種になっているけど」
「そうですね。人間種の血の方が濃いのでそういう表記にはなります。ですが一覧にある血統の部分を見て貰えば分かると思いますが、淫魔の血が混ざっています」
「どれどれ・・・あ、本当だ。四世代前の父親が淫魔種だな」
「稀にそういったものが発現する場合があります」
隔世遺伝か。兄妹共に発現するのは珍しいな。
しかし、彼らはそういう事を知っているとは思えないし、となれば血の力は補助的なもので、今の状況は二人が得た技術によるものなんだろう。
末裔もそうだが力に頼るのではなく、上手く使いこなすという意味ではこの二人は今後も上手くやっていける気がする。
会食も終わったようだし、商談の方も上々な成果だったようだ。
妹の方は用意された部屋で既に寝ているが、兄の方は女主人に呼び出されてるな。
うん。わかってる。
どうせまた望遠にするんだろ?それなら時間も丁度いいし、今日は終わろう。
仕事が終わった後に兄の真似をしてサチにいい声で今日の予定を聞いてみた。
「ソウ、彼の真似をしているようですが、気持ち悪いので普段通りにしてください」
酷い言われようだ!
今日は雨なので家にいる。
こういう日は料理をしたいのだが、サチの精神がまだ不安定なので念を使わせるわけにはいかない。
そこで暇つぶしに木を削ってあるものを作っている。
先日剪定した時に出た太めの木を輪切りにし、大きさを同じにして表と裏にそれぞれ白と黒の色を塗る。
作っているのは遊具。
前の世界にあった同じ色で別の色を挟むとひっくり返して同じ色に変えられるやつだ。
最初カードでも作ろうかと思ったのだが、ちょっと手間だったのと、紙が無かったから中止した。
紙自体全く無いわけではないのだが、この世界では大半の事がパネルで出来てしまうので紙という媒体が極端に少なかった。
サチに紙を出してもらおうとしたら無いと言われて初めてこの事が判明した。
言われてみれば俺も何か書く時はサチに出してもらったパネルか地面に直接書いて、紙に書くという事をしてなかった。
カード自体は木に色を塗ってしまえばいいのかもしれないが、それはそれでやはり手間なのでやるのは今度という事に。
よし、色塗り終えたし後は乾くのを待つだけだな。
「ソウ、そろそろ何を作っているのか教えてください」
先ほどまで俺に背を合わせて服一覧を見ていたサチがこっちに向き直って背中に体を密着させながら聞いて来る。いい感触。
「前の世界にあった遊具だよ。暇つぶしにいいかと思って」
「ほうほう」
「後は適当な板に線を引くだけなんだが」
「これでいいですか?」
「うん。ありがとう」
直ぐに空間収納から丁度いい大きさの板を出してくれる。
こういう意思疎通の良さが心地よい。
後はこれに碁盤の目を書けば出来上がりだな。
「ルールはそんなに難しくない」
塗料も乾いたのでサチにルールを教える。
「ふんふん、なるほど」
「で、最後に自分の色が多かった方が勝ち」
「面白そうですね。早速やりましょう」
この時俺はまだ気付いていなかった。
主神補佐官サチナリアという人物の凄さを。
「おおぅ・・・」
「ふふふ、どうです?」
盤上は誰が見ても一瞬で分かる程に差が付いてサチの勝利。
ちなみにこれで五連敗目。
俺が勝ったのは最初の一戦だけで、コツを掴んだ後は全く歯が立たなくなってしまった。
おかしいな、こんなはずではなかったんだが。
「これはなかなか面白いですね」
気に入ってもらえたようだ。
もう俺が勝てる見込みは無さそうだけど。
「うーん、もう少し改良したいですね。ソウ、ちょっと追加で作ってもらえますか?」
「ん?いいぞー」
この後サチに色々指定されて追加で作った。
盤も広くなり、コマの種類も増えてもはや原型の半分ぐらい変わった気がする。
「結構難しくなったな」
「その分やり応えは出ました」
「まぁね」
実際やった感想としては、これはこれで面白い。
何より盤が広くなった事で一気に色を変えたときが気持ちいい。
「サチ、これに名前付けるなら何にする?」
「名前があったのではないのですか?」
「んー、色々改良したし、改良案出したサチが命名していいんじゃないか?」
「そうですか。・・・ではシロクロで」
「シロクロか。わかりやすくていいな」
一瞬こっちを見て思考を読まれたような気がするが気のせいだと思いたい。
「はい。今度学校の子供達に教えたいと思います」
「うん、そうしよう」
子供達はどういう反応するかな。楽しみだ。
信者が行かないと見れなくなるのは仕方ないがやはり少しがっかりする。
一方で月光族の港町の方は消えずにいた。
どうやら草原の街の方から大河を渡って港町に行った信者がいるようだ。
どれどれ、ちょっと気にして見てみよう。
居た。行商人の二人か。
はて、この二人どこかで・・・あ、草原の街に居た商人夫婦のところで下働きしてた子達だ。
様子を見るにここには販売と仕入れをしに来たようだな。
ふむ、見た感じ妹の方が商才はあるようだ。
筋肉隆々の月光族相手に引かずに交渉をしている。
まだそんな年端も行ってないはずなんだが、凄いなぁ。
一方で兄の方は商人としてイマイチぱっとしない。
体格もなよっとしており、交渉中の月光族と見比べると体格差が凄い。
ん、どうやら交渉相手の月光族が妹の方を気に入ったようだな。
二人は連れられ商館に顔を出しに行くようだ。
商館では女主人が出迎えて商談を進めているが、女主人の視線が兄に集中しているのがわかる。
・・・これは狙われてるな・・・。
前にもこんな事を目撃した事があるが、どうも月光族の女性、特に力のある女性は優男の方が好きな傾向が強い気がする。
普段周りには体格のいい男ばかりがいるものだから、それとは違う男性を見れば興味を刺激されるのは仕方ない事なのだが。
商談は進み、そのまま会食になった。
あーあー、女主人が兄の横に座って完全に仕留める気でいる。
あれ、でも妹はそれを特に気にしてないな。
普通こういう状況になると多少は動揺を見せるものなんだが、一切その素振りが無い。
どういうことだろうか。
あー・・・わかってきた。
この兄、天性の女殺しの素質を持っている。
女殺しというのは女性の好み合わせて能動的に対応を変え、上手く立ち回り、魅了する人の事だ。
しかもこの兄はこの手の力を持った女性や自信を持った女性に対して特化している。
気配りの良さ、話の聞き方、そして微笑み方。
はー、なるほどー・・・勉強になるわー・・・。
妹は妹で兄ほどじゃないがやはり男殺しの素質があるようだ。
こっちはこっちで月光族の男達を魅了している。
女主人のプライドを損なわない程度に印象を良く持たせるという技術を持っているようだ。
二人ともまだ若いのに凄いな。
「さすが淫魔の血を引いているだけありますね」
俺と一緒に画面を見ていたサチが言う。
「淫魔の血?・・・一覧を見ると彼らは人間種になっているけど」
「そうですね。人間種の血の方が濃いのでそういう表記にはなります。ですが一覧にある血統の部分を見て貰えば分かると思いますが、淫魔の血が混ざっています」
「どれどれ・・・あ、本当だ。四世代前の父親が淫魔種だな」
「稀にそういったものが発現する場合があります」
隔世遺伝か。兄妹共に発現するのは珍しいな。
しかし、彼らはそういう事を知っているとは思えないし、となれば血の力は補助的なもので、今の状況は二人が得た技術によるものなんだろう。
末裔もそうだが力に頼るのではなく、上手く使いこなすという意味ではこの二人は今後も上手くやっていける気がする。
会食も終わったようだし、商談の方も上々な成果だったようだ。
妹の方は用意された部屋で既に寝ているが、兄の方は女主人に呼び出されてるな。
うん。わかってる。
どうせまた望遠にするんだろ?それなら時間も丁度いいし、今日は終わろう。
仕事が終わった後に兄の真似をしてサチにいい声で今日の予定を聞いてみた。
「ソウ、彼の真似をしているようですが、気持ち悪いので普段通りにしてください」
酷い言われようだ!
今日は雨なので家にいる。
こういう日は料理をしたいのだが、サチの精神がまだ不安定なので念を使わせるわけにはいかない。
そこで暇つぶしに木を削ってあるものを作っている。
先日剪定した時に出た太めの木を輪切りにし、大きさを同じにして表と裏にそれぞれ白と黒の色を塗る。
作っているのは遊具。
前の世界にあった同じ色で別の色を挟むとひっくり返して同じ色に変えられるやつだ。
最初カードでも作ろうかと思ったのだが、ちょっと手間だったのと、紙が無かったから中止した。
紙自体全く無いわけではないのだが、この世界では大半の事がパネルで出来てしまうので紙という媒体が極端に少なかった。
サチに紙を出してもらおうとしたら無いと言われて初めてこの事が判明した。
言われてみれば俺も何か書く時はサチに出してもらったパネルか地面に直接書いて、紙に書くという事をしてなかった。
カード自体は木に色を塗ってしまえばいいのかもしれないが、それはそれでやはり手間なのでやるのは今度という事に。
よし、色塗り終えたし後は乾くのを待つだけだな。
「ソウ、そろそろ何を作っているのか教えてください」
先ほどまで俺に背を合わせて服一覧を見ていたサチがこっちに向き直って背中に体を密着させながら聞いて来る。いい感触。
「前の世界にあった遊具だよ。暇つぶしにいいかと思って」
「ほうほう」
「後は適当な板に線を引くだけなんだが」
「これでいいですか?」
「うん。ありがとう」
直ぐに空間収納から丁度いい大きさの板を出してくれる。
こういう意思疎通の良さが心地よい。
後はこれに碁盤の目を書けば出来上がりだな。
「ルールはそんなに難しくない」
塗料も乾いたのでサチにルールを教える。
「ふんふん、なるほど」
「で、最後に自分の色が多かった方が勝ち」
「面白そうですね。早速やりましょう」
この時俺はまだ気付いていなかった。
主神補佐官サチナリアという人物の凄さを。
「おおぅ・・・」
「ふふふ、どうです?」
盤上は誰が見ても一瞬で分かる程に差が付いてサチの勝利。
ちなみにこれで五連敗目。
俺が勝ったのは最初の一戦だけで、コツを掴んだ後は全く歯が立たなくなってしまった。
おかしいな、こんなはずではなかったんだが。
「これはなかなか面白いですね」
気に入ってもらえたようだ。
もう俺が勝てる見込みは無さそうだけど。
「うーん、もう少し改良したいですね。ソウ、ちょっと追加で作ってもらえますか?」
「ん?いいぞー」
この後サチに色々指定されて追加で作った。
盤も広くなり、コマの種類も増えてもはや原型の半分ぐらい変わった気がする。
「結構難しくなったな」
「その分やり応えは出ました」
「まぁね」
実際やった感想としては、これはこれで面白い。
何より盤が広くなった事で一気に色を変えたときが気持ちいい。
「サチ、これに名前付けるなら何にする?」
「名前があったのではないのですか?」
「んー、色々改良したし、改良案出したサチが命名していいんじゃないか?」
「そうですか。・・・ではシロクロで」
「シロクロか。わかりやすくていいな」
一瞬こっちを見て思考を読まれたような気がするが気のせいだと思いたい。
「はい。今度学校の子供達に教えたいと思います」
「うん、そうしよう」
子供達はどういう反応するかな。楽しみだ。
0
あなたにおすすめの小説
優の異世界ごはん日記
風待 結
ファンタジー
月森優はちょっと料理が得意な普通の高校生。
ある日、帰り道で謎の光に包まれて見知らぬ森に転移してしまう。
未知の世界で飢えと恐怖に直面した優は、弓使いの少女・リナと出会う。
彼女の導きで村へ向かう道中、優は「料理のスキル」がこの世界でも通用すると気づく。
モンスターの肉や珍しい食材を使い、異世界で新たな居場所を作る冒険が始まる。
異世界あるある 転生物語 たった一つのスキルで無双する!え?【土魔法】じゃなくって【土】スキル?
よっしぃ
ファンタジー
農民が土魔法を使って何が悪い?異世界あるある?前世の謎知識で無双する!
土砂 剛史(どしゃ つよし)24歳、独身。自宅のパソコンでネットをしていた所、突然轟音がしたと思うと窓が破壊され何かがぶつかってきた。
自宅付近で高所作業車が電線付近を作業中、トラックが高所作業車に突っ込み運悪く剛史の部屋に高所作業車のアームの先端がぶつかり、そのまま窓から剛史に一直線。
『あ、やべ!』
そして・・・・
【あれ?ここは何処だ?】
気が付けば真っ白な世界。
気を失ったのか?だがなんか聞こえた気がしたんだが何だったんだ?
・・・・
・・・
・・
・
【ふう・・・・何とか間に合ったか。たった一つのスキルか・・・・しかもあ奴の元の名からすれば土関連になりそうじゃが。済まぬが異世界あるあるのチートはない。】
こうして剛史は新た生を異世界で受けた。
そして何も思い出す事なく10歳に。
そしてこの世界は10歳でスキルを確認する。
スキルによって一生が決まるからだ。
最低1、最高でも10。平均すると概ね5。
そんな中剛史はたった1しかスキルがなかった。
しかも土木魔法と揶揄される【土魔法】のみ、と思い込んでいたが【土魔法】ですらない【土】スキルと言う謎スキルだった。
そんな中頑張って開拓を手伝っていたらどうやら領主の意に添わなかったようで
ゴウツク領主によって領地を追放されてしまう。
追放先でも土魔法は土木魔法とバカにされる。
だがここで剛史は前世の記憶を徐々に取り戻す。
『土魔法を土木魔法ってバカにすんなよ?異世界あるあるな前世の謎知識で無双する!』
不屈の精神で土魔法を極めていく剛史。
そしてそんな剛史に同じような境遇の人々が集い、やがて大きなうねりとなってこの世界を席巻していく。
その中には同じく一つスキルしか得られず、公爵家や侯爵家を追放された令嬢も。
前世の記憶を活用しつつ、やがて土木魔法と揶揄されていた土魔法を世界一のスキルに押し上げていく。
但し剛史のスキルは【土魔法】ですらない【土】スキル。
転生時にチートはなかったと思われたが、努力の末にチートと言われるほどスキルを活用していく事になる。
これは所持スキルの少なさから世間から見放された人々が集い、ギルド『ワンチャンス』を結成、努力の末に世界一と言われる事となる物語・・・・だよな?
何故か追放された公爵令嬢や他の貴族の令嬢が集まってくるんだが?
俺は農家の4男だぞ?
【一時完結】スキル調味料は最強⁉︎ 外れスキルと笑われた少年は、スキル調味料で無双します‼︎
アノマロカリス
ファンタジー
調味料…それは、料理の味付けに使う為のスパイスである。
この世界では、10歳の子供達には神殿に行き…神託の儀を受ける義務がある。
ただし、特別な理由があれば、断る事も出来る。
少年テッドが神託の儀を受けると、神から与えられたスキルは【調味料】だった。
更にどんなに料理の練習をしても上達しないという追加の神託も授かったのだ。
そんな話を聞いた周りの子供達からは大爆笑され…一緒に付き添っていた大人達も一緒に笑っていた。
少年テッドには、両親を亡くしていて妹達の面倒を見なければならない。
どんな仕事に着きたくて、頭を下げて頼んでいるのに「調味料には必要ない!」と言って断られる始末。
少年テッドの最後に取った行動は、冒険者になる事だった。
冒険者になってから、薬草採取の仕事をこなしていってったある時、魔物に襲われて咄嗟に調味料を魔物に放った。
すると、意外な効果があり…その後テッドはスキル調味料の可能性に気付く…
果たして、その可能性とは⁉
HOTランキングは、最高は2位でした。
皆様、ありがとうございます.°(ಗдಗ。)°.
でも、欲を言えば、1位になりたかった(⌒-⌒; )
大学生活を謳歌しようとしたら、女神の勝手で異世界に転送させられたので、復讐したいと思います
町島航太
ファンタジー
2022年2月20日。日本に住む善良な青年である泉幸助は大学合格と同時期に末期癌だという事が判明し、短い人生に幕を下ろした。死後、愛の女神アモーラに見初められた幸助は魔族と人間が争っている魔法の世界へと転生させられる事になる。命令が嫌いな幸助は使命そっちのけで魔法の世界を生きていたが、ひょんな事から自分の死因である末期癌はアモーラによるものであり、魔族討伐はアモーラの私情だという事が判明。自ら手を下すのは面倒だからという理由で夢のキャンパスライフを失った幸助はアモーラへの復讐を誓うのだった。
出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜
シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。
起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。
その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。
絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。
役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。
少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。
異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました
雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。
気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。
剣も魔法も使えないユウにできるのは、
子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。
……のはずが、なぜか料理や家事といった
日常のことだけが、やたらとうまくいく。
無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。
個性豊かな子供たちに囲まれて、
ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。
やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、
孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。
戦わない、争わない。
ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。
ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、
やさしい異世界孤児院ファンタジー。
異世界翻訳者の想定外な日々 ~静かに読書生活を送る筈が何故か家がハーレム化し金持ちになったあげく黒覆面の最強怪傑となってしまった~
於田縫紀
ファンタジー
図書館の奥である本に出合った時、俺は思い出す。『そうだ、俺はかつて日本人だった』と。
その本をつい翻訳してしまった事がきっかけで俺の人生設計は狂い始める。気がつけば美少女3人に囲まれつつ仕事に追われる毎日。そして時々俺は悩む。本当に俺はこんな暮らしをしてていいのだろうかと。ハーレム状態なのだろうか。単に便利に使われているだけなのだろうかと。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる